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M&Aレポート

【年別M&A】2018年・運送・物流業界のM&A

2019.10.22

  • 物流

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2018年の主な物流業界M&A案件

2018年の物流業界のM&Aは公表ベースで85件であり、前年同様80件以上となりました。10年前と比べるとその数は約2倍となっており、物流業界のM&Aが徐々に浸透してきているといえます。

2018年を代表する物流業界のM&A

業界順位を大きく変えたSBSホールディングスによるリコーロジスティクスの買収

2018年当時、売上約1,500億、業界では18位のSBSホールディングスが売上約700億のリコーロジスティクスを買収して話題となりました。SBSホールディングスはこのM&Aで業界順位を18位から一挙に12位へと押し上げました。

メーカーに所属する物流子会社は、ドライバーや車両を確保しなければならないという課題に加え、自社グループ内の仕事への偏りすぎた売上構成が悩みでした。しかし、グループ外での拡大は容易ではなく、将来の成長に不安を感じていました。

リコーロジスティクスも同様の悩みを抱えており、自前での成長ではなく他社と連携をする道を選ぼうと考えました。

他方SBSホールディングスは中期経営計画で売上を2,000億にするという目標があり、さらにはリコーロジスティクスが得意とするドライ品を全国レベルで強化したいと考えていたため、この度の話が願ってもない案件でした。

SBSとしてもリコーロジスティクスとしてもお互いが成長戦略の一手として双方の利害が一致し、この度の成約にいたりました。M&A後はお互いのトラックや倉庫を共有でつかうことや、グループ全体として倉庫の集約化等を行うことで早期にシナジー効果を生み出すことができました。

「物流子会社の切り離し」「成長戦略でのM&A」という物流業界の2つのトレンドをつかみ、業界順位を大きく変えたこの案件で、再編の風を巻き起こす象徴的な事例でした。

ビックカメラによるエスケーサービスの買収

もう1つ象徴的な案件であったのがビックカメラによる物流部門の強化案件です。

現代ではeコマースが広がり、ネットを利用した買い物が増加の一途をたどっています。BtoCの業態では、増加し続けるエンドユーザーへの配送需要とそれに対応する人手が不足をしていました。

この時代の流れにのり、BtoCを生業とする企業の物流部門の強化が一つの流れとなりました。この度のビックカメラによるエスケーサービスもまさにそれを象徴しています。

家電量販店等では、お客様へすぐに運べる体制をいかに整えるかが大きな差別化につながっており、各社こぞって物流網を強化していました。時代の急速な変化をとらえた象徴的な事例でした。

2018年の物流業界M&Aの特徴

物流業界ではオーナーの年齢が60歳を超える企業が非常に多く、オーナーの高齢化や後継者不在など、いわゆる事業承継型のM&Aが多いのが特徴でした。

そのため、譲渡企業は“譲渡しなければならない理由”がありました。

しかし、2018年はいわゆる成長戦略型のM&Aが増加し、一見譲渡する必要のないような収益力、健全な財務体質の企業が、大手と手を組むことを決断しました。

変化の激しい業界で、自前で成長していくことが果たして将来を考えたときに正解なのか、縮小する日本の市場の中で限られたパイを奪い合って競争することより、他社と手を組んで新しいビジネス網を作り上げていく協調の戦略をとろうとする企業が増えたということになります。

これまでの物流業界のM&Aの考え方を大きく変える事例が多い年でした。

東京大学工学部卒。野村證券株式会社、土木資材メーカーの副社長として経営に参画後、日本M&Aセンターに入社。経営者としての経験をもとに中小企業オーナーの立場に立ったM&Aを提案。2020年3月度全社MVP・全社最高売上を記録。

業界再編第2部 部長
物流業界支援室 室長
山本 夢人