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M&Aレポート

2021年 食品業界のM&A 回顧と展望(外食業界)

2021.12.28

  • 食品

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こんにちは。(株)日本М&Aセンター食品業界支援室の白鳥です。
当コラムは日本М&Aセンターの外食・食品専門チームの食品業界支援室のメンバーが業界の最新情報を執筆しております。
本日は白鳥が「2021年外食業界のM&A動向と2022年の業界予想」についてお伝えします。

過去5年間の外食業界M&A件数の推移と主な事例

■過去5年間の推移

出典:レコフM&Aデータベースより日本M&Aセンター作成(2021年12月16日時点)

■代表的な事例

①2017年4月
【売】商業藝術×【買】ダイヤモンドダイニング
→外食中堅企業同士における規模の論理の戦略的な提携事例

②2017年11月
【売】ZUND×【買】トリドールホールディングス
→業態ポートフォリオ拡充戦略の提携事例

③2018年7月
【売】サバ6製麺所×【買】フジオフードシステム
→業態ポートフォリオ拡充戦略の提携事例

④2018年10月
【売】つぼ八(日鉄住金物産)×【買】やまや チムニー
→外食中堅企業同士における規模の論理の戦略的な提携事例

⑤2019年3月
【売】テラケン×【買】梅の花 
→外食中堅企業同士における規模の論理の戦略的な提携事例

⑥2019年4月
【売】杉江商事×【買】あみやき亭
→業態ポートフォリオ拡充戦略の提携事例

⑦2019年9月
【売】いっちょう×【買】クリエイト・レストランツ・ホールディングス
→業態ポートフォリオ拡充戦略の提携事例

⑧2019年11月
【売】家族亭×【買】SRSホールディングス
→外食中堅企業同士における規模の論理の戦略的な提携事例

⑨2020年5月
【売】コスミックダイニング×【買】アークランドサービスホールディングス
→外食企業によるバリューチェーン戦略の提携事例

⑩2020年7月
【売】大戸屋×【買】コロワイド
→業態ポートフォリオ拡充戦略の提携事例

⑪2021年1月
【売】ドームアスリートハウス×【買】JFLAホールディングス
→外食企業による付加価値戦略の提携事例

⑫2021年11月
【売】芝産業×【買】ヨシックスホールディングス
→外食企業によるバリューチェーン戦略の提携事例

⑬2021年11月
【売】ミートクレスト×【買】小僧寿し 
→外食企業によるバリューチェーン戦略の提携事例

主流だった業態ポートフォリオ戦略からの移行

アベノミクスの景気上昇局面と同じくして、外食企業は2017年~2019年までにM&Aが非常に活況でした。買手サイドは、出店戦略をベースとした業態ポートフォリオ拡充を主なテーマにした投資です。売り手サイドは、出店数が30店舗になると成長の踊り場を迎える「30店舗の崖」を機に大手との成長戦略を思考する形で国内でも10億円以上の大型のM&Aが多く行われていたのがこの時期です。この時期のM&Aを分類すると、ダイヤモンドダイニング、チムニー、梅の花、SRSホールディングスに代表されるような、ある程度多い出店数を持つ企業同士の規模の論理による戦略的な企業提携です。もしくは、トリドール、あみやき亭、フジオフードシステムにみられたような、自社が持っていない、足りていない業態ポートフォリオを取得して補完、シナジーを創出していく、業態ポートフォリオ拡充戦略の提携事例の2つに多くは集約されていたように思えます。

そして2020年1月以降から中国で端を発した新型コロナウイルスが蔓延しています。外食業界は大打撃を受け、先行き懸念から買手サイドの投資意欲は激減したためM&Aの件数も減少傾向に転じました。一方でこれ以降行われてきた投資事案としては、20年度は外食→中食、居酒屋→日常食への移行を鑑みた、アークランドサービス社の冷凍食品製造業者への投資事案や、ヨシックスホールディングスの外食に関わる周辺領域への展開など、外食企業によるバリューチェーン戦略の提携事例が目立つようになってきています。またJFLAホールディングスの案件については、既存サービスへの付加価値を向上を狙った投資であり、国内マーケットの顧客数が減少する中でも、単価をあげていく代表事例であるといえます。

外食企業におけるポストコロナ、withコロナの中での生き残り経営戦略とは?

