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M&Aレポート

2021年食品スーパー業界のM&A動向と2022年の業界予想

2021.12.6

  • 食品

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こんにちは。(株)日本М&Aセンター食品業界支援室の江藤です。
当コラムは日本М&Aセンターの外食・食品専門チームの食品業界支援室のメンバーが業界の最新情報を執筆しております。
本日は江藤が「2021年食品スーパー業界のM&A動向と2022年の業界予想」についてお伝えします。

過去5年間の食品スーパーM&A件数の推移と主な事例

■過去5年間の推移

出典:レコフM&Aデータベースより日本M&Aセンター作成

■代表的な事例
2017年
【売】川瀬食品×【買】G-7ホールディングス
⇒業務スーパー、オートバックスなどのフランチャイズ事業を展開するG7ホールディングスは、兵庫県明石市に本社を置き、地域密着型の食品スーパーを展開する川瀬食品の全株式を取得した。G-7ホールディングスは、展開する業務スーパーや農産物直売所「めぐみの郷」、食品の卸売事業、様々なシナジー効果があると判断し、今回の買収を決定した。

2018年
【売】ユニー×【買】ドンキホーテホールディングス
⇒ドンキホーテHDは、ユニー・ファミリーマートHD傘下の総合スーパーであるユニーの株式を100%取得し完全子会社化した。その後、2019年2月にドンキホーテHDは社名をパン・パシフィックインターナショナルHDに変更、ユニー・ファミリーマートHDも同年9月にファミリーマートに変更した。

2019年
【売】三幸×【買】バローホールディングス
⇒バローHDは、富山県高岡市に本社を置き、スーパーマーケット「サンコー」を展開する三幸(売上高110億円)の株式を取得し、連結子会社とした。三幸は富山湾で水揚げされた新鮮な魚介類や、市場で仕入れる新鮮な野菜・果物の販売に強みを持ち、それらのノウハウを活用して他スーパーとの差別化を図る目論み。

2020年
【売】オータニ×【買】アークス
⇒アークスは、栃木県で最大規模を誇るオータニ(売上高294億円)の全株式を取得した。オータニの持つ地域一番の店舗網、及び本物志向の顧客ニーズに応える品揃えに、アークスの持つ商品調達力や店舗運営力、情報システムなどの経営インフラをオータニに活用することで、更なる成長を実現させ、東日本エリアでの食品流通一大グループを形成する。

2021年
【売】三浦屋×【買】丸の内キャピタル
⇒いなげやの100%子会社であり、高級スーパーの先駆けとして有名な三浦屋の全株式を、三菱商事の子会社である丸の内キャピタルが管理運営するファンドで取得する。丸の内キャピタルは過去にPEファンドのアドバンテッジ・パートナーズが保有する成城石井の株式全てを譲受けた実績があり、高付加価値スーパー運営のノウハウをもって、今後の成長を実現していく。

上記のように、主たるエリアや展開している業態はそれぞれ異なるものの、企業によって大きく決算に差がつきました。

コロナ禍で過去最高の業績を叩き出す各スーパー大手

全国の大手スーパーマーケットチェーンは、コロナによる巣籠り需要の増加を取り込むことで、過去最高の業績を記録しました。

出典元:各企業有価証券報告書より日本M&Aセンター作成

首位のライフは、ネットスーパー事業の強化に力を注いでいる。2019年4月には物流大手のセイノーHDと業務提携を結び、また、同年9月にはアマゾンジャパンと業務提携を締結、Prime Nowによる販売を開始しています。

また、3位のバローHDも、積極的に近隣他県のスーパーマーケットを買収し、売上、店舗網を拡大、また、イオンの牙城を崩すべく、2018年にはアークス、リテールパートナーズと資本業務提携を実施し、「新日本SM同盟」を結成しました。

地域連合から広域連合へ

上述の通り、資本力のある大手スーパーマーケットが、近隣他県のスーパーを買収し、その勢力図を拡大させて行くのは、従前から多く見られる事例であり、現在でも食品小売業界の主たるM&Aとなっています。また、2014年にはイオン主導で、東京を中心に店舗網を形成するマルエツ、茨城に100店舗以上を展開するカスミ、東京・千葉・埼玉・神奈川と幅広く店舗を運営するマックスバリュ関東(合計520店舗、2021年11月19日現在)の合計3社が集結し、「首都圏におけるスーパーマーケット連合」と位置付けてU.S.M.Hが設立されました。

一方で、少子高齢化による人口減少への対応や、物流費の高騰など、厳しい経営環境が続く地方のローカルスーパーマーケット業界において、新たな枠組みの広域資本業務提携の築き、各社が持つノウハウやフォーマットを集結させ、地方スーパーの新たな成長戦略を実現する取り組みが始まっています。北海道に本社を置くアークス、岐阜を中心に東海圏で最大規模を誇るバローHD、山口から四国、九州北部までをカバーするリテールパートナーズの3社は、上記の通り2018年に新日本スーパーマーケット同盟を結成し、戦略的な資本業務提携を発表しました。地域レベルでグループを組むのではなく、より広い範囲で志を同じくする企業同士が手を組み、この難局に立ち向かっていくための新たな取り組みと言えます。

また、2021年9月には、四国で最大手のスーパーとなるフジ(本社:愛媛県松山市、2021年2月期 売上高315,383千円、営業利益5,980千円)が、流通最大手イオンの子会社であるマックスバリュ西日本(本社:広島県広島市、2021年2月期売上高563,218千円、営業利益8,575千円)と経営統合し、イオンの連結子会社になることが発表されました。2024年を目途に、フジとマックスバリュ西日本は合併を目指します。このように、今後も1社単独での成長実現の困難さの克服、厳しい経営環境を乗り切る有効な手段として、広域での資本業務提携が増えていくことが予想されます。

生き残りを懸けて勇気ある決断を

食品スーパー業界に限らず、現在の食品業界はコロナの動向以外でも、構造的な問題を数多く抱えています。恒常的な設備投資、慢性的な人材不足、労働時間問題、高騰する原材料価格、トレンドの変化などがそれに当たります。これらの課題を解決するために、M&Aが非常に有効な手段であることは、これまでの様々な事例がそれを証明していますが、そもそも経営者の皆様は、1社単独では生き残れる時代ではないということを、しっかりと認識すべきです。

他社との協調戦略を実現することで、成長可能性を見出すことが出来るでしょうし、事業の柱もより多く増やし、有事に対応できる強い組織を作ることが出来ます。

中堅・中小、大企業など、会社に規模に囚われることなく、是非、勇気ある一歩を踏み出して、他社との協調戦略を実現して行きましょう。


いかがでしたでしょうか?
2週間に1回に渡って今後も食品業界支援室から最新の業界情報をお届けをさせて頂きます。
次回のコラムは食品業界支援室 渡邉よりお送りいたします。


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食品業界支援室長 江藤 恭輔
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青山学院大学法学部卒業後、埼玉りそな銀行にて法人営業を経て2015年に日本M&Aセンターに入社。食品業界を専門として製造業、小売業、外食業などのM&Aに取り組む。17年は丸亀製麺を展開するトリドールHDと「晩杯屋」のアクティブソース、「ラー麺ずんどう屋」を展開するZUNDのM&Aを手掛けた。

チーフマネージャー
食品業界専門グループ
グループリーダー
江藤 恭輔