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M&Aレポート

譲渡オーナーとの語らい Vol.12
株式会社バーコムシートメタル様(神奈川県・製造業)

2022.5.25

  • 製造

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神奈川県相模原市に社屋を構える株式会社バーコムシートメタルは、精密板金加工や溶接加工において50年を越える歴史と実績を持つ地元でも有名な優良企業です。2021年、長らく同社を引っ張ってこられた松森社長は、M&Aによって自社の株式を譲渡されることを決断されました。果たして松森社長はどのような思いでM&Aを決断されたのか。M&A直後から現在までの話をお聞かせいただきました。

いつかは息子に継いでもらおうと思っていた

(藤川) M&Aを実行して数か月が経ちますが、本日はM&Aを考えたきっかけから進行中のこと、実行からこの数か月についてお話を伺いたいと思いますので、どうぞよろしくお願い致します。

(松森氏) よろしくお願いします。

(藤川) 初めに、会社の譲渡について考え始めたきっかけからお聞かせいただけますか?

(松森氏) そうですね。私には41歳になる息子がいるのですが、元々はいつか会社に入ってもらってちゃんと時間をかけて鍛えて継いでもらおうかとも考えていました。しかし、自分の病気が発覚したこと、去年あたりからはコロナ禍で事業環境や業績が厳しく変わってしまったこともあり、息子に継がせるよりも第三者に経営を委ねようか、と考えるようになりました。

(藤川) コロナ禍の影響はやはり大きかったのでしょうか?

(松森氏) 非常に大きかったと感じています。大手企業からの注文がキャンセルになってしまうなど、受注が7割減になる月もありました。昔なら、そういうことがあっても私が動いてその分をカバーしていくことができました。しかし、病気もあり、思うように動くことができないことが増えてきたため、「厳しいな・・」と思うようになりました。
そして、もし仮に、私が病気になっていなかったとしても、コロナ禍の影響で減収となる状況で、息子が同じように業績をカバーできるかは不安でしたし、そういった点も鑑みて、譲渡しようと気持ちが固まっていきました。
社内の幹部会で、M&Aで譲渡しようと思うと話をしたら「そうしてほしい」という意見が多くありましたし、まずはお付き合いのある銀行に相談をすることにしました。その銀行の担当者がとても熱心な方でしたので、良い譲受先を見つけてきてくれるだろうと思いお任せしようと思いました。

従業員の仕事や生活を尊重してくれる企業を探してほしい

(藤川) お付き合いのある銀行経由で当社と仲介契約を締結させて頂き、譲受け先の候補企業がいくつか出てまいりましたが、譲受け先企業に求める条件はどのようなものだったのでしょうか?

(松森氏) 一番大事なことは、現状維持ができるお相手であることです。幹部の立場や従業員の処遇が現状と何も変わらないことが一番大事な条件でした。私が抜けた後も、幹部や従業員の仕事や生活を尊重してくださる企業が良いと考えていました。

(藤川) その中で、今回ご成約に至ったマキノ様についてお聞きしますが、トップ面談の際のマキノ様のご印象はどのようなものでしたか?

(松森氏) 幹部や従業員の待遇面についてはクリアしておりましたし、マキノさんは自社と同業の精密板金加工メーカーであるものの、やることがバッティングせずに一緒になった時に相乗効果がありそうだなと思いました。

(藤川) 相乗効果の部分について、もう少し詳しくお聞かせいただけますか?

