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M&Aレポート

物流M&AのPMI(買収後の経営統合)のシナジー効果拡大方法

2022.7.15

  • 物流

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近年物流業界のM&Aが増加しています。
これまでのコラムでは、各フェーズの注意点などを解説してきました。

○進め方(https://reorganization.nihon-ma.co.jp/report/2535/
○情報収集(https://reorganization.nihon-ma.co.jp/report/2616/
○アドバイザリー契約(https://reorganization.nihon-ma.co.jp/report/2679/
○マッチング(https://reorganization.nihon-ma.co.jp/report/2725/
○トップ面談(https://reorganization.nihon-ma.co.jp/report/2739/
○基本合意(https://reorganization.nihon-ma.co.jp/report/2778/
○買収監査~最終契約(https://reorganization.nihon-ma.co.jp/report/2815/

トラブルの発生率を最大限低くし、成功率を上げるためには、順序を間違えないことが重要です。ただし、実際に相乗効果を出すのは成約後の統合段階です。M&Aの「成約」を「成功」に導くためには、お互いがお互いを活かせた相乗効果を生んでいく必要があります。

PMI(=Post Merger Integration)とは、M&A成立後の「経営統合プロセス」のことをよびます。統合の一連の取り組みのことを指し、M&Aによるリスクの最小化と、成果の最大化を目的としています。 成約後、M&Aにより目指す未来を実現させるまでに必要不可欠なプロセスです。
PMIはもちろん案件ごとにするべき事項は異なります。本コラムでは、基本的なPMIの考え方をご紹介していきます。

PMIは必要?

「相乗効果をだす」とは具体的に何を指しているのでしょうか。
M&A前と後で、M&Aがなければ達成が出来なかったこと、単体では実現が出来なかったことが出来ている状態が相乗効果を出しているという状況です。M&Aに取り組む企業はそれを目標としてM&Aを実施していく訳ですが、PMIを怠ってしまうと、その逆に損を被ってしまうこともあります。例えば、後継者不在の企業で後継者が引退した後、そのまま譲受けkigyouが放っておけば、グループ入りをした企業も、勝手に動いていいのだろうか?など気を遣うことで、お互いが気を使ったが故に何もアクションが起きず、気付けば体制が崩壊していた等のことも起こりえます。そのような事態にならないためにも、適切なPMIが必要なのです。

PMIはいつから始める?

PMI自体はM&A後の統合を表しますので、成約したその日から始まります。100日プランという考え方があり、これは、成約から3カ月で優先度の高いテーマのスケジュールを設定していく考え方です。成約したその日から実行をしていく訳ですから、準備自体はそれまでに行われていなければなりません。準備は早ければ早いほど良いです。監査あたりに準備を始めることが理想的でしょう。

前提の話「違い=問題」ではない

例えば、こんなM&Aがあったとします。

買い手企業は、東京本社の東証上場企業の売り上げ300億円の総合物流企業。
売り手企業は、南九州エリアで売上4億円の運送企業。

買い手は、拠点の確保とともに、荷主の獲得・地の利としてのノウハウを獲得したいというニーズのものとM&Aを実行したというケースを想像してみてください。
シナジーは多く見出せそうです。大手の資金も入ります。会社としての格も上がり、荷物の保管もかなり期待ができそうです。
一方で、定性的な部分についてはどうでしょうか?東京本社の300億円の企業と、南九州の車両30台ほどの企業では、「当たり前」がまるで違うことが予想されます。上場企業にとっては上場企業の当たり前があり、売り手企業にとってはそこでの当たり前があるのです。それは、「違い」でありますが、「問題」ではないのです。ここで大事な考え方は、「当たり前の強要をしてはいけない」ということなのです。過度な強制は、正しいPMIとは言えないでしょう。現場あっての会社なのですから、現場の反発を買ってしまうことは、相乗効果を出すことについて、遠回りをしていることに他ならないのです。

ヒト・モノ・カネの考え方(ヒト)

ビジネスを考える際、要素としてヒト・モノ・カネという視点は重要とされますが、PMIでも同様に重要な視点です。
中堅・中小の物流企業においては、「ヒト」の軸は特に重要です。経営者に仕事が紐づいている体制や、いわゆる仕事術・ノウハウが社長に紐づいているパターンがかなり多いためです。そのため、ノウハウを体系化することなどが重要な点になります。オーナー経営を組織化、体系化をすることが重要で、マニュアル作成などがそのための第一歩です。
もちろん「ヒト」の要素には対人関係も重要です。これは数字で表すことができませんので、だからこそ会話が必要となります。対人関係については、PMI開始時点で調査が必要な事項になります。

ヒト・モノ・カネの考え方(モノ)

「モノ」は買い手企業と売り手企業の「当たり前」の相違が起こりやすい部分です。例えば、上場企業では、PCが一人1台あったり、個人ごとの設備があったりすることもあるでしょう。中堅・中小企業M&AのPMIにおいては、その「当たり前」の認識の統合をはじめに考えることは危険です。
例えば、車両の「当たり前」が異なっているケースはとても多い事由です。
買い手企業は全車両にドラレコ・デジタコが標準装備になっていたとしても、売り手企業はアナタコのまま、などということは容易に起こりうる話なのです。
「時間の管理のために、まずはデジタコの管理体制を変えましょう」という話は、すべてのトラックにデジタコがあることを前提としている話になっていますので、そもそもこの計画は成り立つのかどうなのか?という視点が前段階として必要になるのです。

ヒト・モノ・カネの考え方(カネ)

企業にとっての「カネ」は「会計」を表します。もちろんM&Aの実行時に会計周りの問題をクリアにすることは前提になりますが、PMIでは現場レベルでクリアにしていかなければいけません。中小企業のよくあるパターンとして、社長は現場・経営方針を決定する。社長の奥さんが経理をやっており、社長自身は経理周りのことについてあまり把握をしていない。という状況が多々あります。
事業承継型のM&Aですと、社長の退任に伴って、奥様も一緒にご退任されるケースが多いので、このあたりのノウハウを言語化・標準化していくことが必要になります。

PMIは準備が大事!

ヒト・モノ・カネにフォーカスをして、PMIについて標準的な内容を紹介しましたが、当然ながら準備がものをいう世界です。いつから準備を始めるか?で成果が全く変わってきます。それは、PMIの重要性を認識しているかどうか、それだけの差なのです。専門性ももちろん求められてくるものですので、専門家に相談することも有効な手段です。日本M&Aセンターでは、グループ会社にPMIの支援を専門に行う株式会社日本PMIコンサルティングという企業があり、そちらでのご相談も可能です。(https://www.jpmic.co.jp/)何件もM&Aを成約している企業様もご相談いただいているサービスであり、すでにM&Aを実施してPMIにお困りの企業様も是非お問い合わせください。

M&Aへのご関心、ご質問、ご相談等ございましたら、下記のお問い合わせフォームにてお問い合わせを頂ければ幸甚です。




コンサルタント紹介



株式会社日本M&Aセンター 
業界再編部 物流業界専門グループ 
チーフ 宮川 智安

群馬県出身。実家は七代続く水産業の卸売。早稲田大学卒業。2020年新卒で日本M&Aセンターに入社し、全国の物流業界を専門にM&A業務に取り組む。2021年度同社で最も多くの物流業界M&Aを成約へと導いた。同年度新人賞。運行管理者資格保有。