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M&Aレポート

【イベント開催レポート】地域包括ケア時代の薬局経営~地域支援加算2取得への道~

2022.6.28

  • 調剤薬局

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いつもコラムをご愛読頂きありがとうございます。日本M&Aセンター 業種特化事業部 調剤薬局業界専門グループの塚田 哲也です。

2022年6月11日、調剤薬局経営者様向けのセミナーを東京本社及びオンラインにて開催しました。
本セミナーでは、HYUGA PRIMARY CARE株式会社 黒木社長にご登壇いただき、今後の薬局経営のあり方や、在宅訪問薬局の経営課題、地域支援体制加算2の取得に向けた体制構築などについて講演をいただき、260名を超える方々にお申込みいただきました。本記事では当日の様子をレポートします。

第1部 20年後の薬局経営を考える

業種特化事業部 調剤薬局業界専門グループ グループリーダーの原 佑輔が講演いたしました。

報酬改定や薬価改定による収益の減少に加えて、ドラッグストア等の異業種参入による競争激化や後発医薬品の供給不足など調剤薬局を取り巻く経営環境は大きく変わってきています。これから変革期に突入していく中で、シビアにコスト管理をしながら今まで以上に質の追求を行い、患者から選ばれる薬局となるためには何が必要か、具体的に2つの戦略について紹介いたしました。

調剤薬局業界は医薬分業の流れで処方枚数が増え、成長期が長く続きましたが、10年程前から業界は成熟期を迎え、M&Aによる業界再編が進み始めています。これまでの延長線上で事業を続けていても自社の継続的な成長が難しい時代がこれから始まろうとしており、更なる成長をしていくためには今後を見据えた新たな戦略を打つ必要があります。それは、もう一度創業するのに匹敵するような「第二創業」レベルの大きな改革であり、調剤薬局業界はまさに、大変革の時代を迎えていると言えます。

出典:厚生労働省「医療費の動向」をもとに日本M&Aセンター作成

薬剤師に求められるスキルは時代に合わせて常に変化してきました。これからも、宅配、オンライン服薬管理指導やリフィル処方箋の普及により、患者の選択肢が大きく変わっていくでしょう。そのような時代に、患者に選ばれる調剤薬局になるためには、他には無い付加価値を付けていくことが重要になります。2015年に厚生労働省が発表した「患者のための薬局ビジョン」にもある通り、薬剤師は専門性を持った調剤業務に加えてコンサルティング能力を併せ持つことが必要とされています。これはまさしく対物業務から対人業務への変化といえるでしょう。

調剤薬局は現在「医薬品の小売業」として定義がなされていますが、今後はこの枠組みにとらわれることなく、ビジネスを展開していくことも重要になります。もし、小売業に固執し続ければ、将来的にアマゾン、楽天やイオンのような巨大な資本と真正面から競合する可能性が考えられます。また、オンライン化を見据えた戦略としてNTTドコモなども業界参入に動き始めています。こうしたボーダーレスな競争を勝ち抜くためにビジネスモデルを変革することが求められています。

しかし、こうした変革は調剤薬局の経営者には簡単なことではありません。当社では、M&Aの提案をメインにしていますが、様々な角度から解決策を提示させていただいております。是非一度、当社の担当までご連絡いただければと思います。

第二部 地域支援加算2取得への道

■講師プロフィール
HYUGA PRIMARY CARE株式会社 代表取締役社長 黒木 哲史氏
第一薬科大学卒業後、薬剤師として調剤薬局・製薬会社にて勤務。25歳で大病を患い「いつか人は死ぬ」ことを痛感。一度きりの人生をささげる価値がある事業をしたいと思い立ち、2007年に29歳でHyuga Pharmacy株式会社(現 HYUGA PRIMARY CARE株式会社)設立。現在「24時間365日、自宅で「安心」して療養できる社会インフラを創る。」を理念に、全国にきらり薬局を38店舗展開。地域薬局を在宅対応化すべくネットワークで薬局を結ぶ「きらりプライム事業」を開始し、現在は全国で1,000店舗加盟、加盟店含め、在宅患者数28,000名を対応している。2021年12月マザーズ上場。

