MENU
CLOSE

M&Aレポート

食品業界の事業承継に関する意識調査

2022.7.19

  • 食品

Facebook Twitter LINE

こんにちは。(株)日本M&Aセンター食品業界専門グループの図斉です。
当コラムは日本М&Aセンターの食品業界専門グループのメンバーが業界の最新情報を執筆しております。
今回は図斉が「食品業界の事業承継に関する意識調査」についてお伝えします。

食品業界の事業承継のアンケートを実施

今回の食品業界の事業承継に関する意識調査は、4月に東京商工リサーチの産業調査の一環として行い、その内容を一部抜粋し、まとめたものとなります。回答数としては、1396件となっております。

【調査概要】
調査概要:食品業界の事業承継に関する意識調査
調査方法:書面調査
調査期間:2022年4月1日~2022年4月20日
有効回答:食品関連業(食品製造業・食品卸業・食品小売業)の経営層1396名

食品業界全体の状況として、ここ数年で「コロナ禍の影響による売上の減少」「原材料価格の上昇」「HACCP等の対応に向けた資金繰」、また、中小の食品企業の大きな脅威となっている「大手小売業による上流への進出」などここ数年で大きな変革が求められる中で、各食品企業の事業承継への考えの現状を見ていきたいと思います。

認知されている事業承継の手法と検討している手法

認知されている事業承継の手法に関しては、親族承継が約84%を占める結果となりました。一方で、第三者へのM&A(株式譲渡)についても、全体回答数の約48%を占める形となり、第三者へのM&A(株式譲渡)という手法が少しずつ認知されているという結果となっています。

また、検討している事業承継の手法に関しては、親族承継が約68%で認識している手法と約16%の乖離が生まれている結果となりました。第三者へのM&A(株式譲渡)については、約20%となりました。親族承継と比較しても、認知と検討の乖離が28%とより大きい結果となっています。
このアンケートから、第三者へのM&A(株式譲渡)という手法は、まだまだネガティブな印象を抱いている層も一定数いることが垣間見えます。

選択肢:
1.親族への事業承継
2.社員への事業承継
3.第三者へのM&A(株式譲渡)
4.その他

事業承継において大切にされていることと事業承継の時期

事業承継において大切にされていることについては、「自社の更なる発展」が全体回答数のうち36%で最多となりました。その後に「従業員の雇用」「取引先との関係」と続く形となっております。意外にも、「金額(譲渡対価)」「保証債務(個人のもの)の解除」は優先度が低く、オーナーがいかに会社のことを中心に考え、会社を経営しているかがわかるアンケート結果となりました。

事業承継の時期については、6年以降もしくはまだ未定が約59%を占める結果となりました。一方で、既に準備を始めている・1年以内と回答した割合は約14%となっております。後述の後継者の有無と候補者についてのアンケート、回答者の年齢割合から見ても、かなり低い結果となっており、事業承継がなかなか進んでいない、もしくは後回しにされているということがわかります。

後継者の有無と候補者について

後継者の有無については、「後継者候補がいない」が約23%、「後継者候補はいるが、任せてよいか迷っている」が約24%となっており、全体の約47%が後継者について悩んでいることがわかります。前述の事業承継の時期と比較しても、半数近くが悩まれている状況のため、できる限り多くの選択肢を早い段階で準備しておくことが適切だと考えられます。

候補者に関しては、約36%が「社内にいるご子息・ご息女」、約14%が「社外にいるご子息・ご息女」、約13%が「従業員」となっています。「社内にいるご子息・ご息女」に関しては、比較的コミュニケーションがとりやすい環境下とは思いますが、「社外にいるご子息・ご息女」「従業員」についてが、本当に会社の経営者になりたいかどうか、またその覚悟があるのかどうかを話し合う機会も設ける必要性があると思われます。仮に、これらの意思がない場合には、現実的には「第三者へのM&A(株式譲渡)」という手法しか残されていない形となり、早めの準備が必要といえます。