(松森氏) マキノさんは「即日板金」を掲げている会社です。「試作品や一品物といったいわゆる小ロット多品種の部品の製造を即日で仕上げます」ということをメインにしている会社ですが、マキノさんも自社のお得意先様から、品質を高く評価いただいていたこともあって、試作品だけでなく量産部品の製造の依頼もかなりいただいていたようです。しかし、量産品の仕事を受注してしまうと、これまで得意としている小ロット多品種の部品製造の段取りが悪くなって「即日板金」が叶わなくなってしまう懸念もあるので、仕事を受けたくてもなかなか受けられない背景があったようです。

一方でバーコムシートメタルは、量物品の板金加工を得意としていました。両社のお客様からの仕事の中で、「試作品などの少量多品種の生産をマキノさんでやって、量産品の加工はバーコムシートメタルで対応する」とすることで生産効率も上がりますし、いまコロナ禍で減少している当社の仕事量を補えるイメージができたことが大きかったです。

(藤川) 確かに一緒になった時のメリットは大きそうですね。マキノ様以外にもトップ面談へと進まれた企業が複数社ありましたが、そちらへのイメージはどのようなものでしたか?

(松森氏) マキノさん以外にも何社かに手を挙げていただきましたが、どの会社も本当に素晴らしい会社でしたし一緒になった時の相乗効果はありそうでしたが、私が抜けた後も、仕事も生活も何も変わらずにいられることが叶う相手として「マキノさんと一緒にやっていこう」と決断しました。
また、バーコムシートメタルはどちらかと言えばアナログな設備が多く、マキノさんは最新の自動倉庫や生産管理システムを導入されていたりするので、「最新設備の揃っている環境で仕事をしてみたい」と思う従業員はいるだろうな、と従業員も喜んでくれるお相手なのではないかという思いもありました。

M&A実行から数か月、特に混乱もなく順調。

(藤川) 従業員の皆さまにM&Aの開示をした際の反応などはいかがでしたか?

(松森氏) 開示の時にはマキノさんにも来て頂いて、ご挨拶もかねてお話しいただきました。従業員からは特に反応はありませんでしたね‥(笑)。社名も、待遇も、仕事内容も変わりませんし、M&Aを実行して数か月が経ちましたが特に混乱もなくとても順調に進んでいます。ただ、会社の雰囲気は明るくなりましたし、私としては現状維持というよりは、むしろ良くなったと思いますので、従業員にとっても良かったのではないかと思っています。

(藤川) M&A実行後から今までのところ、とても順調ということですが、マキノさんから「もっとこうしてほしい」というようなお話はありましたか?

(松森氏) 特に何もありません。毎日、日替わりでマキノさんから社長と専務がお越しいただいているので、本当は、私自身はすぐに引退しようかとも思いましたが、「悪いかなあ」と思い、まだお仕事をさせて頂いています。

(藤川) これまで長い間、松森様と一緒にお仕事されていらっしゃった従業員の皆さまにとっては、松森様がいるのといないのとでは、安心感が違うと思います。

本当に良い仕事をしてくれた

(藤川) M&Aを実行されてから数か月が経過し、特に混乱もなく順調ということですが、実際にいまM&Aを振り返ってどのような思いがございますか?

(松森氏) M&Aについて考えはじめた時、検討段階でもすぐに日本M&Aセンターさんに相談して、お話を聞かせていただいて良かったです。M&Aの概要やスケジュール感について丁寧に説明いただけたことで、M&A後の会社の姿や体制といったことが“おおよそ”どうなるのかがイメージできました。M&Aを実行したら手取りでいくらもらえるのか、も、ですね(笑)

私自身の身体が思うように動かないことや、どのくらいの速度で病気が進行するのかもわからないという状況でしたので、日本M&Aセンターさんにお願いして本当に良かったですし、同じような事情を抱える方は絶対にお願いした方が良いと思います。
譲受け先を探して、面談をして、条件を決めて、等ということを自分でやるのはどう考えても無理だったと思います。良いお相手をご紹介いただき、本当に良い仕事をしてくれたと感謝しています。

コンサルタント紹介

業界再編部 製造業界専門グループ チーフ 藤川 祐喜 
大阪府出身。大阪府立大学大学院工学研究科修了後、キーエンスで大手自動車メーカーや装置メーカーに対して工場の生産ライン改善のコンサルティング営業に10年間従事し、日本M&Aセンターへ入社。現在は製造業M&Aの専任担当として、全国の中堅・中小企業の支援に取り組んでいる。