第二部ではHYUGA PRIMARY CARE株式会社の黒木 哲史社長にご登壇いただきました。

HYUGA PRIMARY CAREでは設立以来、在宅訪問薬局に特化することで売上を伸ばし、全国38店舗を展開、そして昨年マザーズ上場を果たしました。2022年6月17日時点の時価総額を各社の店舗数で除した1店舗当たりの時価総額を大手調剤のアイングループ、日本調剤と比較すると、アイングループが約2億円、日本調剤が約6,000万円であることに対して、HYUGA PRIMARY CAREは約5.5億円と、大手調剤と比較しても相応に高く、業界以外からも注目をされていることが分かります。黒木社長には在宅訪問薬局事業の先行きや重要性についてお話いただきました。


在宅訪問薬局については、以下2点の環境要因により、今後益々重要性が増していきます。
① 超高齢化社会の到来で75歳以上の人口と高齢者単独生体の増加、要介護認定者数も高い水準を維持する見込み。
② 高齢化の進展、地域医療構想による病床の機能分化・連携により在宅訪問薬局は需要が急速に拡大していく。

①について黒木社長は、内閣府の高齢社会白書によると75歳以上の人口は今後も増加の一途を辿り、2055年には2018年比で1.4倍の2,446万人になる見通しで、人口25%を75歳が占めるようになると、これまでの医療体制だけでは、高齢者をサポートすることが難しくなるため、在宅薬局の存在意義が高まってくる。在宅医療は2055年に向けてより一層需要が増していく、と説明しました。


出典:内閣府、令和3年版高齢社会白書より引用

②について、厚生労働省から発表されている通り、2025年には在宅医療患者数が100万人を超え、高齢化の進展により入院患者数の増加、疾病構造・受療行動の変化が見込まれます。医療費抑制の観点から入院患者を在宅医療に移す政府の意向や、それにより新たな社会システムである地域包括ケアシステムの構築について解説しました。

在宅患者が増加すると薬剤師の負担が増加する問題について、HYUGA PRIMARY CAREでは経営上「労働分配率」という指標を重視しており、この指標を社員にも教育し、経営者と共有をすることで解決をしています。労働分配率とは、労務費/売上総利益のことで、店舗の条件によって最適な労働分配率は変わります。そのため経営者は、過去と現在を比較しながら労働分配率を管理し、適正な人員配置をしながら在宅に取り組む必要があると述べました。

第三部 パネルディスカッション

最後に、黒木社長と当社 原によるパネルディスカッションを行い、以下の質問内容についてトークが繰り広げられました。ご興味のある方は見逃し配信を是非ご覧ください。

【パネルディスカッション内容】
①きらりプライム事業(在宅のノウハウ、システム、人材・営業の提供事業)の加盟店について、うまくいっている店舗とそうじゃない店舗の違いは?
②黒木社長自身、自社の店舗数が1~4店舗程の時(在宅導入期)に苦労していたことは?
③ドラッグストアの調剤進出について、黒木社長のお考えは?
④HYUGAのM&Aの事例について、また、今後のM&Aの活用は?
⑤20年後、会社がどうなっているか?また、業界はどうなっているか?

最後に

今、調剤薬局業界は大きな変革期を迎えています。これから訪れる超少子高齢時代では医療保険制度の維持が危ぶまれ、在宅医療を含む地域医療推進等が急務となっています。こうしたより良い医療の提供を実現していくために、M&Aという選択肢を取る経営者が近年急増しています。私たちは年間2,000名以上の調剤薬局経営者と面談し、リアルな現場から様々な情報を得ています。自社の成長について悩んでいる、後継者不在で廃業を考えている、M&Aはもちろんですが、今後の業界展望など、少しでもご興味のある方は是非一度ご相談いただければ幸いでございます。

業種特化事業部 調剤薬局業界専門グループでは、業界に特化した専門チームが今回のようなセミナーを毎年オンライン開催しています。

本セミナーの詳細をご希望の方は、以下お問い合わせフォームよりご連絡いただければ、資料をお渡しさせていただきます。

見逃し配信

当日ご視聴できなかった皆さまにおかれましては、見逃し配信用の動画を公開しております。


コンサルタント紹介



株式会社日本M&Aセンター 
業種特化事業部 調剤薬局業界専門グループ 塚田 哲也

大阪府出身。大学卒業後、みずほ銀行、みずほ証券にて関東を中心に中小企業、オーナー経営者へのコンサルティング営業に従事し、日本M&Aセンターに入社。入社以来、調剤薬局業界専門グループにて全国の調剤薬局に対するM&A支援に取り組んでいる。