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M&Aレポート

オーナー社長必見!今一番ホットな上場市場TOKYO PRO Marketとは?

2022.7.25

  • IT

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2022年4月、東京証券取引所が市場区分を再編し、「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」の3つに集約したことをご存じの方も多いかと思います。一方で、この再編の影響を受けなかった市場があることを知っている方はあまり多くないのではないでしょうか。今回は、いわゆる第4の市場と呼ばれるTOKYO PRO Market(TPM)についてご紹介してまいります。

TPMを理解する4つのキーワード

キーワード①:プロ向け市場

TOKYO PRO Market、通称TPMは2009年に開設された比較的新しい市場で、「プライム市場」、「スタンダード市場」、「グロース市場」(以下、3市場を総称して一般市場と呼ぶ。)と同じく東京証券取引所(東証)が運営する株式市場の一つです。TPMの一番大きな特徴かつ一般市場との最大の違いは、一般投資家は株式の売買が出来ず、プロ投資家(※)のみが参加できる市場という点です。参加者を株式投資の経験が豊富でリスクの判断を行えるプロ投資家に限定することで、一般市場に比べて上場基準のハードルを低く設計することができるようになっているのです。

※東証においてプロ投資家は以下のように定義されております。
・特定投資家: 適格機関投資家(金融機関等)、国、日本銀行など
・一般投資家に移行可能な特定投資家: 上場会社、資本金5億円以上の株式会社など
・特定投資家に移行可能な一般投資家: 上記以外の株式会社、3億円以上の金融資産を持つ個人(東証からの認定が必要)
・非居住者: 日本国内に住所又は居住を持たない個人、法人

キーワード②:形式基準がない

TPMには形式基準がありません。形式基準がないことで一般市場と一番大きく異なる点は、株主数に条件がないことです。それが何を意味するのかというと、一般市場のように不特定多数の人に株式を持ってもらう必要がなく、株式の99%をオーナー個人で保有したまま上場ができてしまうということです。(※上場時に株価をつけるため1株以上を市場で売買する必要があります。)

一般的には上場すると会社の所有と経営は分離され、社長(取締役)は株主(会社の所有者)から経営を委託される形となり、株主の意向に沿って経営をしていく必要がありますが、TPMでは99%を社長が保有したまま上場することが可能なので、“物言う株主”の存在を恐れる心配もなく、経営の自由度も高いと言えるでしょう。
 
また、上場前の監査期間は一般市場では2年間のところTPMは1年間のみでよく、一般市場では四半期ごとの決算開示が必要ですが、TPMでは半期ごとで要件を満たすため、上場までのコストや上場してからの維持コストも比較的抑えることができます。

参考:各市場の形式基準

出典:東証ホームページをもとに日本M&Aセンター作成

キーワード③:J-Adviser制度

TPMの大きな特徴の一つにJ-Adviser制度というものがあります。一般市場では上場の審査は東証が行いますが、TPMでは東証に代わって東証から認定を受けたJ-Adviser資格を持つ一般企業が上場審査を実施します。
すべてのTPM上場企業もしくは上場準備企業に1社のJ-Adviserが付き、J-Adviserは単に上場審査を行うだけでなく、上場後も担当としてしっかりと対象会社に寄り添って東証とのやり取りの間に入り、情報開示等のサポートをしていきます。伴走型のアドバイザーが常にいる安心感が特徴的な制度です。
 
現在、J-Adviserは14社ありますが、大手証券会社も資格は保有しているものの、担当している企業は1社もいないため、フィリップ証券、宝印刷、そして日本M&Aセンターの3社が主にJ-Adviserとして活躍しております。

