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M&Aレポート

M&Aで2024年問題を解決とは|成功事例【大阪府】

2022.8.4

  • 物流

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激動する物流業界の中で、生き残りをかけた戦いが熾烈になっています。外部環境に適応し、付加価値をつけていくためには、スピード感が求められます。自前成長のみに頼るばかりでは、目まぐるしく変わる外部の変化に対応が遅れてしまうため、そのためにM&Aをご検討されている企業が増えています。

M&Aによって、他社をグループに迎え入れ解決をする動きや戦略的に大手のグループに入っていく動きが増加しています。(成長戦略型M&A)

今回は、物流業界の外部環境のトレンドということで「2024年問題」にフォーカスをして、お話していければと思います。

2024年問題とは

近頃、多くのメディアが「2024年問題」を取り上げ報道していますが、注目度の高さは物流業界へのインパクトの大きさを表しています。まず、「2024年問題」について改めて確認をします。

2018年に働き方改革関連法が成立し、2024年4月からトラックドライバーに時間外労働の上限規制が適用されることになりました。現行の時間管理から大幅に仕様が変更され、年間960時間の時間外労働の規制ということになりました。段階的に実施予定であり、将来的には年間720時間まで短縮をされることが決まりました。

今までの運行時間で運べていたものが、規制により運べなくなってしまうということで、各社(荷主含め)その対応に追われている。というのが2024年問題です。この課題を解決するために、ツーマン運行や拠点を増やしてのスイッチ輸送、地場運送への転換などの動きが起きています。

そもそもなぜ問題になっているのか?

そもそもの大前提として、物流業界だけこの問題のスポットライトが当たっているのは、物流業界における労働時間に対する感覚が、他業界と異なっているからです。運送業界では、長距離労働が当たり前とされているため、「2024年問題」が大きな問題となっているのです。
ほかの業界に比べて、労働時間は長く、賃金は低い、というイメージの通り、厳しい労働環境がまかり通っている業界の構造自体が問題の本質なのです。

「当たり前」「暗黙の了解」がドライバーにとってはかなり厳しい環境になっています。ただし、「走った分だけ稼げる」というイメージがあるのも事実です。歩合給制にしている企業もまだまだ多く存在をしています。

歩合給のイメージがあるということは、
「走れなくなる」→「稼げなくなる」
ということにつながります。

もちろん、賃金が下がってしまえば、困るのはドライバーです。生活水準が下がるようなことがあれば、転職を検討するドライバーも増えるでしょう。実際に2024年問題と人事の問題は密接につながっており、最近はドライバー人材の企業間の移動が増えていると聞きます。物流企業は、賃金を下げずに2024年問題を解決しなければいけないのです。

M&Aで叶えるべきこと

日本M&Aセンターにも「2024年問題」に悩む物流企業から多くのお問い合わせをいただきます。多くは、拠点の確保をしたいということです。

・250kmごとに拠点を設けて、スイッチ輸送をできる環境を作っていきたい
・TC倉庫を増やして、クロスドッグの体制を整えていきたい
・人員とトラックの確保をしていきたい

こういった質問がとても多いです。

ただし、注意をするべきこと(忘れてはいけないこと)は、960時間の残業時間制限ののちに720時間までの制限が厳しくなっていくということであり、960時に標準に合わせてしまうのは危険であるということです。720時間の制限に合わせて単位時間当たりの生産性をさらに上げていかなければいけないのです。

今後の物流業界は「運ぶだけ」では生きていけず、「価値の提供」が求められているのが2024年問題の本質です。物流業界としては転換期を迎えているわけです。「拠点の獲得」のためのM&Aではなく、「価値の創造」のためのM&Aという視点を頭に入れておかなければいけません。

単純に考えて、労働時間が減るということは、単位時間当たりの生産性(価値)を上げる必要があります。単純に労働時間が減っただけでは、売上が減少するだけだからです。そこで発生するのは運賃交渉であり、「自社に運賃交渉が出来る武器があるのか?」を想像する必要があります。
実際に現場では、交渉に苦労している企業が多いのが実情ではないでしょうか。一般貨物運送業の平均的な営業利益はここ数年で減少をしていることも、そのことを裏付けているように思います。

「価値の向上」のM&Aはどうするべきか?

「価値」を向上させるためのM&Aとは、他社を譲受けて「付加価値」を増していくことと、他社にグループ入りをすることで親会社からの相乗効果を享受しながら「付加価値」を見出していくことです。

一つの例としては、「3PL」への展開という視点があります。
「3PL」企業は、メーカーの物流部門を一括でアウトソースして請け負うという業務のことを指しますが、近年は急速に需要が高まっています。

近年3PL系の企業が伸びてきている要因としては、やはり、物流の高度化にメーカーが追い付いていけていないということがあります。物流の高度化とは、「小ロット化」「多品種化」「多頻度化」「スピード」「システム構築力(省人化)」などがあります。
物流の高度化への対応をメーカーの物流部門が担うことは極めて困難であるため、その代わりに3PL企業への委託が必然的に増えているということです。

運送業者は「運送」というサービスではなく「物流(3PL)」を目指すためには、運送の業務だけではいけないことは、明白です。
・運送会社が3PL企業にグループ入りをして、3PL業務を行っていく
・運送企業とセンター運営の会社が手を組み、3PL企業への昇華を狙っていく
などのM&Aが増加していくことが予想されます。

2024年問題を解決するためのM&Aの成功事例

一つ事例を紹介します。
譲受け企業は東京の東開物流。譲渡をしたのは、後継者不在に悩んでいた奥野運送でした。
(当社コーポレートHPにもインタビューを掲載していますので、こちらもチェックしてみてください。https://www.nihon-ma.co.jp/page/interview/toukai_okuno/

東京に本社を構え、千葉県をメインに展開をしていた東開物流は、大阪への拠点拡大を検討していました。大阪への荷物がかなり多いものの、自前の拠点を保有しておらず、そこについてのコスト削減、2024年問題への対応に悩んでいました。そんな中、選択肢としてM&Aという切り口を検討し、ご縁あって、奥野運送とのM&Aが成立しました。

・奥野運送と東開物流は、荷物の系統が一致をしていること
・奥野運送は、TC倉庫(通過型の倉庫)を保有しており、クロスドッグに最適であったこと

等が決め手となり、もともとの検討の背景にあった「大阪への進出」と「2024年問題への対応」をM&Aによってかなえることができました。検討が始まってから、2か月ほどでクロージングまで至り、スピード感のあるM&Aの成立となりました。


いかがでしょうか。
M&Aを交えて2024年問題についてを見てみました。
「価値の創造」の体制つくりがこの2年のすべての物流企業の取り組むべき事項であります。それに対して、どのようなアクションを起こすのかを早期に検討する必要があります。

M&Aへのご関心、ご質問、ご相談等ございましたら、下記のお問い合わせフォームにてお問い合わせを頂ければ幸甚です。


執筆者プロフィール



株式会社日本M&Aセンター 
業界再編部 物流業界専門グループ 
チーフ 宮川 智安

群馬県出身。実家は七代続く水産業の卸売。早稲田大学卒業。2020年新卒で日本M&Aセンターに入社し、全国の物流業界を専門にM&A業務に取り組む。2021年度同社で最も多くの物流業界M&Aを成約へと導いた。同年度新人賞。運行管理者資格保有。