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M&Aレポート

【事例解説】物流業界M&A 成長戦略型M&Aの全貌 ~自身の夢をかなえる30代創業者の成長戦略型M&A~

2022.7.22

  • 物流

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ご相談フェーズ

株式会社アジェクトの青木社長と出会ったのは2020年が始まった時でした。世間的にはコロナウイルスの感染拡大が騒がれだしたときであり、様々な業種に影響が出始めた時期です。

青木社長は一度社会に出るも、経営を学ぼうと大学に再入学、経営を学んだ末に物流業界に興味を持ち、個人事業主の軽貨物運送業として事業をスタートさせました。その後一般貨物自動車運送事業経営許可を取得し、青木プロジェクトを由来としたアジェクトを設立しました。
青木社長は元来スポーツマンであり、陸上をはじめ様々なスポーツを趣味としていました。なかでもスノーシューイングというスポーツでは世界選手権に出場するほどの実力の持ち主で、さまざまな場面で活躍できるはつらつとしたタイプでした。その持ち前のフットワークを武器にトップ営業を行い、創業13年たった2020年頃は常に増収増益となり、周りからみると非常に順調な企業でした。

成長企業ならではの社長の悩み

青木社長は増収増益を続け、向こう数年もさらに成長が見込めるところまで来ていると当時おっしゃっておられました。社員も70名を超え、人材面や管理面で様々な悩みを抱えだしたのもこの時期でした。自分自身はトップ営業で会社を大きくできる自信はありました。しかし、その成長のスピードに組織がついてこられるかという不安が頭をよぎってしまったのだといいます。

今後の会社の行く末をどうすべきか、そのような想いを持って日本M&Aセンターに相談に来られました。そもそも自社をどのように持っていくべきか、本来やりたいことは何なのか、青木社長の将来構想と自分自身のやりたいことなど、多くのことをディスカッションしました。
M&Aによって他社を譲受けて有能な社長と一緒に組んで拡大していくことも一つなのか、大きな企業と組んで組織づくりや管理面を任せて自分自身は会社の拡大に専念するのが良いのか、いろいろと悩みました。まずは自分自身の選択肢を確認するうえで自社の企業評価をすることとしました。その時期に、コロナウイルスが日本にも蔓延することとなり、多くの企業で影響が出始めたのでした。

コロナ禍でさまざまな選択肢を模索することに

企業評価を提示され、青木社長としてはまだまだ満足するものではありませんでした。コロナ禍でありながらその影響を受けることなく、むしろ増収傾向で進行期も進んでいました。ただ、コロナ禍で周りの企業が次々に影響を受けている姿を目の当たりにし、「現状あまり影響がないが、将来自社も“まさか”の事態に備えなければいけない」という思いも生まれてきました。増収増益を繰り返しているときに振り返って自社の立ち位置をフラットに見て検討することができたのは、本当に素晴らしい感覚をもった経営者なのだと驚かされました。
まだ自身も30代であり若く、将来やりたいこともたくさんある中で、それを自分でやる以上にわくわくできる企業であればパートナーとして組むことも選択肢の一つと考え、パートナーを組む候補にどのような企業がいるのかを知るために準備を始めました。

提案書、企業評価書を作成し、自社の本当の実力を知る

正式に提携仲介契約書を日本M&Aセンターと締結し、最初に行ったのは提案書の作成と企業評価書の作成です。当社の専門家(弁護士、公認会計士、社労士、司法書士等)が1000ページを超えるほどの資料すべてに目を通し、リスクの洗い出しや正確な企業評価について議論をしました。増収増益企業であるため、将来の見込み等を加味し、今の帳簿上の数字を使うのではなく、将来の事業計画を元に企業評価書を作成しました。とはいえ、若い青木社長はそれほど価格には執着せず、むしろわくわくできる相手かどうか、従業員も今以上にわくわくできる企業かどうか、を期待していました。

提案を開始し、世の中の生の評価を知る

日本M&Aセンターは日本全国にネットワークを有しています。その地域ごとに地銀や信金等、金融機関や税理士事務所等多くのコネクションから候補先を募りました。300社以上の企業に提案をし、複数社が名乗りを上げました。その中には大小さまざまな企業があり、その提示条件も評価以上の提示をいただけた企業もあれば、それを下回る企業もあるなど、本当に様々な企業からオファーが届いたのです。

