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M&Aレポート

【開催報告】日本で最もITのM&Aを実施している企業の経営者と考えるIT企業のM&A

2021.11.16

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目次

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IT業界のM&A現状

ITの業界市場規模は16兆円であり、エンジニアは約100万人存在する。成長する市場に対して慢性的なIT人材の不足が業界における共通課題だ。IT企業のM&Aは公表されているものだけでも1097件と右肩上がりで増加しており、依然として高水準を保っている。さらにIT企業のM&Aは全業種に対して35%を占めているという事実も、M&Aが非常に活発な業界である事実を裏付ける。また別の視点から、IT業界を売り上げ規模別に分析すると、売上2.5億円以下のIT企業が約15,000社、全体の約90%を占めており、このような企業を中心に今後もますます再編が進む業界の1つであると言える。

株式会社SHIFTのM&A戦略

製造業のトップコンサルタントが、IT業界のムダに着目

株式会社SHIFTは、直近5年間で、30社程度のM&Aを実施しており、爆発的な成長を実現した企業である。2014年上場時の時価総額が約30億円、2021年11月時点で約4900億円であるのだから驚きだ。代表を務める丹下社長は20代にモノづくり関連のコンサルファームで生産管理、品質管理で年間2億の収益を上げるトップコンサルタントだった。製造業で培ったコンサルのノウハウを成長業界であるIT業界において具現化した企業が、ソフトウェアのテストを専門に行う株式会社SHIFTである。

IT業界のフォックスコンを目指して

株式会社SHIFTは多重下請け構造であるIT業界においてプライムの仕事を増やすことで「やったらやった分だけ報われる世界を築こう」という理念のもと経営を行っている。さて、そのようにM&Aを活用して爆発的な成長を遂げ続けている株式会社SHIFTの経営戦略、M&A戦略はどのようなものであろうか。「IT業界のフォックスコン」を目指し総合的なITサービスを提供するため、多くのM&Aを成功させてきた株式会社SHIFTのM&A戦略を丹下社長とともに紐解いていく。

株式会社SHIFTの強みの1つは採用力だ。年間の採用コストは20億以上、昨年は約1700名を採用した実績がある。IT業界のエンジニアの求人倍率は約8倍であることを鑑みると約1700人という数字は驚異的である。100万人のエンジニアのうち年間の転職者は10万人、そのうち株式会社SHIFTを受けているのが3万人、なんと転職者の3人に1人が株式会社SHIFTの採用を受けているのであるから、驚異的な採用力である。その驚異的な採用力の秘訣は「年間の平均昇給率10%」と、丹下社長は語る。この業界に「やりがい」と「報酬」を与える、という使命のもとプライムの仕事を増やすことで単価を上げ、社員の年間平均昇給率10%を毎年連続で実現していることがポイントだ。

SHIFTが目指す姿

M&Aに関してはテスト会社から総合的なシステムインテグレータに変貌するという方針のもと様々な企業と実施している。その構想には4つの軸が存在する。1つ目は人事について。強みである採用力を活かして、人事のデータベースを累計10万データベース程作成している。日本全国のエンジニアが100万人であるため、日本中のエンジニアのデータベースを作成することを目標に掲げている。2つ目は営業である。副社長に元キーエンスの社長を迎え、営業の1人当たりの売上高6億という高い数字を実現させている。一般的なSIerの平均は2億円ということからも、驚異的な数字であることが伺える。3つ目がサービス拡大。事業に関わる様々なサービスを特許も含めて抑えることが狙いだ。4つ目はM&A。年間400本のIR を実行しており、株式会社SHIFT自身で株式を保有してほしい投資家に直接アプローチしている。その結果、海外投資家・機関投資家比率が高くM&Aの資金になる資本政策をさらに強化できているのだ。M&Aもビルがないと始まらない。その1つ1つのビルを集めることで裾の尾の広がりが実現され、DXの一丁目一番地を目指す構想である。

ジョインした企業が、幸福であるかどうか

現在、丹下社長は年間200社のソーシングをしているがその最初のM&Aは2015年である。その後2019年頃から積極的に仲介企業を通じてMA&を加速。ジョインした企業が幸せであることが加速的にM&Aをできている所以である。そのように加速的にM&Aを実行している丹下社長が意識しているのは、M&Aの後に採用も営業も、結果として経営も「ブーストされるかどうか」である。ジョインしたから販管費コストを効率化しよう、利益分だけ買ったから利益をちゃんとだしてくれ、社名を変更しよう、というのは丹下社長の考えるM&Aではない。販管費コストも下げずに、あくまでもどのようにブーストできるのかに注力している。

グループ売上高成長率は120%

M&Aにおいて意思決定の早さは重要であるが、その早さを担保するのはM&Aの判断基準である。株式会社SFHIFTはその基準が明確であり、意思決定が異常に早い。また、PMIは面と向かって数字の管理をし、何が手伝えるのかを全員で議論することに重きを置いている。具体的には、多くのフェーズの企業に対して個別にPMIを行う上で3つのグループに分けている。それぞれのフェーズに対して株式会社SHIFTが何を提供できるのかを明確にして、適切なサポートをすることが目的だ。そのため参画3年以上のグループ企業における売上高成長率は平均120%とコロナ禍でも非常に安定的である。「早く行くのなら1人で行けばよい、遠くに行くのであればみんなで行かなければならない」という言葉の通り、より遠くに行くために、株式会社SHIFTはSI業界のリーダーになりたいという想いに魂を込めて経営をしている。

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公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、日本M&Aセンターに入社。IT業界専門のM&Aチームの立上げメンバーとして5年間で1000社以上のIT企業の経営者と接触し、IT業界のM&A業務に注力している。18年は京セラコミュニケーションシステム㈱とAIベンチャーの㈱RistのM&A、21年には(株)SHIFTと(株)VISHのM&A等を手掛ける。

上席課長
IT業界支援室 室長
早稲田大学商学部 招聘講師
竹葉 聖