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M&Aレポート

ブランドをM&Aで取得、もしくは承継する際の注意点と良いお相手の探し方のポイント

2021.6.2

  • 食品

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こんにちは。株式会社日本М&Aセンター食品業界支援室の白鳥です。
当コラムは日本М&Aセンターの食品専門チームの食品業界支援室のメンバーが業界の最新情報を執筆しております。
第12回目となる今回は、ブランド力のある商品を展開している会社を買収したい、老舗ブランドを残すために事業承継したい、といった食品業界のM&Aでよくある買収、譲渡理由であるこれらの観点からM&Aについて注意すべき点やどんなお相手探しを行えばよいかについて解説いたします。

ブランドを獲得したい際のM&Aの論点とは?

M&Aでは、食品の商品を展開している企業や長年に渡り地場でお店をやり続けている企業などが保有している「ブランド」に対して、企業の価値がつくことが多々あります。また、M&Aをする際にこのブランドの獲得を目的に実施する企業も多いため、譲渡企業様はブランドの価値を守る必要があります。ブランドの価値を守るためにしなければいけないことは、特許庁への商標登録です。商標登録の申請には、約数十万円未満の費用はかかるものの、他社が登録していなければ、問題なく取得することが可能です。商標の登録があれば、例えば競合に模倣されたとき、法的に優位な立場に立つことができます。
注意点としては、申請しても1週間くらいでは取得が下りず、約7~12か月ほど時間がかかる点です。日本ではだいたい800万件以上を超える商標が登録されており、毎年10万件以上の新しい登録があります。そのため、新商品を思いついたら際は「特許庁 商標 検索」とWebで検索していただき、すでに登録されていないか確認されたほうがよいです。

過去の食品の商標問題でトラブルになった事例として、「堂島ロール」などの洋菓子で有名なモンシェールという会社の例をご紹介します。
この会社は昔、モンシュシュという会社名で多店舗展開を行っていましたが、この商標は他社が既に登録していた商標であることが発覚し、他社からの訴訟を受け、敗訴し、賠償金を5千万円以上支払い、かつブランド、店名をすべて現在の「モンシェール」へ変更するという事がありました。
このようにブランドにおける商標というものは、非常に重要な法務論点になります。

実際にあった、ブランド取得のM&Aにおけるポイントと決着の仕方とは?

前述した商標権については、
1:何かしらのブランドを展開している
2:その商標をしかるべき業種でM&Aの対象となる法人が登録している
の条件を満たしていれば、平たく言えば何も問題はありません。2のしかるべき業種というのは重要ですので後述させていただきます。

一方で我々が日々、お手伝いさせていただいている譲渡希望の中小企業様が「商標を登録している」ケースはあまり多くありません。中小企業様の場合、「日々おいしい商品を作るためにはどうするべきか」、「どうすれば今月来月の売上高をあげることができるか?」に集中されている社長様が多く、法務的な論点まで手が回らない会社様が多いのが現実です。
また、「商標登録してなかったら、自分の会社は事業承継できないのか!?」または「売却する会社の価値は落ちてしまうのか!?」と思われている社長様もいらっしゃると思いますので、私の経験から実際にあった商標トラブル、そしてそれをどう乗り越えてM&Aを成功できたのかをご紹介したいと思います。

事例:大手小売店舗ビジネス展開の企業(以下、A社)と中小小売企業(以下、B社)のM&A
※食品関係ではないですが、商標という観点では共通項があるため記載させていただきます

B社は中小企業であるものの、若いオーナー社長の傑出したセンスと卓越した営業力で、大手企業が獲得できない顧客先アカウントも持っており、コアなファンの間では超有名な高級ラインのブランドを取り扱うお店を展開しています。このお店の商号を仮にCとしますが、Cはビジネスの屋台骨であり必要不可欠なブランドと位置付けることができました。ただお店の商号ついて、実は既に他社が同じ業種領域で商標を取得していることが、買い手企業様へ提案する前に当社の調査で発覚しました。買い手企業のA社もブランド取得を目的としたM&Aですので困惑は隠せておりませんでした。その後この件については、買い手、売り手、当社で喧々諤々議論をした結果(詳細は割愛しますが)、最終の株式契約書上では今後起こりうる商号Cの商標権トラブルを売り手社長の責任に押し付けるのではなく、買い手も協力しながら「商標の取得」ではなく「商標の使用に関して努力するものとする」という契約書にして両社押印をしました。
その後紆余曲折ありましたが、売り手社長は今後世界に打ってでるブランドにしていきたく、例えばアジアでも問題ない商標でお店の名前を変えていきたいという意向を持っており、これに対して買い手A社社長も寛容な姿勢を示したため、ブランド名を変更するということで無事決着しました。