外食企業はコロナ禍による転換期をどう乗り越えるか?戦い方を変化させた主な外食企業のトピック的な出来事を振り返ってみます。

①ペッパーフードサービスが主力の「ペッパーランチ」事業を、国内投資ファンドJ-STARへの売却を実施し、売却で得た資金で、もう一方の主力事業「いきなり!ステーキ」の立て直しの財源化
こちらの動きは「事業の選択と集中」における既存事業の資産化によるコア事業の強化の動きであり、こういった動きは2022年以降も各社加速していくと想定されます。

②宅配・テイクアウト売上の最大化を企図したストアポートフォリオの再構築を実施
2020年8月時点で、すかいらーくは約 2,800 店でテイクアウトを、約 1,500 店で宅配サービスを行っていました。しかしコロナ禍においてそのニーズと認知度が飛躍的に高まり、売上の前年比も飛躍的に伸びたことにより、全国に立地する店舗を宅配・テイクアウトの拠点として最大限活用する方向性で宅配対象エリアを個店別に見直し、業態転換・エリア再編成により空白エリアを解消に向けた、出店立地の見直しなどを行っています。
これまでイートインが前提の出店戦略だったのが、これからはデリバリー・テイクアウトにおける商圏の適正化が出店戦略においては求められてくるでしょう。

③食物販への取り組み イートアンドの事例
コロナ禍での決算においても営業利益ベースで黒字を確保した大阪王将を展開するイートアンドHDは、外食企業との認識が一般的であるが、売上の構成比率で見ていくと、既に食物販での売上が、外食での売上を大きく上回っている状況となっています。
食品関連企業に限らず、コロナ禍で巣籠需要に対応した商品を展開する企業は軒並み好業績を確保しているが、その中でも、スーパーなどの量販店や生協向けに自社ブランドの商品ラインナップを取りそろえて展開するイートアンドHDは、外食の売上が大きく落ち込む中、それらを食物販事業で補い、結果的に営業利益ベースでも黒字を確保しています。
このように、外食事業だけの一本足打法にならず、様々な場面で自社の商品を買ってもらうように事業のポートフォリオ拡大に注力してきた企業が、結果的にコロナ禍でも安定した業績を収めることが出来たと言えるでしょう。

上記の事例のように、外食企業の今後の打ち手は①既存店舗においては時代の変化にしなやかに対応し、場合によっては選択と集中が必要であること。②外食店舗ビジネスだけではなく、ビジネスのバリューチェーンの裾を広げる。もしくは食という的を広くとらえ上流工程、または小売などにも展開する必要があるといえます。

生き残りを懸けて勇気ある決断を

コロナ禍によって世界は変わりました。出店戦略、業態開発力など、従来外食企業の屋台骨であった根幹が崩れたとも言っても過言ではないでしょう。一方でこれを機会ととらえるのであれば、これまではあまり考えられていなかったバリューチェーン上の上流工程への進出、あるいは物販等の小売展開への戦略等、新しい生き残り戦略をとれるかどうかが待ったなしになってきていると言えるでしょう。

外食企業はこれまでのラーメン、居酒屋、カフェなどの業態拡充戦略である「業態ポートフォリオ戦略」の時代から、食肉卸事業やECなどの物販事業などへ染み出しを図る「事業ポートフォリオ戦略」の事態に突入したと言っても過言ではありません。

最短時間で成功するためには、やはりM&A抜きにしては語れないでしょう。
これまでの様々な事例がそれを証明しているが、経営者の皆様は、1社単独では生き残れる時代ではないということを自覚されたうえで、どこと組んだ方がより安定性が増し、収益性が増し、成長性が増すのか、加えて社会性という観点でも企業価値が問われる時代です。より多角的な視野で資本提携の可能性を探って頂きたいです。

中堅・中小、大企業など、会社に規模に囚われることなく、是非、勇気ある一歩を踏み出して、他社との協調戦略を実現していきましょう。


いかがでしたでしょうか?
今回のコラムが2022年に向けての取り組みのご参考になりましたら幸いです。

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執筆者プロフィール



株式会社日本М&Aセンター
業界再編部 食品支援室 白鳥雄飛
Mail:shiratori@nihon-ma.co.jp
TEL:070-4577-1390

宮城県仙台市生まれ東京工業大学卒業後、㈱リクルートにて、法人営業を経験。その後、㈱日本М&Aセンターに入社。食品業界支援室にて、食品業界を中心に上場企業から中堅・中小企業まで幅広くM&Aの支援を行っている。