MENU
CLOSE

M&Aレポート

物流業界の概要と市場環境

2021.7.9

  • 物流

Facebook Tiwter LINE

目次

[ 閉じる ][ 開く ]

物流業界の概要

物流業界は私たちが生きていくうえで、あらゆる場面で関わってくる欠かせないものです。
そもそも「物流」とはモノを消費者までに運ぶ過程このことを指します。単にモノを運ぶというだけではなく、広くは輸送、保管、荷役、包装、流通加工などが含まれ、これらを合わせて物流の五大機能と言われています。また、物流にもいろいろと種類があり、販売物流、調達物流、生産物流、回収物流、リサイクル物流などいろいろな形態があります。

販売物流・・・生産者から消費者へモノが移動するながれ
調達物流・・・製品の原材料や部品等が移動するながれ
生産物流・・・調達したモノの管理や工場内でのながれ、倉庫まで移動するながれ
回収物流・・・消費者に届いた後のモノが役目を終えて回収や再資源化されるときのながれ
リサイクル物流・・・リサイクル可能なものの回収や再資源化されるときのながれ

また輸送、配送、運送などもあり、下記のように分類されています。

輸送・・・一次輸送と言われ、主に長距離の輸送を指す
配送・・・二次輸送と言われ、主に近距離の小口輸送を指す
運送・・・トラックを用いての輸送や配送を指す

輸送の仕方にも種類があり、トラック輸送、鉄道輸送、海運輸送、航空輸送などがあります。
私たち一個人にモノを届けることも重要ですが、製品を生産している企業にとっては正しくモノが動くかどうかで大きな影響を及ぼす事態にもなるため、私たちの生活の中で生命線であり、血液のような役割を担っています。
そのような中、モノを運ぶ流れを指す「物流」と、それを一元管理して、より効率的な物流を可能にする概念のことを「ロジスティクス」と呼んでいます。
昨今ではECなどが流行っており、単に時間通りに運ぶことだけではなく、多品種と小ロットで多頻度で運ぶということが大切になってきています。多様化する物流に対応するためにはロジスティクスの考え方が欠かせないものとなっています。
ロジスティクスとは元々軍隊用語でした。戦争を遂行するために必要な人的、物的資源などを維持、増強して提供することを意味しており、フランスのナポレオンの時代から用いられた言葉でした。ロジスティクスが十分に機能しなければ戦争で良い結果を出すことができず、兵士の命も危うくなることから、とても重要なものと位置付けられてきました。これを物流の新たな概念として適用し、在庫の適正化や無駄な生産の回避、物流コストの削減等に役立っています。

かつてはメーカーなどが自前で物流子会社をもつことが多かったが、今では逆にそれらを外注することによって効率化する動きも出ている。物流部門を第三者に委託する業務形態として生まれた概念が3PL(サードパーティロジスティクス)です。多くの企業が物流に関して悩みを抱えており、どのようにしたら効率的にできるのかということが事業において非常に重要になってきています。しかし、物流網(輸送手段や倉庫、それにかかわる人的リソースなど)をすべてそろえることは多大なコストと手間がかかるため、それらを外注しようということが注目されました。これにより、企業は本来集中すべき事業への投資が可能となり、さらにはコストダウンや無駄が省けることでのキャッシュフローの改善、加えて物流コストの明確な見える化が可能となるなどのメリットを享受できるようになりました。最近では3PL同士をいろいろと組み合わせてコンサルティング機能をもたせる4PL(フォースパーティーロジスティクス)というものも出てきています。これらは今後期待されている分野となります。

物流業界の市場環境

日本の物流業界の市場規模は約26兆円(トラック、鉄道、外航海運、航空、倉庫等)であり、日本のGDP総額の約4.5%を占めています。他業界と比べると、外食業界(約26兆円)と同等程度、コンビニ業界(約11兆円)の倍以上の規模であり、日本の中で存在感の大きな業界となっています。また、国土交通省のデータによると、就業者数は約250万人(全産業就業者数の約4%)にのぼると言われています。物流業界の上位企業に目を向けてみますと日本郵船(売上2兆1,832億円)、日本通運(売上1兆9,953億円)、ヤマトホールディングス(売上1兆5,388億円)、SGホールディングス(売上1兆450億円)、アルプスアルパイン(売上8,583億円)とつづき、上位10社で約半数近くのシェアとなっています。物流業界の各分野ごとの市場シェアは下記のグラフの通りとなっています。全体の約6割(16兆3,571億円)を占めているのがトラック運送事業であり、国内貨物総輸送量における輸送分担率(トンベース)では約9割を占めており、日本の物流の主役といえる分野です。現在ではこのトラック運送事業に再編の流れが生まれており、今後の物流業界の動きを左右する重要な分野と言えます。

※ 国土交通省統計資料より、国土交通省総合政策局物流政策課が作成したデータをもとに株式会社日本M&Aセンターにてグラフ化。
※ データは平成30年度のもの(一部例外、推計値有り)。この他に内航利用運送事業者、自動車利用運送事業者が存在。
※ 一部の業種については、報告提出事業者のみの合計の数値。

トラック運送事業について簡単に解説をしていきますと、全日本トラック協会のデータによれば、トラック運送事業の事業者数は平成29年時点で62,276社であり、そのうち従業員が100人以下の企業が全体の97%を占めている状況です。

出典:国土交通省のデータより

これほどまでに中堅中小企業が大半を占めていることには歴史的な背景があり、平成2年12月に施行された、いわゆる“物流二法”が新規参入事業者の急増、市場競争の激化をもたらしました。物流二法とは貨物自動車運送事業法と貨物運送取扱事業法のことであり、事業の参入に当たっては免許制であったものが許可制にかわり、運賃も認可制から事前届出制(その後平成15年に事後届出制)にかわるなど、経済的な規制が大幅に緩和されたため、一般貨物許可は「トラックが5台あれば起業ができる」仕組みとなり参入障壁が一気に下がる結果となりました。これにより平成2年には40,072社であった事業者数は急激に増え、ピーク時には63,122社(平成19年)と約1.5倍になった。事業者数は約6万社が限界と考えられていますが、それは日本の拠点ビジネスにおける限界数が6万と考えられているからです。(6万拠点の法則)例えば、ガソリンスタンドは拠点数がかつて6万ありましたが、その後は20年の時を経て3万4千に減少しています。同様に町の電器屋さんも5万7千あったのが3万に減っています。6万という数字は日本ではしばしば飽和点と考えられており、コンビニや歯医者、調剤薬局業界でも同様に6万という数字からなかなか増加はしていないのが現状であり、さらには今後は淘汰されていくと考えられています。実際にトラック運送事業もピークを迎えてからは徐々に減少しており、現在も全体としては減りつつけています。
輸送需要が数十年伸び悩んでいることに加えて事業者数の急増、さらには近年Eコマース等の対応により小口化、多頻度化に拍車がかかり、効率性の低下に負担増を強いられている状況となっています。結果的に積載効率は低下し続け、現在では40%程度(載室の60%を空にしたまま運んでいること)となってしまっているのも事実です。

出典:国土交通省 物流を取り巻く環境について

出典:国土交通省 物流を取り巻く環境について

東京大学工学部卒。野村證券株式会社、土木資材メーカーの副社長として経営に参画後、日本M&Aセンターに入社。経営者としての経験をもとに中小企業オーナーの立場に立ったM&Aを提案。2019年度全社MVP・全社最高売上を記録。

業界再編部 部長
物流業界支援室 室長
山本 夢人