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M&Aレポート

失敗しない!M&Aのトップ面談の事前準備と当日の注意点

2022.6.27

  • 物流

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M&Aにおいて、一番最初の関門といってもよい場面がトップ面談でしょう。両社が初めて顔を合わせて会話をする機会であり、それぞれの印象を最初によいものにできるかどうかの非常に大切な場面です。せっかく良い条件で両社が引き合わされても、これがうまくいかなければ間違いなく結婚はできません。ここではトップ面談での事前準備やどのようにのぞむべきなのかということを解説します。

トップ面談とは?

まず、そもそものトップ面談の主旨からお伝えしていきたいと思います。トップ面談は両社が顔を合わせて、お互いの企業の紹介やお互いの考え方、企業風土を共有し、さらには譲渡企業の体制や運営状況について会話がなされることがほとんどです。1時間から2時間程度会話がされることが多く、非常にざっくばらんな雰囲気となります。
ここで注意したいのは、トップ面談は決して条件交渉の場ではないということです。条件交渉はお互い相反する気持ちがぶつかり合うため、直接ではなく仲介会社等、第三者に任せることが大切です。

具体的な内容としては、お互いの自己紹介をする際に、譲渡側は本件検討の理由や相手に求めていることなどをお伝えいただき、譲受け企業は本件の狙い、今後どのような事業展開を会社として検討しているのか、ともに実現したいことなどについて語っていただきます。その後はそれらを踏まえてのフリーディスカッションすることになります。

「行き当たりばったり」は上手くいかない

時折、譲受け側の企業からトップ面談前のタイミングで、「会ってみてから考えたい」ということを言われることがあります。もちろん、会わないとわからない部分は多いですし、その印象で前に向けるかどうかが決まります。当然相手の癖や性格なども知ったうえでないと判断ができません。とてもよく理解できます。

しかし、このまま当日を迎えては、まず先には進めないのです。
それは“判断基準を事前に考えていない”ことが原因です。行き当たりばったりでは考えながら会話はできませんし、話の流れ次第では重要な点を聞き漏れてしまう可能性もあります。しっかりと事前に検討をして、何がどうだったら先に進められるのか、何があると先に進めないのかを整理しておくべきです。その基準をもったまま、会話をすることで本当に確認したい事項をブレずに会話をできるようになります。万が一、“会ってみないとわからない”という事項があり、それがどういった基準なのかがわからないのであれば、事前の内容の確認不足であり、そのタイミングでお見合いに進むことは時期尚早と判断ができます。

事前に質問事項をまとめて資料としてまとめておくこともとても大切です。それによって、質問の抜け漏れを防ぐことができますし、当日落ち着いて話すこともできます。また、お互いのプロフィールなどを事前に知らせておき、それぞれのルーツを踏まえたうえで当日に臨むことが重要です。トップ面談は余計な雑談をする場ではなく、お互いが先に進められるかどうかを判断するための会話や一緒になった時にどのような形でともに歩んでいくのかを想像するための質問に終始すべきです。
その場任せの会話はお互いが仲良くなったように見えて、実は大切なことを聞けずに終わっているということが多くあります。

物流業界M&Aでの有効な質問10選を紹介!

では物流業界のトップ面談で多い質問をご紹介しましょう。

■譲渡側から譲受け側へ
・譲渡後現場を取り仕切る方はどのような方なのか(いつころ派遣してくれるのか)
・既存の取引先との関係性はどのようにしていくのか
・福利厚生などはどのようなものがあるのか
・現時点で変えようと思っていることと、変えないでおこうと思っていることは何か
・今後の展開をどのように考えているのか

いずれも将来自社がどのように発展していくのか、また従業員への開示や取引先へのあいさつをするにあたって事前に把握しておきたい事項などの確認が多いように思います。

■譲受け側から譲渡側へ
・取引先とのやりとりをしているのはどなたでどのようなやり取りを普段しているのか
・取引先との仕事のキャパシティ、今後こちらの体制次第では仕事を増やせそうか
・今後の事業展開を考えて課題感や、補完してほしい事項は何か
・社長自身やキーマン等のそれぞれの役割は何か
・どういったことを押さえておけば従業員の皆様は安心して本件に同意してくれそうか

譲受け側の事業展開や構想を念頭に置きながら、どの部分が実現可能なのかを検討するための前向きな質問が多いように思います。

その他の大切なこと

トップ面談では、お互いすべて腹を割って正直に話すことが何より重要です。
物流業界の業界の特徴としてコンプライアンス等についてはグレーの企業が多く、それらを包み隠さず話すことが大切です。もちろん事前の提案時にそのあたりはすべて開示しておくべきではありますが、その状態に至った背景や意図などを改めて説明をしておく必要があります。この点を詳細に状況を伝えておかないと、あとで大きなトラブルに発展することもありますし、場合によっては言った言わないでもめてしまう可能性もあります。グレーな状態そのものは問題ではなく、それらを正しく相手に認識してもらい、相手がどのように改善していくのかを検討できるようにしてあげることが大切です。

当日にトップ面談に臨むメンバーもしっかりと検討しなければなりません。譲渡側はオーナー一人であることが多いですが、譲受け側はどうしても人数を増やしたがる傾向にあります。経理担当、総務担当、右腕の役員、M&A担当など一度にいろいろなメンバーからみてもらい、その後の社内検討を早急に進めるためという事情は理解できますが、相手の気持ちに立って考えると仮に4対1の面談になると譲渡側がどうしても場の雰囲気に圧倒されてしまい、思うように面談ができない心理状態になりかねません。場合によっては尋問を受けている感覚になったということをおっしゃっておられたオーナーもいらっしゃいます。

また、トップ面談ですのでなるべくトップに出ていただくことが大切です。大きな企業にありがちですが、経営トップがトップ面談に出席できない場合があります。やはり社長は社長としか根本は考えを共鳴させることができないと思います。もちろん、規模の大小があり譲受け企業のトップが必ずしも参加できないケースはありますが、社長のことを本当の意味で理解していけるのは社長職についている方だと考えます。このあたりも譲渡側に配慮して当日臨めるかが大切です。

まとめ

以上のようにトップ面談と一言で言っても多くのチェックポイントや注意点等があります。これらは単純なことに思えて、実はM&Aを進めるうえで非常に重要な場面です。決して“出たとこ勝負”という感覚で面談に臨まないようにしましょう。先のコラムで着手金の話(▼失敗しない!M&A仲介会社の選び方 アドバイザリー契約の注意点も解説)もありましたが、お互いがお金を払ってまでお見合いをしたいと思えたということは素晴らしいことであり、それだけに失敗はしてはいけないと思います。ひと手間二手間を時間を惜しまずにやることによって、その後の成約、そしてM&Aの成功への確率が一層増すことになります。

もちろん物流業界の企業が別の事業の相手とのお見合いに臨むケースも当然あると思います。その際はその業界特有の質問やチェックポイントが存在しますので、コンサルタント等に遠慮なくお問い合わせいただけましたら幸いです。

今後の皆様のM&Aの成功確率があがるように私たちも日々尽力してまいります。
M&Aへのご関心、ご質問、ご相談等ございましたら、下記のお問い合わせフォームにてお問い合わせを頂ければ幸甚です。


東京大学工学部卒。野村證券株式会社、土木資材メーカーの副社長として経営に参画後、日本M&Aセンターに入社。経営者としての経験をもとに中小企業オーナーの立場に立ったM&Aを提案。2019年度全社MVP・全社最高売上を記録。

業界再編部 部長
物流業界専門グループ
山本 夢人