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M&Aレポート

譲渡オーナーとの語らい Vol.2
株式会社ファインシステム様(兵庫県・IT企業)

2021.3.25

  • IT

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兵庫県加古川市、重化学工業、繊維産業が盛んな同市に創業35年を迎える老舗のIT企業がある。売上約3億円、社員数30名程の同社は、創業者の佐藤勉氏が歯科技工所での勤務を経て、システムでの業務改善をヒントに、MS-DOSを用いて独学で歯科技工所向けシステム『いればくん』を作ったことが起業のきっかけとなっている。
2015年、同社を牽引してきた佐藤勉氏が急逝、株式の承継の問題を契機に、M&Aを実施した。
M&A前後の様子と想いを、創業者の奥様であり会社の立ち上げ当初から勤務してきた佐藤千代美氏、娘様であり現役員の佐藤みずは氏に話を聞いた。

本当に、突然のこと(M&Aのきっかけ)

(竹葉) M&Aをして1年半くらい経ちますが、いまいま振り返っていかがでしょうか?もともとは創業者であり、社長であるご主人様が突然お亡くなりになって、というところからだったと思いますが。

(千代美様) そうですね。2015年に主人が突然倒れまして。本当に突然のことだったのですが、その時まず頭に浮かんだのが「会社どうしよう!?会社どうするの?!従業員どうしよう。」でした。当時会社は創業30年くらいで、私自身も20年程勤めていたのですが、その2、3年前に娘に引き継いでいたので、会社に籍はあったのですが業務にはほとんどタッチしていない状況でした。
まず、「どうすればいいの?」という暗闇の中から、手探りでのスタートでした。

創業者である佐藤勉氏、昼夜問わず働き30年間同社を牽引、2015年10月12日に他界

(竹葉) 直後は奥様が社長を引き継がれて、その後現社長の山内様へ引き継がれたんですよね?

(千代美様) 一旦は、私が株を相続して、社長もということで進めていたのですが、私自身、既に会社から離れてしまっていたこともあって、新卒で入社して20年勤めている山内に「社長をやってほしい」と打診したところ、彼もすごく悩んだと思うのですが、引き受けてくれると言ってくれて、社長については山内にお願いすることにしました。

山内も一生懸命やってくれていたのですが、ずっと私には2つの不安要素がありました。一つは連帯保証です。個人では到底返しきれない額の借り入れがありましたし、自分が事業に関与していない会社の借り入れというのは、私自身にはとても荷が重いものになっていました。もう一つは会社の株式の相続の問題でした。私にも万が一のことがあり株式が自分の娘に渡ってしまうと、多額の相続税が発生してしまう。これは、何とかしないと、と思いました。

(竹葉) それがM&Aで株式の譲渡をお考えになったきっかけでしょうか?

(千代美様)  最初はM&Aという言葉さえ知らなくて、ネットで調べたり本を読んだりしました。家族に継がせるということはないですし、従業員(山内)にというのも、連帯保証人にもなって株も買わなければならないということは彼にとってものすごく大きな重荷になってしまうので、それもないなと。山内にも家庭がありますので。
そこで税理士さんとか銀行とか弁護士さんとかに相談することも考えたんですけど、M&Aに詳しい専門家は周囲にはいなかったので、これはおそらくM&Aの専門会社に頼んだ方がいいなと考えました。

1言ったら、10理解できた (担当コンサルタントについて)

(竹葉) 弊社とのきっかけは最初セミナーにお申込みいただいたところからだったと思いますが、 他社さんも検討されていたのですか?

(千代美様)  最初、娘がネットでセミナーを見つけてきてくれて、一緒に参加しました。そのセミナーは日本M&Aセンターさんではなくて他社さんのセミナーでしたが、また別の日に日本M&Aセンターさんのセミナーもあったので、そちらは私一人で参加して。あの雰囲気はすごくて圧倒されました。500人くらいいて、自分と同じ悩みを抱えている人がこんなにもいるのか、と。


(竹葉) その他社さんと、当社と2社で検討されていたのでしょうか?

(千代美様) 全部で4社くらいみました。

(竹葉) その中で当社に決めてくださった、その決め手みたいなものがあれば?

(千代美様) やっぱり、大手がいいかな、って。あとは料金をちゃんと取ってくれるところですね。お金を払ったほうが、その分ちゃんと動いてくれるかな、と。ちゃんとお金をとってくれないと、成功しそうにないところは放っておかれるのかな?とか不安になってしまって。あと、日本M&Aセンターさんは竹葉さんがうちの会社のことをすごく理解してくださっていて、1話したら10理解する人で、とても誠実そうでしたし。あとはレスポンスが早かったので。でも、一番の決め手は、日本M&Aセンターに大阪支社があったからです(笑)

行動と思考が逆のことをしなければならないのが辛かった。(譲渡の決断)

(竹葉) 譲渡をするということで契約させていただいて、2年程なかなかいいお相手をご紹介できなくて、後半は疲弊させてしまったかなと思っていまして‥特にみずはさん(娘)は会社へ勤めていたので、社員に隠しながら大変だったのではないかと思うのですが‥。