ブランドトラブルがありながら成功した今回のM&Aのポイントは3点あったと考えております。
1:事前に商標が取得されていないことを明示していたことで議論が事前にできたこと
2:最終契約書上、商標に関するトラブルは売り手オーナーの責任に押し付けず、買い手も問題解決に向けて全面的に協力していただけたこと
3:当社の専門家も含めて徹底的に議論しつくしたこと

特に、2番目の買い手企業の懐の深さも非常に重要なポイントになりますが、1番、3番も非常に重要だと思っております。
売り手社長もやはり、登録してなかった負い目を少なからず感じていますが、それに対して過去の過失を責めたり、また未来に責任を追及したりするとM&Aはできません。とはいえ、買い手企業は、売り手企業のブランドに価値をつけているのでそれが取得できておらず、他社から訴訟なんて受けたらたまったものではないという気持ちもわかります。ではどうすれば良いのでしょうか?

我々はこの手の問題を過去枚挙にいとまがないほど乗り越えてきた実績があります。
種々の問題はあるものの、「このM&Aはなんのために行うのか?」、「両社発展に向けて本当に解決策はないのか」、「考え尽くしたのか?」などを当事者である売り手企業・買い手企業よりも、当事者意識を持ち、解決に向けて専門家からの意見も聞きながら、法務的な立場100%ではなく、オーナーの心理面、実務面含めて落としどころを見出していくことが必要です。従いまして、安心・納得のいくM&Aを実施したい場合は、売り手企業、買り手企業にどこまでも伴走する、信頼のおける仲介会社を担当に付けることが非常に重要かと思います。

どのようなパートナーを探していくべきか?

ブランドビジネスを売りにしている企業がお相手探しをする際に考えるポイントは、下記の2点となります。
1:大前提として協力体制で取得や使用に向かって動いていただけるスタンスの買い手企業を探す
2:買い手企業に提案する前にリスクをすべて洗い出し、専門家の意見も添えておく
この2点を重視してお相手を探していく必要があると考えます。

まず1の点でいくと、確かに買い手企業からすると商標については大事な論点ではありますが、「本当に商標だけがM&Aの本質なのか」ということを考えて頂き、こういったことをご理解頂ける先というのは非常に良いパートナーだと言えます。売り手オーナーの営業力やブランド構築力、人脈やアカウントなど他の強みもあったりするため、それらも含めてM&A、また「買い手、売り手双方が協力しあって両社の発展を目指していくのだ」というスタンスである優良買い手企業を探索するということが重要になります。

また2の点に関しては、我々は常時年間約10,000社超の譲渡企業との相談を受けており、さらにその中から着手金をお支払いいただき譲渡を希望される約1,000社と当社は専属の仲介契約を締結しております。また、譲受を希望される企業へ案件を提案する前に、当社社内で約30名の弁護士、会計士、社労士、司法書士など士業の専門家を通してリスクの洗い出しを実施しております。

従いまして、上記の2点の観点から「ブランド力を持っている商品がある」、「商標を持っておらず、他社が持っている可能性がある等で論点になりそうな企業様」、「老舗企業で事業承継にお困りの企業様」はまず当社の方へお気軽に無料相談のご依頼を頂くことが第一ステップになります。どんな相手先が想定されるのか、譲渡対価はどれくらいの想定になるのか、どのように進めていくのか、些細なご相談だけでもお気軽に下記の連絡先から当社専門コンサルタントまでご相談ください。

いかがでしたでしょうか?
2週間に1回に渡って今後も食品業界支援室から最新の業界情報をお届けさせて頂きます。
次回のコラムは食品業界支援室松岡よりお送りいたします。

食品業界のM&Aへのご関心、ご質問、ご相談などございましたら、下記にお問い合わせフォームにてお問い合わせを頂ければ幸甚です。
買収のための譲渡案件のご紹介や、株式譲渡の無料相談を行います。
また、上場に向けた無料相談も行っております。お気軽にご相談ください。

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執筆者プロフィール



株式会社日本М&Aセンター
業界再編部 食品支援室 白鳥雄飛
Mail:shiratori@nihon-ma.co.jp
TEL:070-4577-1390

宮城県仙台市生まれ東京工業大学卒業後、㈱リクルートにて、法人営業を経験。その後、㈱日本М&Aセンターに入社。食品業界支援室にて、食品業界を中心に上場企業から中堅・中小企業まで幅広くM&Aの支援を行っている。