コンサルタントインタビュー
コンサルタントインタビュ― 業種特化2部 食品業界専門グループ 岡田 享久
2023.5.12

岡田享久【おかだ・たかひさ】
略歴
神奈川県出身。早稲田大学法学部卒業後、明治安田生命保険を経て日本M&Aセンターに入社。現在は食品業界担当として、企業に事業承継型M&Aや成長戦略を提案する。
目次
インスタグラマーから食品業界に精通したM&Aコンサルタントへ
グルメな家族の影響で幼少期から外食が多い家庭にいたことで、人一倍「食」に関心を持って育ちました。社会人になってからは都内の名店を訪問して自身のインスタグラムで写真を投稿し、2年余りで300軒以上を情報発信してきました。店選びとビジュアルの良さからか、フォロワーは5万人以上と好評です。空腹を満たすために黙々と料理に向き合う食べ方も好きですが、店主や料理人から食のこだわりを伺い、その一品の背景を含めて味わうことを心掛けています。「料理人や生産者の想いに共感すること」で、食に対する熱い思いと畏敬の念を感じています。
私たちは、普段の食事をごく当たり前に口にしていますが、その過程を意識して食事する人は少ないと思います。目の前の一品を構成する食材にはそれぞれの生産者がいて、市場に卸され、流通加工を担う方々を経て、我々の直接的に対価を支払う小売りにつながっていくことで、食べ物を口にすることができます。私は思わず「美味しい」と感激する一品に向き合ったとき、生産者から口に運ばれるまでの壮大なドラマとその過程を支えてくれる人々を想像し、感謝を忘れないようにしています。
漠然と食品業界を支えるような仕事がしたいと思っていた時に、日本M&Aセンターには食品業界に特化した専門チームを持ち、生産者に真摯に向き合う姿勢を知り、「自分もM&Aで食品業界に貢献したい」と強く願い、大手生命保険会社からの転職を決めました。
安心して食べ物を味わう過程を守っていきたい
昨今の食品業界は後継者不在や人手不足、国内市場の低成長といった慢性的な問題から、世界の不確実性の高まりによる原材料・燃料代の高騰といった突発的な問題も抱えています。例えば売上高の同水準の企業でも原材料と燃料代の高騰で利益は目減りし、値上げで対応できる企業は限られています。そのため企業の経営体力は減少しています。
全国の食品業界の経営者と話すと、原材料の高騰等の影響は値上げだけだと対応できないとの切実な声を聞きます。厳しい経済環境に備えるためにも経営手段の1つとして、M&Aを検討する企業も増えています。
例えば、M&Aで自社より大きな企業の傘下に入ることで、これまで小ロットでしか仕入れできなかった材料が、共同仕入れでコストを抑えられるようになります。他にも、飲食店で経営者個人が多店舗運営できる限界値を超え、M&Aでマネジメントに優れたファンドに事業を譲り、店舗数を増加させた事例もあります。
食品業界のオーナーに寄り添うM&A
私は譲受け企業に譲渡企業を提案する際、営業として提案するだけでなく、譲渡企業の想いやこだわりを伝える代弁者の立場を強く意識しております。
創業400年の水産加工会社に、別の会社を譲り受けないか提案しました。直近の売り上げは順調で、十代以上にわたり地元から愛されてきた魚屋さんです。何度も通って譲渡企業の想いを伝えるうちに、経営者から「うちも数十年前は赤字で倒産寸前だったが、何とか立て直した。今後は面白いことに挑戦し、さらに地元に貢献できるような会社にしていきたい」と熱い想いを共有してくれました。譲渡企業の想いを繋げられたと感じ、胸が熱くなりました。
日本が世界に誇る素晴らしい食文化を後世に残していくため、これからも食品業界をM&Aで支援して、さらなる食品業界の発展に貢献していきます。