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M&Aレポート

『ファスト&スロー(上)、(下)』M&Aコンサルタントが経営者に推薦する1冊

2019.10.24

  • M&A全般

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『ファスト&スロー(上)、(下)』の要約・あらすじ・特徴

人間の意思決定は合理的でないことのほうが多い。

本書は「いかにして人は認知的な錯覚に陥るのか?どのようにすれば合理的な判断ができるのか?」について書かれている本です。

人間の意思決定は合理的でないことのほうが多いという事実を、行動経済学・認知心理学的実験で徹底解明しています。

著者であるダニエル・カーネマンは、心理学者ながら2002年にノーベル経済学賞を受賞するという離れ技を成し遂げました。その論文を一般的にまとめたのが本書になります。
経営者の方含め、全ての意思決定者に読んでいただきたい本です。

人間の脳には2つのシステムがある。

人間の脳には2つの思考のシステムがあります。1つ目は早い思考・2つ目は遅い思考です。

本書の中では、早い思考と遅い思考を「システム1」と「システム2」と分けて書かれています。
たとえば、「2×2=」という数式を見ると、何かを意識することなく瞬間的に「4」という答えが分かります。

これが、「34×12=」となると、普通の人は瞬間的には分からず、「408」という答えを出すまでにかなりじっくりと頭を使うことになります。

このとき、前者で働いているのが「システム1」、後者で働いているのが「システム2」ということになります。

人間は無意識に「システム1」を使って生きている。

人間の脳は怠惰であり考えたくないと無意識に思っている生き物だと言われています。
そのため、「システム1」である早い思考を使って反射的に生きています。

本書では、反射的な判断によって誤った意思決定に陥らないように、意識をして遅い思考を使うべき時の判別法が事例に基づいて書かれています。

『ファスト&スロー(上)、(下)』を推薦する3つの理由

陥りやすいバイアスを認識するために

人間が陥りやすいバイアスには種類があります。その一つに「アンカリング効果」というものがあります。
これは、ある未知の数値を見積もる前に何らかの特定の数値を示されると、見積もりはその特定の数値の近くにとどまったままどうしても離れることができなくなるという現象です。

例えば、「ガンジーは亡くなったとき114歳以下だったか?」と質問されたら、「ガンジーは亡くなったとき35歳以下だったか?」と訊かれたときよりも、はるかに高い年齢をこたえる傾向にあります。
このような脳の傾向を認識することで、推定や見積もりを誤る確率を低減させることができます。

システム2を使って正しい意思決定をするために

2つのシステムのうち、人間は多くの思考や判断をシステム1に頼りきりになります。それは、「システム2」が稼働する難しい数の計算などの認知的負担の高い作業には、自制心を要するためです。

セルフコントロールの力には限界があり、使い切ると自我消耗を招き、エラーを起こしやすくなります。

稀に、ある条件が揃うと疲れも時間も忘れて没頭できる「フロー状態」になる事もできますが、「システム2」の使用には限界があるのが通常です。

意思決定を誤らないために

さきに述べたように「システム2」は消耗性のものであり、常に「システム2」を使って判断を下すことは不可能です。そのため、誤った意思決定の回数を減らすには、「システム1」のもたらす非合理的な判断について、バイアスのパターンを知ることが重要になります。

「システム1」の作用にはパターンがあり、それを認識することで対処するしかないのです。そこでそのパターンから、バイアスの効果を推定し、その効果分を除去して意思決定を行うことが大事になってくるのです。

外資系金融機関を経て日本M&Aセンターに入社。業界再編部の立ち上げのメンバーであり、現在はIT業界の責任者として、中小零細企業から、上場企業まで数多くの友好的なM&A、事業承継を実現している。これまで主担当として50件以上を成約に導いており、国内有数のM&Aプレイヤーの1人である。東芝情報システムとデンソーとの資本提携等を手掛ける。

副部長
IT業界支援室 室長
瀬谷 祐介