物流・運送業

コロナが収束する前に物流企業オーナーが考えるべきこと

去る2020年6月15日(月)から日本M&Aセンター主催の業種別オンラインセミナーが開催されました。
物流、IT、食品、調剤薬局、製造、建設の6業種に特化したセミナーであり、昨今のコロナ禍での動向や各業界のM&Aの状況、業界への提言、などが語られました。また16日(火)には、物流企業オーナー向けのセミナーも開催されました。

「物流オーナーがコロナ収束前に考えるべき事」という題目で1時間ほどのセミナーであったが、149人に申し込みをいただいた大変好評なセミナーとなりました。

ネット環境さえ整っていれば、特別なアプリダウンロードなども必要なく、手軽に視聴ができることから全国各地の様々な方々にご参加いただけました。

 

本日はセミナーにご参加いただけなかった方からのご要望により、開催報告ということでセミナーの内容をご紹介したいと思います。

 

講師は日本M&Aセンター物流業界支援室の室長である山本夢人が務めました。

 

講演のテーマとして、

 

 (1)近年の物流業界のM&A動向

 (2)コロナで分かれた明と暗

 (3)企業価値について

 

の3つのお話をさせていただきました。

 

今回は「1.近年の物流業界のM&A動向」「2. コロナで分かれた明と暗」について説明します。

 

近年の物流業界のM&A動向

物流業界のM&Aにおいては上場企業と非上場企業で切り分ける必要があります。10年以上振り返れば主要上場企業16社は非常にM&Aを多く経験しており、10件以上の企業が6社あり、実際はM&Aがそもそも盛んな業界であることが伺えます。毎年平均75件ほどのM&Aを行っており、安定的な件数を毎年重ねています。

加えて、非上場企業の非公開案件も、2019年度はM&Aセンターの物流業界の成約実績が過去最高を更新するなど、近年増加傾向にあります。

 

上記を踏まえると、物流業界では、安定的に毎年上場企業はM&Aを続け、中堅・中小企業の非公開案件も増加傾向であるため、業界全体としてM&Aが増加していると想定ができます。

 

そういった意味では、今後の物流業界のM&Aを牽引するのは中堅・中小企業であり、昨今の譲渡企業の特徴としては、従来から多い後継者不在・オーナーの高齢化に加えて、黒字企業、後継者を有する企業の相談が増えてきています。

 

黒字企業は将来のことを考えるにあたって、自社が相手を選べる立場である状況のうちに動く企業が多いため、また後継者を有する企業については、後継者のために盤石な体制を整えるM&Aを求めています。

M&Aは赤字企業で先行き不安になってから、オーナーが高齢化してから考えるものというかつての考え方とは違った傾向になっていることが伺えます。

 

コロナで分かれた明と暗

この度のコロナにおいては様々な企業が影響を受けられたことでしょう。しかし、1本足打法で経営する(専業事業を経営する)企業とそうでない(複数事業を経営する)企業では大きな差がつきました。

 

緊急事態宣言前に成約した事例を1つ紹介いたします。譲渡企業が自動車部品製造業、譲受企業が総合物流企業の事例です。

譲渡企業は、大きくはないものの少なからず業績がコロナ禍の影響を受けたようです。しかし、譲渡企業オーナーが驚いたのは、従業員の精神面であったとのことです。

大きな企業のグループ入りを果たしたために、従業員たちの不安感がほとんどなかったようです。譲渡企業のドライバーが現場で他社のドライバーと会話をしたときにも、「そっちの会社はどう?」「こっちはこうだ」などの会話がなされていることが多いようですが、他社のドライバーからうらやましがられたとのことでした。

 

今回の件で、一本足打法の経営は、非常にリスクが高いということは身に染みて感じられたことと思います。やはり、リスク分散、より大きな企業手を組むということが非常に大切なことです。

過去にもリーマンショックや東日本大震災等不況がありましたが、この時に何か変化をした企業と、変化できず同じことを今回も繰り返してしまっている企業があり、こういった状況では、変化することを真剣に考える必要があると思います。

 

次の危機を乗り切るために

今回のような不況や危機的な局面において、それを乗り切るための戦略を考えなければならない一方、これを繰り返さないように今のうちに何をすべきか、コロナが収束してホッとする前にしっかりと考えなければなりません。次の危機を乗り切るために必要なことは何なのか、最後にまとめました。

 

不況時には会社の差が大きく出ます。その時イノベーションを起こせた企業とそうでない企業では後々追いつくことができない圧倒的な差ができます。これを乗り越えて安心してしまうと企業としての進歩がなく、同様の危機が起こった場合に同じことを繰り返してしまいます。今すぐに根本から戦略を見直しておくことが大切なのです。

 

そのためには、まず情報、自社に何ができるのか、何ができないのかを選択するための情報集めが必須となります。M&Aもその経営戦略の一つに過ぎません。ただ、目まぐるしく変化する世の中では時間的な観点からも非常に重要な戦略と言えます。

 

M&Aは大手と手を組むことや他社を譲り受けて自分自身が太るかどちらかです。どちらも正解の戦略と言えます。

大手と手を組むには、まずは候補先が何社あるのか、どのような評価をしてくれるのかを知っておくべきです。今すぐやるやらないは別問題として、客観的に自社を知っておくことは非常に重要です。企業価値についてはその要素を知っておくことで、経営で注力する点を理解できるため、自助努力で成長する企業にとっても有益な情報となります。

 

他社を譲り受けたい企業は、まずは競合の動向を注視すべきです。

いまや譲り受けたい企業は多数を占めているため、自社がいかに意思決定を早くできるかが非常に重要です。

そのためには、M&Aの具体的な価格決定のプロセスや方式を理解したうえで、社内調整等の根回しが必要となります。そのうえで案件を複数検討し、経験を積むことで真の買収ニーズが固まっていきます。そのようにして良い企業と巡り合えるはずです。

 

この度のセミナーのより詳細な内容に関するお問い合わせは下記にご連絡ください。

物流業界担当 河田 kawata@nihon-ma.co.jp

 

第2弾 物流業界 オンラインセミナーについて

また、7月29日に物流業界のオンラインセミナーの第2弾を開催いたします。

次回のオンラインセミナーは、譲渡企業のオーナーを迎え、M&Aの体験談を語っていただきます。リーマンショックなど、かつての不況時の経験や、コロナの状況を見て思うことなど、元経営者ならではのお話を赤裸々に語っていただく予定となります。

セミナー詳細、お申し込みはこちら

業界再編部 調剤薬局業界支援室/物流業界支援室

河田 航佑

埼玉県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本M&Aセンターに入社。調剤薬局業界と物流業界専門チームにて業界の再編に取り組む。外資系企業とのクロスボーダー案件や東北地方地域No1企業の成約実績がある。2019年度新人賞を受賞。主に東日本の企業を担当している。

埼玉県出身。慶應義塾大学経済学部卒業後、日本M&Aセンターに入社。調剤薬局業界と物流業界専門チームにて業界の再編に取り組む。外資系企業とのクロスボーダー案件や東北地方地域No1企業の成約実績がある。2019年度新人賞を受賞。主に東日本の企業を担当している。