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M&Aレポート

外食企業の逆境に役立つ雇用調整助成金の「教育訓練」

2021.10.27

  • 食品

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日本M&Aセンター食品業界支援室の松原です。
当コラムは日本M&Aセンターの外食・食品専門チームの食品業界支援室のメンバーが業界の最新情報をお届けします。

今回は、私たちが担当しているクライアントの多くが活用している雇用調整助成金を活用した教育訓練スキームについてお伝えしてまいります。

あまり知られていない雇用調整助成金の「教育訓練」

食品関連企業、とりわけ外食企業の経営者様で、雇用調整助成金を知らない方はほとんどいないことでしょう。雇用調整助成金は、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、休業等により労働者の雇用の維持を図る場合に、休業手当、賃金の一部を助成するものです。

雇用調整助成金自体は以前からある制度ですが、昨年4月以降、新型コロナウイルスの影響により、大幅に受給要件が緩和されています。

皆様が雇用調整助成金に持つイメージとして、飲食店が自治体からの休業要請に応じて、店舗を休ませ、従業員の給与に対する手当として給付される雇用調整助成金の休業給付が多いと思います。

ほとんど知られていませんが、新型コロナウイルスの影響を受けている期間中、従前の雇用調整助成金では助成対象外となっている、教育訓練が支給対象になります。特例として半日訓練、半日就業が可能になりました。つまり企業は営業活動を続けたまま、コロナ影響で業務が減少した分の時間を、スキルアップに充てることができ、国がそれに対して費用を補助するということになります。

半日研修の場合、最大で1人当り1回7,950円の支給を受けることができます。従業員100人の企業であれば3ヶ月間研修を行うと、約5,000万円の助成金を受給できます。職業に関する知識、技能、技術の習得や向上が期待できる研修が補助金で賄えるこちらの制度をご存じない企業も多いので、今回のコラムで詳しくご紹介したいと思います。

出典:https://www.mhlw.go.jp/content/000632248.pdf

雇用調整助成金の「教育訓練」の特徴

①実質無償での社員育成
コロナ後の事業と組織の成長に必要なビジネススキルを業務閑散期であるコロナ期間中に行うことができ、従業員の皆様のスキルアップを図れます。1箇所に集まる従来の企業研修ではなく、動画教材を活用することが可能になりましたので、場所や時間に縛られずに柔軟に受講ができます。
平常時の教育訓練助成金制度もありますが、受給要件が厳しく、事前申請が必要でした。研修費用の全額ではなく最大で60%前後が給付されるものでした。
雇用調整助成金の「教育訓練」のように、無償で従業員のスキルアップが図れるチャンスは過去にはありませんでしたし、今後もほとんど起こりえないことでしょう。

②通常業務との両立可能
雇用調整助成金の「休業」とは異なり、「教育訓練」では「半日研修(最短3時間)+半日通常業務」といった形での利用が可能で、日によって「休業」との並行利用も可能です。
外食企業であれば、ずっと休業するとお客様から忘れられてしまいますので、営業したまま空いた時間で教育訓練を行いながら助成金を受取る企業も増えてきています。

受給要件及び申請方法について

先述のように、雇用調整助成金の「教育訓練」は、コロナ禍で空いた時間を部分活用し、助成を得ながら社員の育成を行うことが可能なスキームです。具体的な受給要件や受講方法などについてお伝えしたいと思います。

まず、雇用調整助成金の助成対象となる企業は、新型コロナに伴う事業影響が一定数ある企業になります。具体的には、月の売上が前年同月比5%以上減、もしくは直近の3ヶ月のうち、どこかの月の売上が1年以内の任意の月と比較して5%以上減の企業が当てはまります。

雇用調整助成金のベース金額として1日最大13,500円/人に加えて、訓練加算2,400円/人が受給できます。この合算額の半分である7,950円が半日訓練の受給額の上限になります。

雇用保険に加入していれば、正社員以外の方(契約社員、パートアルバイトでの雇用保険加入者)も対象となります。
研修会社にて研修プログラムを申し込み、従業員各自が動画研修をPCまたはスマートフォンで視聴した後、視聴した記録(短い感想)を残します。

事前申請は必要がなく、研修を受講した後、研修会社が用意したカリキュラム一覧と視聴後の感想文などをまとめて管轄の労働局またはハローワークに提出し、助成金の申請を行います。約3~6週間で振り込まれることが多いです。
申請に関しましては、厚生労働省ホームページをご参照ください。
▼https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyouchouseijoseikin_20200410_forms.html#kunren_manual

「教育訓練」は、コロナ禍で打撃を受けている企業が事業に持続的に関与しながら、体系立ったスキルを習得できる機会を与えることができます。

私のクライアントは外食関連企業が多く、コロナ禍が始まった頃から大きな事業インパクトを受けていました。雇用調整助成金の「教育訓練」をご紹介して「なかなか中小企業としては研修の機会を得られなかったが、コロナ禍で空いた時間に研修を受けることができ、アフターコロナを万全に備えることができた。」、「サービス業は人で成り立つビジネスですから、費用をかけられる大手企業と同じような研修を助成金で賄えることができ、今後同業他社に大きく差をつけられそうだ。」といったありがたいご感想をいただいています。来年3月までしか受給できない時限措置になりますので、ご興味のある方はぜひお問合せ頂ければ、より具体的にお伝えさせていただきます。


いかがでしたでしょうか?
2週間に1回に渡って今後も食品業界支援室から最新の業界情報をお届けさせて頂きます。
次回のコラムは食品業界支援室・高橋よりお送りいたします。

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執筆者プロフィール

 

株式会社日本М&Aセンター
業界再編部 食品業界支援室 松原鵬博
Mail: t.matsubara@nihon-ma.co.jp
TEL:070-2493-4494

中国遼寧省生まれ、福岡県育ち。東京外国語大学外国語学部卒。日本語、中国語、英語が堪能。大和証券の本店営業部で中小企業の資産運用コンサルタントを経験した後、食品製造会社を起業、メディアでも話題に。日本M&Aセンター入社後は食品製造業を経営していた経験を活かし、食品業界支援室で食品製造企業や外食企業のM&Aを支援。上場支援や補助金関連のアドバイスにも強い。