(みずは様)  そうですね。長くなるにつれて、だんだんともういいかな、って、諦めかけてた部分もあって、疲弊感もあって…。行動と思考が逆のことをしなければいけないという状態が、2年くらい続いたのはすごくしんどかったです。
ただ、私自身最初のころは、まだ引き気味だったと思うんです。譲渡したくないけど譲渡しなくちゃいけない、という両方の気持ちがあって、このまま進めていってもどこかで「やっぱりやめます、嫌です」って言っていいのか、言えるのかという葛藤ですとか、やっぱり自分たちで頑張っていくべきなのかな、とか。
でも、2年間という時間のなかで、譲渡の意思も整理がついてきて、最終的にパワーエッジさんとお会いして、「ファインシステムとしてはそのままでやっていって」という言葉を頂いて、やっと気持ちが固まりました。

食事が喉を通らなくなっていた(M&Aの開示)

(竹葉) 当初、株の譲渡について山内様はあまりポジティブな気持ちではなかったということでしたね。

(千代美様) 山内とふたりで食事に行ってM&Aの話を切り出したんですけど、私の切り出すタイミングが悪くて初めの方に言ってしまって。その後、山内がまったく食事が進まなくなって、やっぱりすごくショックだったんだな‥と思いました。

(みずは様) 地方では、皆さん創業社長で、株は自分で持たなければならないという意見の方が多くてその影響は大きいかもしれないです。彼自身、責任もって全部自分で背負っちゃうタイプということもありますし、周りの社長さんつながりの方々からも、「君が頑張れよ」とか、「社長業とは」ということを言ってくださっている中で、「僕、違います」というのは、これからの自分の立ち位置がどうなっていくのかがわからない怖さとか不安もあったのかな、と思うのですが…。借金をして株を買い取って連帯保証を負うほうが怖いよ、と今となっては思いますけどね(笑)
実際にM&A候補であるパワーエッジさんとお話しして、そういった不安や怖さが払しょくされたのかな、という印象を受けました。社長さんとも相性が良さそうでしたし、2年かかりましたけどこれでようやく進んでいけると思いました。

M&A翌日も、社員にはこれまでと同じような日々がある

2019年11月 成約式にて。

(竹葉) その後譲渡をして、2019年11月に開示をされたと思いますが、その時の皆さんの反応は如何でした?

(みずは様) 特に混乱はなかったですね。しばらく経ってからも、「で、あれは何だったの?」みたいな感じで(笑)パワーエッジさんが、意識的に急に変えないようにしてくれたのでそれもあるかもしれません。
M&Aをしても、社員には次の日も同じように、これまでと同じ役割があって仕事があって、時間がこれまで流れていくことが社員の安心につながりました。

(竹葉) 親会社への報告とかコミュニケーションの部分はどうですか?

(みずは様)  そのあたりは山内が報告をしていますね。都度相談もしているみたいですし、良い関係になっていると思います。新型コロナの影響で、イベント事業への打撃が大きいのですが、パワーエッジさんは「どうしようもないよね、やれることをやろうよ」といたって冷静で。ただ、状況が落ち着いて、大会だとかイベントができるようになると、反動でこれまでよりも参加者が増えると思うので、その時はちゃんと対応できるようにしようよ、ということで準備をしています。

(竹葉) ホームページの事業とかはどうですか?

(みずは様)  親会社やグループ企業からも仕事をもらっています。また、業務システム開発の部分で人手不足の場合は、親会社から派遣で協力いただいています。そう考えると、「人が来てくれて、仕事ももらえて、良いことばっかりだね、M&Aって…、悪い部分はないね」と、感じてます。

(竹葉) M&Aして良かった、という感じでしょうか?

(千代美様)  本当にそうですね。2019年11月に実行をしましたけども、してなかったら、そのまま新型コロナに突入していて、自分たちだけで、と思うと…。きっと新しいお相手も見つかってなかったでしょうし、不安しかなかったと思います。

(みずは様)  M&Aで、頼れる親会社がいるという安心感は本当に大きいです。

(千代美様)  パワーエッジの社長さんが、頼りになる方ですし、決断力ですとか頭の回転とか、夫よりも優れています(笑)

わたしは、運が良かったのかな、と思うんです。(M&Aを経て想うこと)

(竹葉) 最後に、事業承継に悩むオーナー様へのアドバイス等、一言頂けますか?

(千代美様)  本当に、「一寸先は闇」なんです。予想もしないことが起こるんですよね。
私にとって2015年からの5年間は激動でした。主人が突然亡くなって、ゆっくり考える間もなく会社の社長になって、M&Aがあって、そしてコロナと。。
家のことより会社のことがどんどん押し寄せてきて、多額の株を引き継ぐことや連帯保証のことですとか、わからないことばかりでした。
それでも私は運が良かったのかな、と思うんです。主人が亡くなったというのは、もちろん良くないことなのですが、娘が傍にいてくれましたし、山内が社長を引き受けてくれた、竹葉さんが粘り強くやってくれた、それで、パワーエッジさんが株を引き受けてくださって。
最後は、周囲に良い人がいて助けられたのかな、と。
株をどこに渡すか誰に渡すかは、遺された人が決めるのはとても難しいです、創業者である社長以外にはなかなか決められない。
主人は60で亡くなったのですが、50代から、従業員を巻き込まない為にもどうするかはしっかり考えていくべきと思います。いざというときは本当にすぐに来るんです。とお伝えしたいですね。

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公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、日本M&Aセンターに入社。IT業界専門のM&Aチームの立上げメンバーとして5年間で1000社以上のIT企業の経営者と接触し、IT業界のM&A業務に注力している。18年は京セラコミュニケーションシステム㈱とAIベンチャーの㈱RistのM&A、21年には(株)SHIFTと(株)VISHのM&A等を手掛ける。

上席課長
IT業界支援室室長
竹葉 聖