MENU
CLOSE

M&Aレポート

事業承継に悩んでいた洋菓子店オーナーのM&Aの決断から成約まで

2021.5.5

  • 食品

Facebook Tiwter LINE

こんにちは。(株)日本М&Aセンター食品業界支援室の図斉です。
当コラムは日本М&Aセンターの食品専門チームの食品業界支援室のメンバーが業界の最新情報を執筆しております。
今回は、2021年3月にご成約されたトアヴァルト有限会社(譲渡企業)×株式会社庫や(譲受け企業)のM&A成立までのストーリーについて執筆させて頂きます。

洋菓子一家の門林氏がM&Aを決意した背景

トアヴァルト有限会社は栃木県宇都宮市に本社を構える1998年創業の洋菓子店です。
創業者の門林秀昭氏は、祖父が自由が丘風月堂のオーナーである門林弥太郎であり、弥太郎氏は日本洋菓子界の草分け的存在です。また、「コロンバン」の創業者門倉国輝、「洋菓子のヒロタ」創業者廣田定一、「クローバー」創業者田中邦彦などの子弟を送り出しております。

洋菓子一家で育った門林秀昭氏は、カナダのバンフ・スプリング・ホテルで修行をし、バンクーバー・エドモンド・カルガリーで開催される食の祭典で、総合優勝、金賞などを受賞。
帰国後に、実家である自由が丘風月堂を継がずに、栃木県宇都宮市で創業。
現在、「欧風菓子グリンデルベルグ」として、宇都宮市と下野市の2店舗を構え、地元の方々に愛されております。

門林秀昭氏が譲渡を検討していた背景には、大きく2点ありました。

①後継者不在
門林氏は当時66歳であり、ご夫妻にはご子息がおらず、後継者がいない状況でありました。また、社内で経営者となりうる人材の育成も検討をしましたが、洋菓子店の従業員は、製造能力や接客に長けている方、またその仕事が好きという方は多いものの、経営者向きの人材はいないと考えておりました。

②従業員の雇用と「グリンデルベルグ」の屋号を守りたい
門林秀昭氏がこの思いを強く持っていたのは、実家である「自由が丘風月堂」が廃業したことが起因しております。「自由が丘風月堂」は祖父の門林弥太郎氏が創業。その後、父である泰夫氏が承継をしておりました。泰夫氏は、生涯現役を考えており、80歳すぎまで社長として、働いておりました。結果として、会社の引き継ぎ相手を探すことができず、廃業へ追い込まれました。

秀昭氏としましては、工場と2店舗で働く従業員の雇用と、将来的な屋号の継続を考えたときに、よりよい相手に引き継いでもらうことを考えておりました。

日本M&Aセンターに譲渡を依頼した背景

将来的には譲受先を探さなくてはいけないと考えていた中で、弊社に依頼をいただいたのは、下記の理由があります。

●全国にネットワークを有しており、幅広く候補先を探すことができる
元々、地銀の担当者とも懇意にしており、度々「事業承継のお悩みはございませんか」という言葉をいただいていたが、地銀だと同エリア内や取引銀行先としか声掛けができない点を危惧しておりました。洋菓子製造は、手間がかかる仕事であるため、譲受先が絞られてしまうと考えており、幅広く候補先を募る必要があると考えておりました。

●M&Aのプロに依頼したい
日本M&Aセンターは、創業30年を迎え累計6,500件超の成約実績を有しているため、地銀担当者に対して、ノウハウ等の共有・支援を行っており、資料の収集、企業評価、契約書の作成などは、日本M&Aセンターが要望に応じて対応しております。

昨今、このM&Aのビジネスに関しては、多くの会社が参入してきておりますが、結果として、M&A成約実績業界No.1であり多くのノウハウを有している弊社に依頼いただき、その他の仲介会社などから提示された評価額を上回る形で譲渡をすることができました。

譲受け企業を株式会社庫やに決めたポイント

トアヴァルトには、複数社が譲受け先の候補として、挙がってきました。
その中で、同県内である「株式会社庫や」を譲受け先として、ご決断をされました。庫やに決めたポイントは下記の2点となります。

