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M&Aレポート

創業200年の老舗食品製造業がМ&Aで次の300年を目指す

2021.11.2

  • 食品

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こんにちは。(株)日本М&Aセンター食品業界支援室の高橋です
当コラムは日本М&Aセンターの食品専門チームの食品業界支援室のメンバーが業界の最新情報を執筆しております。
今回は、創業200年の老舗食品製造業がМ&Aで次の300年を目指した事例について執筆させて頂きます。

創業200年の老舗食品製造業がМ&Aを決意した日

2020年の某日、とある老舗食品製造業のA社から事業承継のご相談を受けました。A社は創業200年を超えている企業様で、地域の食材を使った商品を展開するなど、まさに地域を代表する食品製造業でありました。
そういった中、社長は7代目として会社経営をされておりましたが、「後継者不在」、「作っている食品の市場規模の縮小」、「役員である親族の体調不良」などから今後の企業の存続と発展を考え、当社にご相談を頂きました。

社長としては、会社の存続と発展のためには、自分たちとは違った強みを持つ企業とのМ&Aが必要不可欠だと考えている一方で、親族の中には一部反対の声があがりました。

 反対されている一番の理由としては、「他の会社のグループになることに対する、得体の知れない不安感」という点でした。この問題に対して、社長は一人一人に対して、手紙を書くなど、なぜМ&Aをする決断に至ったのか、今の会社にとっていかにМ&Aという手段が重要か、ということを必死に説明され、当時は渋々ではあったものの、何とか合意を得ることが出来、お相手探しを始めることとなりました。

社長が掲げたМ&Aにおけるお相手探しの3つの条件

社長が求めるМ&Aパートナーとしては、①後任の派遣など引継ぎがしっかりできる企業②自社所属している市場外のプレイヤー③自社にない販路を持っている企業様、といったことを条件に挙げられました。

①に関しては、もっとも重要視されており、既存の社員の中から経営陣に引き上げることは難しく、会社運営を継続していくためには最も重要な要素として捉えられておりました。

②に関しては、自社が所属している食品業界がクローズドなマーケットで、市場のプレイヤーも限定されているため、一度話が漏れると一気に広まってしまうリスクを考え、シナジーは見込みやすいものの避けてお相手を探す方針となりました。

③に関しては、М&Aを通じて自社単独では実現できない成長を目指すという目的の中で、自社の商品を更に拡販できる可能性を持ったパートナーと組むのがベストではないかということで、上記の3点を軸にお相手探しをスタートしました。

しかし、お相手探しを始めた当初は、自社が扱っている商品が、現代の日本においてはあまり食べられなくなってきている商品であったため、なかなか具体的な候補先が出てこない日々が続いており、この当時の社長としては、なかなかお相手が出てこないことに対する焦りや不安など様々な葛藤があったかと思います。

それでも、会社や従業員のことを考えたときに、当初掲げた3つの条件を変えることは良くないと考え、自社にとって最良のパートナーを探し続けることとなりました。
そういった中、ご相談を頂いてから約1年後に急成長中の食品卸の会社様から、自社のパートナーとなって欲しいとの意向が上がることとなります。

創業300年の食品製造業を目指してМ&Aで更なる成長を

こちらの食品卸の会社様は、とある小売ビジネスを展開しいてる上場企業と業務提携を行っており、そちらの会社の食品卸を一手に担っている急成長中の会社様でした。

社長も40代と若く、事業意欲が旺盛で、A社の社員にはないアグレッシブさを持っており、A社の社員にとって刺激になるであろうということ、自社とは違った販路を活用して成長しているということもあり、この会社と手を組む事が出来れば、良い形で会社が生まれ変わることが出来、次の成長も実現できるであろうと、面談を重ねる中でA社の社長は考えていき、М&Aを決意することとなりました。

M&A当日にはA社の社長、奥様、娘様も集まり、株の引渡しを行うこととなりましたが、無事М&Aが終わったあとのA社の社長は晴れ晴れとした表情をされており、創業200年の企業を次の若い経営者に託すことが出来、これまでの重責から解放された瞬間でもあったかと思います。

 創業200年を超えている企業は日本で約1,200社しかなく、世界的に見ると、創業200年を超えている企業数は日本で世界の約60%を占めており、A社は日本のみならず、世界を代表する老舗食品製造業の1社であります。

 今回のМ&Aを通じて、日本に約600社しかない創業300年の会社となるために、更なる成長が出来るのではないかと信じております。
 
 日本にはまだまだ、後世に残すべき老舗の食品企業様が数多くあるかと思います。我々はそういった企業様を1社1社未来に繋いでいきながら、日本の食文化を維持・発展させることに一助となれればと思っております。


いかがでしたでしょうか?
2週間に1回に渡って今後も食品業界支援室から最新の業界情報をお届けさせて頂きます。
次回のコラムは食品業界支援室 図斉よりお送りいたします。

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執筆者プロフィール



株式会社日本М&Aセンター
業界再編部 食品支援室 高橋 空
Mail:so.takahashi@nihon-ma.co.jp


神奈川県生まれ青山学院大学経営学部卒業後、大手コンサルティングファームにて外食・食品専門のコンサルタントとして国内外の外食・食品企業に対して、出店戦略、組織マネジメント、既存店活性化、業態開発など様々なプロジェクトに従事
その後、㈱日本М&Aセンターに入社。外食・食品産業に対する知見を活かして、外食・食品業界専門チームにて、企業の存続と発展に向けたМ&A支援に携わる