緊張のトップ面談、自分自身と自社の将来がハッピーになる相手を選ぶ

複数の企業からオファーがあった中、青木社長は2社とトップ面談を行うことを決断しました。1社は同じ地域で運送業を営む中堅企業A社、もう1社は全く別の地域で3PLを営む中堅企業B社でした。両社と面談をし、それぞれから意向表明が提出され、青木社長は驚きました。両社の提示条件に数千万円の開きがあったのです。個人の資産で数千万円の違いは非常に大きなものです。もちろん、高評価をいただいたA社は、その条件に見合う期待を青木社長に寄せており、その気持ちも十分に伝わっていました。また、A社は同じ取引先とのコネクションもあり、自社の仕事を理解していただけ、従業員等には安心感を与えられるという思いもありました。

しかし、青木社長が最終的に選んだのは価格が低いB社でした。
B社の社長からはトップ面談時にこのような話がありました。
「これから関東に本格的に進出し、関東だけで売上100億を目指したい。そのためには青木社長が弊社の関東戦略の中心となり、また核となり、一緒に発展させてほしい。さまざまなコネクションや営業力は自社にはあり、それを現場の対応力を活かして相乗効果をだしていきたい。一緒にやろう!社員も青木社長も必ず幸せになる!」この言葉に心打たれた青木社長は自身にまだ大きな可能性があることを認識できた瞬間でした。

小さな子供もおり、家族を支える立場として考えれば価格の高いほうを選ぶべきでしょう。しかし、青木社長はB社とともに歩む未来を鮮明に想像ができ、そこには自分自身がイキイキと仕事をしており、また働く社員やドライバーの笑顔、アジェクト社の発展がリアルに想像できたそうです。
自分一人でアジェクトを発展させる未来と、B社と組んで日本を代表する企業になることを天秤にかけ、青木社長はB社とともに歩むことを決断しました。

資本提携の成立、そしてPMIへ

青木社長は経営学を学んでいたこともあり、資料の管理等もしっかりしていたため、買収監査やその後の手続きは非常にスムーズに進みました。無事に成約を迎え、いよいよ新しいスタートを切りました。まず最初の不安はキーマンへの開示でした。一緒に伴走してきたキーマンが今回のことをどのように受け止めるのか、どのような質問が来るのか、どのような反応がくるのか、いろいろ想像はするものの最終的には自分の想いを素直にぶつけるほかないなと思ったそうです。緊張の中キーマンへの開示を行いました。結果は思いのほか肯定的であったそうです。これまで信頼して一緒に仕事をしてきた青木社長だからこそ、その青木社長が考えたこと、信じたことであればそれに協力しますと言ってくれたそうです。本当に緊張から解放された瞬間でした。今まで社員のことを考えながら会社運営をしてきて、社員とも信頼関係があったからこそ、一人も退職者が出ることもなく今回の資本提携を受け入れてくれました。

そこからはB社とのPMIです。さまざまな管理方法のグループ統一化、取引先へのあいさつ、やることはとても多かったようです。しかし、B社のコネクションや持ち前の営業力を駆使し、提携後わずか1か月で新規の顧客との取引が生まれました。これまでのアジェクト社では到底門前払いであったレベルの企業との取引が始まった瞬間でした。青木社長はこの資本提携の相乗効果がすぐに出たことで、将来がより一層楽しみになったとおっしゃっておられました。もちろん、青木社長はアジェクト社の代表取締役社長をそのまま継続し、今でも会社の発展に奮闘しておられます。これまで見たこともなかった世界、可能性を感じ、イキイキとワクワクを胸に社長業を営んでおられます。

当時の想いやこれからの成長戦略をお伺いしたYouTubeはこちらからご覧ください。


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東京大学工学部卒。野村證券株式会社、土木資材メーカーの副社長として経営に参画後、日本M&Aセンターに入社。経営者としての経験をもとに中小企業オーナーの立場に立ったM&Aを提案。2019年度全社MVP・全社最高売上を記録。

業界再編部 部長
物流業界専門グループ
山本 夢人