●同業同エリアであり、自社の屋号・店舗を守ってもらえる
上記にも記載をしておりますが、門林秀昭氏としましては、第一条件にこれを優先しておりました。複数の候補先企業の中には、遠方他業種もありましたが、洋菓子製造販売は非常に工数のかかるビジネスだと門林秀昭氏は認識しており、遠方他業種の企業では管理が難しいのではないかと考えておりました。「株式会社庫や」はターゲットとなる顧客層は異なるものの、同エリアでかつ菓子製造業という観点から、自社をしっかり継続していただけるのではないかと考えておりました。

●門林秀昭氏の商品開発力を活かすことができる
「グリンデルベルグ」の商品展開は、あくまでも栃木の自家需要に合わせた商品、価格帯で設定しておりました。一方で、門林秀昭氏は、実家が「自由が丘風月堂」ということもあり、東京での価格設定の洋菓子開発などにも関心がありました。「株式会社庫や」では、ギフト需要を中心とした商品開発や東名阪での店舗展開を行っており、そこでに商品開発を行えることは、門林秀昭氏にとって、最後の楽しみとなっておりました。

トアヴァルト有限会社が評価されたポイント

●効率的な生産体制が構築されていた
洋菓子店では、今でも店舗で一人ひとりが手作りで作業することが多いですが、トアヴァルトでは、効率的な製造を行うために随時設備投資を図り、ロスが少なくなるように経営が行われておりました。また、製造のキャパシティとしても余裕があり、OEM製造等を請け負うことも可能でした。その製造能力を評価し、内製化のニーズがある企業が関心を示しました。

●コロナ禍でも堅調な売上を維持していた
トアヴァルトは、自家需要が売上の大半を占めており、コロナ禍でも自家需要の高まりからより売上を伸ばしておりました。コロナ前ですと、観光、インバウンド需要でブランド力がある高価格帯のほうが評価されやすく、地元密着の洋菓子店は、評価が分かれるケースが多かったですが、売上が堅調なタイミングで譲渡を決断されたことにより、高い評価を得ることができました。

直近菓子業界では、後継者不在の煽りも受け、多くのM&Aが行われております。特に、洋菓子に関しては、流行り廃りのスピード感が早く、商品開発力や技術力が求められるため、関心を示す企業が増えてきております。後継者不在の悩み等を抱えているが、自社に対して、本当に譲受け先が見つかるのか、評価されるのか、不安をお持ちの方は一度ご相談ください。

門林秀昭氏とのM&A前後の心境をインタビューした記事もまとめておりますので、ご参考にしていただければと思います。
インタビュー内容はこちら


いかがでしたでしょうか?
2週間に1回に渡って今後も食品業界支援室から最新の業界情報をお届けさせて頂きます。
次回のコラムは食品業界支援室江藤よりお送りいたします。

食品業界のM&Aへのご関心、ご質問、ご相談などございましたら、下記にお問い合わせフォームにてお問い合わせを頂ければ幸甚です。

買収のための譲渡案件のご紹介や、株式譲渡の無料相談を行います。
また、上場に向けた無料相談も行っております。お気軽にご相談ください。
お問い合わせフォーム

最新セミナー情報

■開催内容
(仮)洋菓子店のレジェンドが事業承継を決意した理由

■講師
・藤井克昭氏(株式会社藤井商事・取締役会長)
・門林秀昭氏(トアヴァルト有限会社・会長)

■日程および参加費
【日程】6月30日(水)

【開催方法】オンラインセミナー
※視聴のためのURLは、事前にメールでご連絡いたします。

【参加費】参加無料
※競合他社様のご参加はお断りする場合がございますので予めご了承ください。

執筆者プロフィール









株式会社日本М&Aセンター
業界再編部 食品支援室 図斉 亮介
Mail:zusai@nihon-ma.co.jp
TEL:070-7796-3550

埼玉県生まれ中央大学商学部卒業後、大手証券会社にて資産運用コンサルティングに従事。また、㈱マイナビにて、人材領域における法人営業・マネジャーを経験。その後、㈱日本М&Aセンターに入社。外食・食品業界専門チームにて、食品製造企業を中心に企業の存続と発展に向けたМ&A支援に携わる