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M&Aレポート

【調剤薬局業界M&A事例】M&A後1年で23店舗から38店舗へ拡大に成功

2019.9.9

  • 調剤薬局

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【譲渡企業様】
・企業名⇒株式会社鈴木薬局
・業種⇒調剤薬局(21店舗)
・売上(M&A当時)⇒32億円
・オーナー様のご年齢⇒65歳(創業者)

【譲受企業様】
・企業名⇒阪神調剤ホールディンググループ
・業種⇒調剤薬局(約500店舗)
・売上(2018年3月期)⇒914億円

譲渡企業様の概要とM&Aの検討理由

止まらない業界再編

現在の日本では、業界全体としての拡大が止まり、業界再編されていく業種が多々みられます。銀行、家電量販店、コンビニエンスストア、医薬品卸などの業界をみてみると、業界再編が進み、結果として企業グループは概ね4社に集約されていきました。

私たち日本M&Aセンターでは、こうした再編が進む業種を“再編業種”として、対応する専門チームを設けてM&A(企業の合併と買収)のお手伝いを特に注力しています。

コンビニよりも多い調剤薬局

今回事例でご紹介させていただきます調剤薬局は全国に約6万店舗ございますが、そのおおよそ70%は薬剤師が2人以下の1店舗の薬局と言われています。

2015年に厚生労働省から発表された「患者のための薬局ビジョン」によると全ての薬局が患者に対しきめ細やかなサービスを提供する「かかりつけ薬局」としての機能を持つこと目指しています。

それを実現させる為にICTの活用の推進や、材育成等の経営努力が必須となります。
処方箋に則った薬の提供をするだけの薬局に対し報酬を削減する波もあり、業界の再編圧力が強まっていると言えるでしょう。

そのような背景の中で、すでに地域を代表するような調剤薬局が、より成長していくためにM&Aを選択することが増えています。

今回ご紹介させていただく事例は、埼玉県上尾市を中心に21店舗まで拡大していた地域を代表する調剤薬局と、全国展開をしている大手調剤薬局による相互の成長を目的とした戦略的なM&Aドラマです。

【譲渡企業様】
・企業名⇒株式会社鈴木薬局
・業種⇒調剤薬局(21店舗)
・売上(M&A当時)⇒32億円
・オーナー様のご年齢⇒65歳(創業者)

創業30年で21店舗の地域名門企業へ

今回の譲渡オーナーである鈴木達也氏は、新婚旅行先のハワイで出会ったコンビニのように気軽に誰でも薬を手に取れる薬局に心を動かされ、1986年に埼玉県の上尾市で創業をしました。

そこから約30年で21店舗の拡大と5店舗のフィットネス事業・介護事業と展開を果たし、県内屈指のヘルスケアグループまで成長させます。

気づけば社員が引継ぎできない規模へ

我が子のように育ててきた鈴木薬局も順調に成長していく中で、鈴木様も65歳を迎えられました。

次のビジョンとして鈴木社長の頭には「次の10年で売上100億企業を目指そう」という考えが浮かびましたが、その為に後継者にどういった形で引き継ぐべきかを模索されるタイミングでもありました。

地域屈指の企業に育ってしまったがゆえに個人では到底引き受けることできない額の株価となっており、承継問題の解決の糸口を求め、日本М&Aセンターに連絡をくださったのです。

譲受企業様の概要とM&Aの検討理由

【譲受企業様】
・企業名⇒阪神調剤ホールディンググループ
・業種⇒調剤薬局(約500店舗)
・売上(2018年3月期)⇒914億円

看板も社員も経営陣も変えないМ&A

お相手として紹介をさせていただいたのは全国で調剤薬局を約500店舗展開する、阪神調剤ホールディングでした。「新規開局」と「M&A」の比率は1:10と拡大戦略の大半をM&Aが占める企業です。

ホールディングスの体制を重視し、譲り受けた会社の看板も経営陣も変えないままであることは珍しくありません。当時専務であられた岩崎氏はこうおっしゃっていました。

「自身で行う店舗の拡大に限界を感じている。また他の大手と同じような交渉基準では地域の名門企業からはお相手として選ばれない。だからホールディングスのメリットを活かし、親子関係ではない協調路線であるグループ化を提案している」。

理念が合致し金額交渉はゼロ

鈴木社長の決断はそこから早いものでした。売却することで鈴木薬局の更なる拡大を確信できたこと、次期社長と考えていた取締役をそのまま後継者候補とすることが叶うためです。

譲渡対価ではよりよい条件でのオファーがある中でも、会社・従業員のことを考え、理念や文化が合致する阪神調剤ホールディングと組むことは必然でした。

丁寧な説明を行い退職者もゼロ

М&Aを実行した当初は従業員の方や処方元の医療機関から多少なりとも驚きがあったようですが、鈴木社長から丁寧に理由を話すと全員が理解をしてくれました。

当然退職する従業員もおらず、全員が一丸となって新たなステージへ出発することができました。

本件M&Aで重要となったポイント

譲渡後一年間で15店舗の拡大に成功

鈴木社長は以降仕入れ交渉、資金繰り、薬剤師の確保で時間をかける必要がなくなり、店舗の出店戦略に集中するこができ一年間で15店舗もの拡大に成功します。

また予定通り後継者候補であった取締役を社長へ昇格させることができ、鈴木氏は会長に就任します。店舗拡大のペースは周囲にも知れ渡りM&Aの案件の持ち込みも増え、今までとは全く違う次元に会社を進めることができました。

「今までよりも仕事が楽しくなった」

現在鈴木氏は会長という立場ですが、日々の雑務からは解放され、新規開局の話など、好きな仕事に集中できるようになり、今ではのびのび生活をされています。

「譲渡して仕事が半分になった。正直、譲渡したら辞めようかとも思っていたことがあったが、今では仕事がより一層楽しくなった。後継者も経営に集中できているし、自身の株の承継の悩みも一気に解決した。今後さらにグループの発展、鈴木薬局の発展に貢献していきたいと思う」と鈴木氏は語ります。

譲渡は引退ではなく更なる成長

今回の事例では譲渡≠引退であり、譲渡=更なる成長というケースをご紹介させていただきました。

譲受による事業拡大をお考えの経営者の方は、株価交渉だけでない協調路線を目指すM&Aの選択肢も増やしていただければ幸いです。

青山学院大学経済学部卒業後、大和証券株式会社を経て、日本M&Aセンターに入社。 入社以来、調剤薬局業界の担当として地域問わず、中堅中小企業のM&Aに取り組む。 2020年3月度全社年間最多成約数を記録。

課長
調剤薬局業界支援室
沖田 大紀