経営上の課題と興味のある経営戦略

経営上の課題については、「人材の強化(採用・育成)」が全体の約63%で一番多い回答となりました。そのあとに「売上・シェア拡大」「原材料価格の高騰」「財務体質の強化(コロナ禍の影響含む)」となりました。特に食品業界では、外食産業・食品製造・食品卸売と深夜・早朝業務、シフト制といった働き方が多く、若い人材からは敬遠されやすい業態となります。そのため、中小企業単独での採用活動は、今後も変わらず苦戦が想定されます。M&Aによる大手グループ入りや上場などによる信用力強化を図っていかなければ、人材確保がまともにできなくなる可能性もあると思われます。

興味のある経営戦略に関しては、「事業の成長・生産性を高めるため、関連する企業の買収」「事業の選択と集中(ノンコア事業の切り離し)」「事業承継としての自社の譲渡」と続く形となりました。こちらの設問に関しては、他設問と比較しても回答数が少なくなっております。質問が買収もしくは株式譲渡を中心とした経営戦略を中心とした内容になっているため、回答が少なかったと考えられます。そのため、M&Aという手法が認知はされているものの、実際に取り組みにはハードルが高いという心境が見える形となりました。一方で、全体回答数としては、全体回答数のうち約24%がM&Aに関連する回答を選択していることから、今後さらに食品業界におけるM&Aが拡大する余地はあるのではないかといえます。

今後の事業承継、食品業界における経営戦略としてのM&A

今回の食品業界における事業承継に関する意識調査では、現状の食品業界の経営者が考えている後継者問題や経営課題の一部を把握することができました。特に後継者問題では、約半数が後継者不足という実情が明らかになりました。また、経営上の課題としても、自社単独では解決しきれない問題も露見してきている状況となってきております。
その中で、第三者への株式譲渡(M&A)はそれらを解決する選択肢になりうるかと思います。また、M&A以外にもTOKYO PRO Marketといった株式市場への上場もトレンドとなりつつあり、人材採用や資金調達の助けになりうるかと思います。そのような情報を少しでも関心を持っていただき、さらなる自社の発展を検討してみていただければと思います。

いかがでしたでしょうか?

食品業界のM&Aへのご関心、ご質問、ご相談などございましたら、下記にお問い合わせフォームにてお問い合わせを頂ければ幸甚です。
買収のための譲渡案件のご紹介や、株式譲渡の無料相談を行います。
また、上場に向けた無料相談も行っております。お気軽にご相談ください。
▼お問い合わせフォーム

最新セミナー情報

【開催内容】

2022年夏!全国食品M&A勉強会
~実績No.1の日本M&Aセンター食品業界専門グループによる食品M&Aの最新事例解説~

新型コロナウイルスの感染拡大、ロシア・ウクライナ問題、円安など混沌とする世界情勢の中で今後の経営戦略が非常に重要になってくる数年。

またそれと相まって後継者不在問題による廃業の流れが止まらない状況であるが、どのような経営の舵とりをすればよいのか。

日本の食文化を世界に広めたいと理念のもと活動する、当社食品業界専門グループが各エリアにて、実際に当社で譲渡された元オーナーとセッション形式で時代の荒波を乗り越えるためのМ&Aノウハウを解説します。

【特別ゲスト講師】



執筆者プロフィール



株式会社日本М&Aセンター
業界再編部 食品業界専門グループ 
チーフ 図斉 亮介
Mail:zusai@nihon-ma.co.jp

埼玉県生まれ中央大学商学部卒業後、大手証券会社にて資産運用コンサルティングに従事。また、㈱マイナビにて、人材領域における法人営業・マネジャーを経験。
その後、㈱日本М&Aセンターに入社。外食・食品業界専門チームにて、食品製造企業を中心に企業の存続と発展に向けたМ&A支援に携わる