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M&Aレポート

【開催報告】 Pharmacy Leaders Day2021 (Day1編)

2021.6.7

  • 調剤薬局
  • セミナー

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2021年4月22日、23日の2日間にわたり、Pharmacy Leaders Day2021と題した、調剤薬局経営者向けのセミナーをオンラインにて、 開催いたしました。

本イベントでは、3年後、5年後、10年後を見据えた薬局経営はどうあるべきか。
薬機法が改正されるごとに処方箋単価は下がり続けるのか、他業界からの参入は、オンライン診療、マイナンバー…
激動の薬局業界において、業界の雄は何を考え、どう動いているのかについて、業界のリーダー達から最先端情報の業界動向と勝ち残るためのDXについてお話いただき、2日間で100名を超える方々にご視聴の申込いただきました。

イベントの概要をDay1、Dayの2本に分けて公開させていただきます。

本レポートでは、Day1の様子をレポートいたします。

第1部 業界再編真っ只中 データで見る調剤薬局とM&A戦略

日本M&Aセンター調剤薬局業界責任者の山田紘己が、最盛期にある調剤薬局M&Aの動向から将来における予測を、“業界再編5つの法則”について触れつつ、解説しました。

現在、調剤業界上位10社のシェアは約18%ですが、他の業界が成熟していったスピードから考えると、調剤業界上位10社のシェアは2030年には36%、2040年には72%になると予測できます。

日本企業の中でも特に調剤薬局業界は大手上場チェーンの平均営業利益率が3.6%と低い点から、今まで以上に成長戦略が重要になっていき、その中でM&AやDXの推進によって高収益化を目指していく動きが加速しています。

ガソリンスタンドなどに見られるように拠点ビジネスの臨界点は6万店前後(約2,000人に1拠点)であり、それ以後は、業界再編によって個人経営からグループ参画、成長戦略へとシフトしていくため、企業が生き残るには上位3万企業に入れるかが今後業界再編を生き抜くポイントであると解説いたしました。

現在、アインホールディングスの営業利益率は5.5%ですが、今後DXの推進などで高めていく動きがあり、上場企業売上TOP500の平均営業利益率が7.0%である点からも、今後営業利益率改善の余地があると考えられます。

そのため、中堅・中小企業が今後単独で生き残るためには、利益率が大手各社より高い状態を維持できるか、シェアを保てるかが、重要であり、単独での改革が厳しい場合には早急に業界再編の波に乗り、大手の資本力やインフラを利用して成長していく必要性があると解説いたしました。

そして、各企業が各々のシェアを高めるだけでなく、積極的に協調していくことによってより大きな発展を目指し、そのためにM&Aを活用する必要性があるとお話しいただきました。

第2部 調剤薬局におけるDX経営 未来のあるべき薬局の姿と実現のためのDXについて

株式会社カケハシ代表取締役社長の中尾豊氏から、 近年注目されているDX戦略に関し、薬局業界におけるDXの推進が他業種より遅れている点や経産省がDXを推進している点に着目し、調剤業界における活用方法について解説いただきました。

法改正によりデジタル化が進むことで、患者の選択肢が増加するため、薬局業界として物流やテクノロジー面での変革を迫られています。今後はオンライン服薬指導も増加し、さらに2021年8月の薬機法改正により、地域連携薬局に認定されることが求められるため、従来の立地に依存したビジネスから、付加価値を追求していくビジネスへと転換していくことが考えられます。

中尾氏は調剤薬局業界においても、各企業がDX部門の担当者やDXに注力する部署を設置することを推奨されております。本講演ではDX戦略導入メリットとして大きく2つのステップを掲げ、ステップ1に売上向上、コスト削減、リスク低減の3点、このステップが完了したタイミングでのステップ2として、メッセージサービスであったLINEが近年多彩なサービスを展開しているように、顧客基盤などを活用した新ビジネスが展開可能となり、そのために適切なDX戦略とそれによって得られたデータベースを能動的に活用していく必要性があるとお話しいただきました。

第3部 パネルディスカッション 薬局の未来と経営戦略

一般社団法人日本保険薬局協会会長 兼 株式会社アインホールディングス代表取締役専務の首藤正一氏、株式会社カケハシ 代表取締役社長の中尾豊氏、日本M&Aセンター取締役の渡部恒郎の3名による対談を、株式会社カケハシ 代表取締役CEOの中川貴史氏のファシリテーションにより中継いたしました。

本講演では、大きく以下の3点について対談頂きました。

1.調剤薬局における経営動向について
2.薬局業界のデジタル化について
3.薬局業界のビジネスモデル変化について

1.調剤薬局における経営動向について

首藤氏は、診療報酬改定はどうなるか分からない中でも、コロナ禍で今までにない財政状況である理由から薬価改定には厳しく働くことが予想され、中尾氏は長期処方による技術料の低下など、経営が圧迫される未来に備え、在庫リスクの低減とDX戦略の二本軸で戦略を立てることが大切だとお話しいただきました。

また、渡部からは、大企業傘下に入ることで資金に余裕を持ち、感染症や震災、水害に対応できる自力を付けてリスクに備えて、対応していく必要性を述べました。

加えて中尾氏は、業界全体として薬剤師の介入価値をもっと世の中に発信し、対人業務の必要性を知ってもらうことが大切だとお話いただきました。

最後に首藤氏から、対人業務のベーシック化を行っていく必要性を挙げられた後に、2013年のSARS流行でデジタル化を促進した中国・韓国企業が現在台頭してきている例を挙げられ、後ろ向きでなく前向きな投資に踏み切る姿勢を見習うべきとの想いをお話しいただきました。

2.薬局業界のデジタル化について

中尾氏から、顧客管理の概念が重要であり、Amazonなどの巨大プレイヤーが薬局を展開した場合のリスクに対して、患者の処方・生活データを持っている調剤薬局にまだまだ優位性があるというお話をしていただきました。

また、処方箋の電子化に対して首藤氏は、方向性が決まっていない中で進めるのは現場に混乱を招くリスクも伴うため、メリットは多いものの現場の負担と調整しながら導入を考えていく必要性があると述べられました。

3.薬局業界のビジネスモデル変化について

渡部の長期的に考えると「より良い医療を誰がどうやって」発展させていくかが大事であり、日本の営業利益率が大きく米国を下回る観点から、M&Aによって上位10社のシェアが増加することで、業界の成熟、コスト削減、利益向上に繋がるという考えについて、

中尾氏からは、ドミナント戦略企業が今後DXによって患者ニーズの連携などを強化すれば、後発参入しにくい構図が出来上がるとし、業界としてデジタルを活用しながら生産を高める過渡期に来ていると付け加えていただきました。

また、首藤氏は、約17万人いる薬剤師の能力を最大限発揮するためにデジタルは不可欠であり、約5.9万件の薬局が共に地域活動に注力することで、地域になくてはならない存在として、社会に貢献していくことが出来ると結論付けられました。

コンサルタント紹介

業界再編部 上席課長 調剤薬局支援室 室長 山田 紘己 
慶應義塾大学商学部、米国コロラド大学ビジネススクールを経て日本M&Aセンター入社。
業界特化事業部の立ち上げに参画。以来、業界再編業種を中心に、幅広い業界でM&Aを支援。




業界再編部 調剤薬局業界支援室 本田 太一 
関西大学経済学部卒業。学生時代はアイススケート部に所属し、全日本選手権7度出場、全日本インカレ2度の団体優勝。2021年4月に日本M&Aセンターに新卒入社し、調剤薬局業界を専門としたM&A業務に取り組む。