業界再編

ドラッグストア業界再編M&Aの歴史

成長期から成熟期まで

まちの薬屋さんの時代

日本のドラッグストアの歴史は浅く、1号店は1976年に横浜市に開設した「ハックイシダ」(CFSコーポレーション)による「ハックファミリーセンター杉田店」です。

 

その後、黎明期の当業界は、「オールジャパンドラッグ(AJD)」や「日本ドラッグチェーン会(NID)」といったボランタリーチェーンを結成するなど、まちの薬局経営者たちが集まり、協力しながら発展していきました。

 

競争の時代へ

1990年代になるとテレビCMを打ち出す店舗も登場し、女性を中心にドラッグストアブームが巻き起こるなど、日常生活におけるドラッグストアの役割が確立されました。

 

価格重視のスタイルから専門性に力を入れる店舗や、株式上場するチェーン店も増え、店舗同士・企業同士での激しい競争が始まったのもこのころからです。

 

成長戦略としてのM&Aの確立

2000年前半からは、小規模のM&Aがスタートし、00年度に579社あった企業数は、04年度に671社と最多になった以降は現在まで減少傾向が続いています。

 

企業数が最多となった2004年、当時の売上高トップのマツモトキヨシ(現:マツモトキヨシホールディングス)は健康家族(長野県)、トウブドラッグ(埼玉県)を皮切りに、相次いで地方の有力企業を子会社化しました。

 

同社に限らずウエルシアHD、ツルハHD、サンドラッグなどもM&Aにより規模を拡大してきました。(ウエルシアHDはそもそも、1997年にグリーンクロスとコアが合併し株式上場したというM&Aがルーツです。)

上位10社の売上シェアも04年の25%から09年には44%まで進み、業界再編が本格的に始まりました。

 

業界再編が加速

大手チェーンは、エリアを広げるため全国各エリアで高いシェアを持つ有力中堅チェーンを買収することで勢力を拡大してきましたが、その動きが特に加速したのが2012年頃でした。

 

2012年以降、大手チェーンと50店舗以上の有力中堅チェーンを傘下に入れることで大幅に売上・店舗数を増やし、展開エリアを広げていきました。

 

22年ぶりにドラッグストア業界の首位交代

1995年3月期から売上高トップだったマツモトキヨシホールディングスが、2016年度の連結売上高でイオン系のウエルシアHD、ツルハHDに抜かれ、3位に転落しました。(18年度売上ではサンドラッグにも抜かれ4位。)

 

これは決して、マツモトキヨシの業績が悪化したわけではありません。むしろ訪日外国人観光客の消費が好調で、3期連続で最高益を更新していました。

 

ただ、競合他社のようにM&A路線を採っていないため、売り上げで追い越されていったのです。

 

対照的に、ウエルシアHDは、15年3月にタキヤ(兵庫県尼崎市)とシミズ薬品(京都市)を子会社化、15年9月にはCFSコーポレーションの完全子会社化し、一方でツルハHDは15年10月にジャスダック上場のレデイ薬局を子会社化するなど、M&Aを通じて爆発的に売上を伸ばしたことが要因でした。

 

ウエルシアHDとツルハHDの2強時代へ突入か

2017年度以降も、ウエルシアHDとツルハHDは相次いでM&Aを通じて勢力を拡大しています。

 

ウエルシアは青森県の丸大サクラヰ薬局、東京都を中心とした一本堂、そして今まで店舗のなかった中国地方において、地元の有力企業であるジュンテンドーからドラッグストア店舗を譲り受けを実施しました。

 

ツルハHDは、静岡県中西部に強い杏林(きょうりん)堂(浜松市)、愛知県内に六十七店を展開するB&D(愛知県春日井市)を相次いで買収し、東海地方への進出を強めています。

 

成熟期へと突入したドラッグストア業界

上位10社で売上シェアは、09年の44%から、18年では遂に70%を超えました。また、また上位5社(ウエルシア、ツルハ、サンドラッグ、マツモトキヨシ、コスモス薬品)のシェアは45%を超え、ドラッグストア業界は遂に成熟期に突入したといえます。

 

成熟期を迎えたドラッグストア業界は、コンビニ・医薬品卸業界のように上位4社に集約されていくことが予想されます。

 

マツキヨHDとココカラファインが資本提携に向けて協議開始

2019年4月26日にマツモトキヨシHDとココカラファインが「資本業務提携に関する検討及び協議を開始する」というニュースが飛び込んできました。

 

もし実現すれば売上1兆円を超え、一気に業界トップへと躍り出ます。10位のクスリのアオキホールディングス(石川県)は売上2,212億円であるため、どの企業も1度のM&Aで統合することによって上位4社が狙える位置にあります。

 

実現性はさておいても、今後ドラッグストア業界は、M&Aを通じて目まぐるしく業界順位が変わるかもしれません。今後の上位10社の動きには特に注目していきたいです。

 

業界再編部 調剤薬局業界支援室

永田 雄嗣

1989年、愛知県生まれ。横浜国立大学工学部卒。入社以来、調剤薬局業界を専門にM&Aによる成長戦略、事業承継支援に取り組む。群馬県・千葉県・山口県・福岡県・大分県・宮崎県・佐賀県・熊本県・鹿児島県・長崎県・沖縄県の調剤薬局を担当している。

1989年、愛知県生まれ。横浜国立大学工学部卒。入社以来、調剤薬局業界を専門にM&Aによる成長戦略、事業承継支援に取り組む。群馬県・千葉県・山口県・福岡県・大分県・宮崎県・佐賀県・熊本県・鹿児島県・長崎県・沖縄県の調剤薬局を担当している。