MENU
CLOSE

M&Aレポート

今後の食品卸売業界のM&A動向を考える

2021.3.10

  • 食品

Facebook Tiwter LINE

日本М&Aセンター食品業界支援室の松岡です。
当コラムは日本М&Aセンターの外食・食品専門チームの食品業界支援室のメンバーが業界の最新情報をお届けします。
第三回目となる今回は、食品卸売業界のM&Aについてお伝えしてまいります。

食品卸売業界は再編がひと段落した業界?

食品卸売業界は、よく「再編がひと段落した業界だ」という風に表現されます。

この表現の意味合いとしては、大手商社を中心として食品の販売・流通が系列化され、独立資本で経営を行う中堅食品卸企業が少なくなったことを指していると思われます。

東京商工リサーチに登録している食品卸企業を見てみると、売上30億円以下の企業が約28,000社、30~500億円以下の企業が約380社、500~1000億円以下の企業が約40社、1000億円超の企業が約30社となっており、市場としては中堅プレーヤーが少なく、売上30億円以下の中小企業が圧倒的多数を占める構造となっています。

食品卸業界の再編はどのように進んだか

食品卸業界の再編は、商社を中心とした大手食品卸企業の系列化という形で進みましたが、食品卸の機能という点では「フルラインナップ化」と「ワンストップサービス」というキーワードを進んだと言われています。

2014年ごろまではあらゆる商品を、一手に担える、ということが顧客に対する付加価値となっており、この視点でM&Aや組織再編が数多く行われておりました。2014年に大手食品商社を中心とした食品卸業界の再編はひと段落し、現在では以下の系列となっています。

再編の進んだ食品卸業界で、今後はどのようなM&Aが起きてくるか

このように再編の進んだ食品卸業界で、次のM&Aの主役となってくるのは中堅・中小企業であると予測されます。

「フルラインナップ化」と「ワンストップサービス」をキーワードに業界再編を進めた大手食品卸は利益率として1%前後という、超薄利多売のビジネスとなっています。売上のグロスの大きい大手であれば、この利益率でも経営として成立しますが、中堅中小企業では成立しません。

大手食品商社の「フルラインナップ化」と「ワンストップサービス」に対抗して、中堅中小企業は、逆に大手食品商社には真似できない単独商材の「特化型専門家集団」となっていくことが求められています。この「特化型専門集団」をキーワードに、M&Aによる中堅中小企業の再編が進んでいくと考えられます。

2020年には、鶏肉の卸売を行う売上約100億円の三昌物産(三重県四日市市)が同じく鶏肉の卸売を行うファインフーズ(香川県木田郡)を共同仕入れによる調達力の強化や自社が展開していないエリアへの販路拡大等のシナジーを見込んでM&Aしています。

同業同士のM&Aであれば、自社の扱っている商品領域に対してさらなる付加価値をつけて顧客に提供する、無駄なコストを削減できる等のシナジーを発揮しやすいということもあり、利益率の高さを維持しながら事業拡大できる手法と言えます。

実際に、一般的には事業多角化よりも専業特化の方が営業利益率は高まるというデータも出ています。


「仕入れ・販売・流通のノウハウ共有化」や「システム、バックオフィス機能などの効率化」または「販売先の共有化」、「特定分野における総合提案」など、特定の商品群についてスペシャリストになっていくことで高収益企業を目指すことが可能であり、そういった高収益企業となるためにM&Aは必須の手法といえるでしょう。

一方で大手食品商社は、付加価値をより高めるため積極的なIT投資や海外企業への積極投資、輸出入の強化に向けたより良い冷蔵・冷凍技術への投資などの大型投資を進めています。

こういった資本力のある企業の積極投資に対抗するには、中堅中小企業が互いに連携し、協力していく必要があると考えます。

いまは似通ったビジネスを日本に溢れさせ、その中でシェアの奪い合いに奔走するのではなく、同じビジネス、同じ志であれば手を組んで、積極的に協調する時代です。業界全体を考える優良な中堅・中小企業が集まって、業界構造を変え、新しいビジネスに挑戦しビジネスを進化させる時代です。


そのような中でM&Aは互いの協力関係を築く有効な手段となります。今後は各地域を代表するような企業が地域の枠組みを超えて、互いに提携関係を作っていくという事例も増えてくるでしょう。


いかがでしたでしょうか?
2週間に1回に渡って今後も食品業界支援室から最新の業界情報をお届けをさせて頂きます。
次回のコラムは食品業界支援室・白鳥より「食品企業×物流」をテーマにお送りいたします。

食品業界のM&Aへのご関心、ご質問、ご相談などございましたら、下記にお問い合わせフォームにてお問い合わせを頂ければ幸甚です。
買収のための譲渡案件のご紹介や、株式譲渡の無料相談を行います。
また、上場に向けた無料相談も行っております。お気軽にご相談ください。

お問い合わせフォーム

最新セミナー情報

製菓・製パン業界専門M&A・事業承継セミナー

■開催内容
製菓・製パン業界を取り巻く環境は大きな変化を迎えています。
1社では立ち向かえない壁も、複数の企業が一緒になることで乗り越えられることがあります。
3月25日に事例の紹介や実際にM&Aを活用して会社を譲渡したオーナー様にM&Aのリアルをお聞きします。

【3月25日 開催】何故、今、会社を売るべきか?
講師:株式会社トリアノン洋菓子店 代表取締役 安西 健太郎 様
司会:日本M&Aセンター 業種特化事業部 業界再編部 食品業界支援室 渡邉 智博

■日程および参加費

【日程】2021年3月25日(木) 18:00~19:00
※オンラインセミナー参加のためのURLは、事前にメールでご連絡いたします。
【参加方法】オンライン
【参加費】参加無料

参加申し込みはこちら
※競合他社様のご参加はお断りする場合がございますので予めご了承ください。


執筆者プロフィール

株式会社日本М&Aセンター
業界再編部 食品支援室 松岡弘仁
Mail:matsuoka@nihon-ma.co.jp
TEL:070-4577-1404

熊本県生まれ。東京大学法学部卒業後、日本M&Aセンターに入社。入社以来、食品業界専門チームにて食品業界の再編に取り組む。現在は主に外食業を中心に、食品製造・食品小売などのM&Aに携わる。