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M&Aレポート

『日本人の勝算』M&Aコンサルタントが経営者に推薦する1冊

2019.11.1

  • M&A全般

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『日本人の勝算』の要約・あらすじ・特徴

このままでは日本に「勝算」はない

GDP=「人数」×「生産性」であり、人口が減少するこれからの日本では、生産性を上げるしかありません。これまでの世界経済は、人口の増加に伴って成長してきたものに過ぎず、故に世界の経済ランキングは、世界の人口ランキングとほぼ同義なものでありました。

人口減少と高齢化が深刻化する日本では今、大きなパラダイムシフトが訪れています。人口が右肩上がりで増えるというパラダイムが、右肩下がりに減るというパラダイムに変化し、今すぐにでも対処を始めないと、近い将来ほぼ確実に三流先進国、延いては途上国に転落してしまう状況にさらされているのです。

しかし日本国内の議論を聞いていると、あたかも今までの仕組みを微調整すれば何とかなるという、その場しのぎで実に甘い、のほほんとした印象しか伝わってこず、嵐を目の前にした危機感が全くと言っていいほど感じられないのです。

今求められているのは、「これまでの常識」から距離を取り、前提条件に囚われずに解決策を見出す思考です。今までの枠組みに囚われ、固定観念に染まっている限り、決して日本の転落を食い止めることはできないのです。

「中小企業好き」大国日本

生産性の向上が困難になっている最大の原因といえるのが、日本には規模のきわめて小さい企業が多すぎることです。

確かに高度経済成長期のように、日本経済が飛躍的に成長した期間、中小企業も大幅に増加したという事実はあります。

しかし、因果関係をきちんと検証もせず、成長した時代の特徴を真似ることで再現しようというのは大きな間違いです。

高度経済成長期は、人口が大幅に増加していた為に日本経済が成長しただけのことであり、企業数は関係がなかった可能性が高く、故に中小企業の増加が経済成長の基礎だという説は、ただの都市伝説に過ぎないと言っても過言ではありません。

企業規模の大小による生産性の違いは、物的資本の違いが大きいという説明がされています。規模が大きくなればなるほど、設備投資の余裕が生まれ、設備が充実することで生産性が向上するといえます。

よって、人口が減少していくこれからの日本では、生産性の向上が不可欠であり、その為には企業の規模を大きくする必要があります。人口が減少する中で企業の規模を拡大するには、企業の数を減らすしかない、というのは必然的な結果なのです。

最大の問題は経営者にある

これまでのように、人口増加によって自動的に生産性が上がり、経済成長が実現される時代は終わりました。よって今後は、自然に伸びる経済から、人為的に伸ばす経済モデルへの転換が求められており、意図的に生産性を上げていかねばならないのです。

マッキンゼーが発表したレポートでは、生産性向上の最大の足かせは経営者であり、中でも各国の経済の大半を占める中小企業の経営者の質が悪いことが問題だと指摘しています。

生産性を形作るものは大きく分けて3つ挙げられます。それは、人的資本と物的資本、その二つで言い表せない全てを示した全要素生産性です。

日本においては、全要素生産性の部分に大きな問題があるといえますが、これは大半の経営者が、これだけ人口が減少しているのにも関わらず、それを考えず、これまでと同様の経営戦略をとっていることが最大の原因といえるでしょう。

これからの日本で生産性向上を実現する上で最も大切であるのは、一人一人がEntrepreneurship(起業家精神)を持つことです。これは、新技術を受け入れ、リスクを取って新たなことに挑戦していく、という意味です。

日本では、しばしば今後の生産性向上を実現する上で最も大切なテーマは「技術革新」である、といった主張がなされることがあります。
しかし、実際のところ生産性の観点からは、技術革新はそこまで大切な要素ではないという結論が出ています。

また、これまでの日本で重視されていた「競争」に至っては、もはや全く意味のないものに成り下がっているのです。

よって、日本の経営者は、もっと危機感を持ち、どうすれば社員が幸せになれるのかを第一に考えた上で、時代に合わせて経営戦略を変化させ続ける必要があり、それができない経営者は退いた方が良いといえます。

『日本人の勝算』を推薦する3つの理由

「国宝の守り人」が日本人に送る一冊であること

イギリス生まれの、デービッド・アトキンソンが、元ゴールドマンサックス金融調査室長として集めた世界の英知と、親日家としての深い日本文化に関する知識を生かし、日本の未来を真剣に考え、日本人が今後すべきことを示した本です。

図表を使い、わかりやすく説明されていること

元外資系バンカーならではの、見やすい図表によって、伝えたいことが明確かつ分かりやすく記載されています。誰が読んでも彼の主張はすぐに理解し、納得することができるでしょう。

誰よりも経営者に向けた本であること

本著の中では、日本の経営者、中でも中小企業の経営者に対するメッセージが多く詰まっています。
中小企業の経営者の皆様は是非、一度このメッセージを自らの中に落とし込み、即座に実行してほしいと思います。

これからの日本を変えられるのはあなた方しかいないのですから。

青山学院大学法学部卒業後、埼玉りそな銀行にて法人営業を経て2015年に日本M&Aセンターに入社。食品業界を専門として製造業、小売業、外食業などのM&Aに取り組む。17年は丸亀製麺を展開するトリドールHDと「晩杯屋」のアクティブソース、「ラー麺ずんどう屋」を展開するZUNDのM&Aを手掛けた。

課長
食品業界支援室 室長
江藤 恭輔