出典:日本M&Aセンター TOKYO PRO Market紹介ページより抜粋

<J-Adviser一覧>()内は担当企業数 ※2022年6月時点
・フィリップ証券株式会社(30社)
・宝印刷株式会社(11社)
・株式会社日本M&Aセンター(10社)
・株式会社アイ・アール ジャパン(2社)
・エイチ・エス証券株式会社(2社)
・G-FAS株式会社(1社)
・野村證券株式会社
・大和証券株式会社
・三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社
・SMBC日興証券株式会社
・みずほ証券株式会社
・株式会社船井総合研究所
・アイザワ証券株式会社
・株式会社ジャパンインベストメントアドバイザー

キーワード④:非常に勢いのある市場

2022年6月末時点の各市場の上場企業数は以下の通りです。

市場別上場企業数(社)

出典:東証ホームページより日本M&Aセンター作成

今年4月の市場区分変更後もやはり上場企業数はプライム、スタンダード、グロースでの順で変わりはありません。一方で、2022年1月~2022年6月までの新規上場数・上場廃止数・純増数を見てみると、直近でどの市場が伸びているのか見え方が変わってきます。 

市場別新規上場数・上場廃止数・純増数(社)

出典:東証ホームページをもとに日本M&Aセンター作成
※1 テクニカル上場は除く
※2 東証一部はプライム、東証二部・JASDAQはスタンダード、マザーズはグロースとしてカウント
※3 上場廃止以外に㈱メルカリが2022年6月7日グロースからプライムに市場区分を変更している

プライム、スタンダードが上場数は多いものの、直近ではグロース、TPMへの新規上場・純増数が非常に伸びていることがわかります。いきなり新規上場でプライムやスタンダードを狙うのではなく、まずはグロースやTPMに上場してからステップアップしていくという企業が多いためです。

2022年6月末時点でTPMには56社上場しており、年々新規上場数も増加しています。2022年は6か月で既に11社が新規上場を果たしており、過去最多であった昨年の年間13社を上回ることは確実です。間違いなく、現在盛り上がっている市場と言えるでしょう。

出典:東証ホームページをもとに日本M&Aセンター作成
※2022年は1月~6月までの上場社数

上場効果は一般市場と変わらない

ここまで主に一般市場との違いについて説明してきましたが、変わらない点ももちろんあります。それは上場企業として最も大事な信用力です。TPMは先述の通り上場のハードルは低く設定されているものの、立派な上場企業であることに変わりはありません。

上場企業としてガバナンスやコンプライアンスの遵守が求められ、適切かつタイムリーな決算開示も実施しないといけません。それによって信用力が担保され、人材獲得や資金調達などあらゆる面において上場企業としてのメリットを享受することが可能になり、間違いなく会社の質が上がることでしょう。未上場オーナーが一番気にされる借入金の個人保証についてもTPMに上場すると原則解除となります。
 
また、一般市場への上場と同じく、ニュースでよく流れる上場日に東証で鐘を突くセレモニーの開催や4桁の証券コードの付与もされます。この証券コードはTPMから一般市場に移る場合も引き継がれる固有の数字です。

最後に

本コラムを最後までお読みいただき、TPMがどのような特徴を持つ上場市場なのかご理解いただけたかと思います。具体的に以下のような課題感を持っておられ、上場して会社を成長させたいと考えている経営者の方がいらっしゃいましたら、ぜひお気軽にお問い合わせください。

・上場は関心があるがハードルが高いと感じている
・会社を成長させる起爆剤が欲しい
・成長に行き詰まりを感じている
・会社の内部体制を強化し、永続的な組織にしていきたい
・グロース市場への上場を考えている
・今の株主構成は変えずに上場したい


コンサルタント紹介


株式会社日本M&Aセンター 
業界再編部 IT業界専門チーム チーフ 室井 優太郎

東京都出身。慶應義塾大学商学部卒業後、日本M&Aセンターに入社。入社以来、ITソフトウェア業界を専門として中堅・中小企業の事業承継及び成長戦略にM&A業務を通じて貢献している。2020年は㈱ウィズ・ホールディングスと、㈱IDホールディングスのM&Aを手掛けた。