調剤薬局

売上5億円、年間技術料1.5億円超えの企業が他社と手を組んだ理由とは?

同じことをやっていて15年後も同じ所得を得られているのか?

最近、40代~50代の薬局経営者の方や、これから会社を継ぐことを予定している2代目社長の方からの相談が増えています。

相談の多くは、「あと引退まで15年、いまと同じことをやっていて生き残っていけるのか、老後のお金は大丈夫なのか」といった内容です。

 

いま、多くの調剤薬局経営者の方々が漠然とした不安感を抱えていらっしゃいます。お子さんが何人かいて、地元の名門と呼ばれる学校に通っていれば、あと10年以上、毎年多額の生活費・教育費用を工面しなければなりません。現時点の役員報酬が維持されるのであれば問題ないですが、今後技術料や薬価差益が下がり、収益が悪化した場合には、役員報酬を下げざるを得なくなります。そういった中でも、周りの目もありますし、生活・教育の質を下げることはできません。

ドクターに依存するビジネスが果たして何年続くのか?

以前お手伝いさせて頂いた、調剤薬局複数店舗の経営者、A社長(当時50代前半)について少しお話をさせて頂きます。A社長にはお子様がいらっしゃって、全員が地元の名門と呼ばれる学校に通われていました。

 

A社長の現状
社長年齢 50代前半(当時)
役員報酬 3,000万円(配偶者含む)
家族構成 奥様、長男16歳、ほか
現時点後継者候補 長男(社長の希望)
会社の売上 約5億円

 

一見すると裕福で幸せな家庭にしか見えなかったのですが、よくよく話を聞いてみると、至るところにリスクを抱えている状況が見えてきました。

 

リスク① 【自身の老後の生活リスク】個人の貯蓄がほとんどない。

A社長が結婚なされたのは35歳の時、その時は既に経営者でした。業界も調子が良い時期でしたので、生活水準は非常に高く設定されていました。年収と比べると、現在の個人の貯蓄は無いに等しい状況でした。

あと30年間生きるとすると、「現時点で老後の蓄えができていない」「教育費があと10年以上かかる」「役員報酬がいつまで現在の額を維持できるかが不透明」という状況は大きなリスクでした。

 

リスク② 【事業継続リスク】ドクターが全て同世代もしくは上の世代。

最近はドクターの間でも、アーリーリタイヤによって「元気な年齢の時に自分の趣味や家族との旅行の時間を作り、仕事以外の人生をもっと楽しみたい」といった考えが広がりつつあります。

立地依存型の調剤薬局でなければドクターへの依存度もそこまで高くないですが、A社長の運営する薬局は全てが集中率80%超えのマンツーマン薬局でした。
A社長があと20年やっていきたいと考えていたとしても、ドクターも同じ考えでいらっしゃるかどうかはわかりません。

 

リスク③ 【事業承継リスク】子供に継がせることがいわゆる「継がせる不幸」にならないか。

さらに、仮に会社を長男に継がせようとすると、長男が60歳になるあと44年は少なくともドクター(もしく現ドクターの後継者)に頑張ってもらわなければなりません。事業継続に関わるリスクは、事業承継に係るリスクとも連動していました。

 

リスクを減らすためのM&A

上記、①老後の生活リスク②事業継続リスク③事業承継リスク(被承継者のリスク)の3つのリスクを回避するために、A社長は当時50代前半ではありますが、M&Aによる他社との資本提携を検討なさいました。

スキームは、発行済み株式の100%譲渡を行った上で、子会社社長としてA社長がそのまま経営を行う形を想定致しました。

結果、株式譲渡によって、A社長は役員報酬の手取り約15年分を株式譲渡益として譲渡日に受け取りました。譲渡後は、子会社社長として譲渡前の水準からは落ちるものの、役員報酬を安定的に得る形で現在もプロ経営者として業務を行っております。

A社長のように、業界の将来的なリスクを考え他社との資本提携を検討する会社が多くなってきています。

 

不可避なリスクに対する備え

先ほどお伝えした①老後の生活リスク②事業継続リスク③事業承継リスク(被承継者のリスク)の3つのリスクのほかに、「災害のリスク」にも気をつけなければならない時代になりました。各エリアで一定の周期で起こると言われている大地震、年に数回発生する死者が出るレベルの大雨災害、数年に一度発生するコロナのような突発的な感染症など、例を挙げればきりがありません。

 

ここ数か月で相談件数が激増、将来の不安を取り除くための資本提携

会社が成長局面にある段階で株式譲渡による資本提携を実行すると、前述したA社長のように、株式の譲渡日に、役員報酬手取りの15年分という老後の生活に必要な額としては十分なお金を得ることができる可能性があり、また、災害等が発生しても、資金力のある親会社から十分なサポートを受けることができる会社の体制を築くことができます。

 

医薬分業が始まり30年以上経ち、調剤薬局業界はビジネスモデルの転換期を迎えました。加えて、災害や感染症のリスクがある中、単独で経営をしていき、今の役員報酬を今後15年間もらい続けるためには”運”が必要となります。

社長個人にとってはもちろん、社長のご家族、従業員、従業員の家族、患者さんにとっても「資本提携」が最良の選択肢となる可能性がございます。ご自身の将来を”運”に託さないために、まずはどういった相手がいるのかどうか、譲渡額はいくらぐらいになるのか、担当コンサルタントにご相談をいただければと思います。

コロナや災害に単独で戦いを挑んでも勝ち目はありません。競争をするのではなく協調して会社を成長させていく時代です。当社としても、一社でも多くの企業が存続し、発展することを全力で支援をさせて頂きたいと考えておりますので、些細なことからぜひともご相談いただければと思います。

業界再編部 調剤薬局業界支援室

原 佑輔

東京理科大学卒業後、コンサルティング会社にてPEファンドや大手企業を中心とした顧客の収益改善に貢献した後、日本M&Aセンターに入社。入社以来、調剤薬局業界を専門に、M&Aを活用した事業の発展・存続のための支援を行う。北海道・青森県・長野県・奈良県・大阪府・和歌山県・兵庫県・鳥取県・島根県の調剤薬局を担当している。現在は物流業界の担当も兼任している。

東京理科大学卒業後、コンサルティング会社にてPEファンドや大手企業を中心とした顧客の収益改善に貢献した後、日本M&Aセンターに入社。入社以来、調剤薬局業界を専門に、M&Aを活用した事業の発展・存続のための支援を行う。北海道・青森県・長野県・奈良県・大阪府・和歌山県・兵庫県・鳥取県・島根県の調剤薬局を担当している。現在は物流業界の担当も兼任している。