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M&Aレポート

【調剤薬局業界M&A事例】地元に根差した薬局と社長の思いが受け継がれた地域内M&A

2019.8.26

  • 調剤薬局

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【譲渡企業様】
・企業名⇒有限会社川田薬局
・業種⇒調剤薬局
・売上(M&A当時)⇒1.2億円
・オーナー様のご年齢⇒90歳

【譲受企業様】
・企業名⇒株式会社メディカルパティオ
・業種⇒調剤薬局
・売上(M&A当時)⇒–
・オーナー様のご年齢⇒50代

慢性的な人材不足から歴史ある薬局が譲渡を検討

地域に愛されているショッピングセンターの薬局

埼玉県にある桶川駅を出たところにおけがわマインというショッピングセンターがあります。

川田薬局マイン店はこのショッピングモールの1階に位置しており、調剤薬局としては珍しく特定の処方元を持たず地域の方から幅広く処方箋を集めていました。特に夕方になると仕事帰りの患者が増え、薬局に処方箋を渡して買い物に行き、薬を受け取って帰るという利便性が好評で、地元の多くの方に利用されています。

また処方箋だけでなく、店頭に並んでいる栄養ドリンクや化粧品・OTC医薬品などの商品も、気軽にお客さまに買っていただけるような店舗で、創業当初から愛されてきました。

町のくすり屋さんとして60年以上前に創業

この川田薬局マイン店を運営する有限会社川田薬局の川田茂社長は、今年で90歳と高齢で、後継者問題について常に頭を悩ませていました。川田社長は薬科大卒業後病院薬剤師を経て、1958年に有限会社川田薬局を創業。町のおくすり屋さんとして一般薬(OTC医薬品)を中心に販売していました。

その後1988年におけがわマインが開業する際、同ショッピングセンター唯一の薬局として川田薬局マイン店を開局し、処方箋調剤業務も開始しました。

「患者さんと従業員を第一に考え 、地域医療に貢献する」を経営理念に、創業から60年以上地元の医療を支えてきました。 

90歳になる社長の悩み

ショッピングセンターの一階で出入口すぐという立地条件は良かったものの、一つだけ大きな問題がありました。ショッピングセンター営業日です。原則365日営業することが出店の条件となっており、毎日朝10時から夜の8時まで店を開けなければならなかったのです。

社長のご子息も薬剤師であり、管理薬剤師として薬局に勤務していました。

しかし薬剤師不足が叫ばれているなか、薬剤師を多数確保するのは難しく、ご子息が無理を押して働いているのが現状でした。

採用は年々厳しくなり、息子さんの負担が重くなっていることを感じていた社長は、ほかの薬局と提携することを考えるようになり、日本M&Aセンターに相談しました。

信頼できるお相手を探してほしい

365日営業と慢性的な薬剤師不足から、川田社長はマイン店の事業を他の企業に譲渡することを検討し始めました。これまでの薬局としての歴史や従業員を信頼できる企業に託したいということで、日本M&Aセンターでマッチングを開始しました。

マッチングしていくなかで、同じ埼玉県に拠点を置くメディカルパティオという会社が手を上げました。

埼玉県で8店舗ドミナント展開しているメディカルパティオは、同じ埼玉県にあり好立地で多くの患者さんから処方箋を集めている川田薬局の譲受けを希望されました。

またメディカルパティオの社長の苗字も同じ”川田”であり、偶然にも同じ名前の薬局であったことも検討のきっかけとなったようです。

地域に根差した薬局を譲り受けたい

同じエリアでドミナント展開していきたい

川田薬局マイン店の譲受を検討していたメディカルパティオは、埼玉の深谷を拠点とし、埼玉でドミナント展開していました。

メディカルパティオの川田社長はドクターとのつながりから出店を続けていたものの、会社の成長のためにも新規で数店舗増やしていきドミナントを強化したいと希望されていました。

報酬改定や薬価改定等で今後厳しい経営環境が予測される調剤薬局業界で生き残るために、成長戦略の一環としてM&Aを活用することを検討しておられ、日本M&Aセンターと譲受希望条件を定期的に打ち合わせしていました。

そんな中でエリア・規模・処方内容等、川田薬局はメディカルパティオの希望条件に合致していました。

お互いの思いを確認しあったトップ面談

メディカルパティオからの条件を聞いた川田薬局の川田社長は、ぜひ一度メディカルパティオの川田社長と会ってみて、マイン店の譲受への思いを確認したいとの意向があり、トップ面談が開催されました。

両社の社長が初めて顔を合わせることとなったトップ面談は、両社長が同じ名前であったこともあり和やかな雰囲気で進んで行きました。両社長の年齢差は40歳ほどと、親子ほどの年齢差がありました。

譲受企業のメディカルパティオの川田社長は川田薬局の歴史、川田社長へのリスペクトと、薬局を一緒に成長させたいという熱い思いを伝えました。

川田薬局の川田社長も、若い社長と会社の勢いに感銘を受け「この会社なら私の薬局を託せる」と確信を持ったそうで、メディカルパティオにマイン店を引き継いでもらうこととなりました。

思いを引き継ぎさらに地域に愛される薬局へ

両社の社長の思いを確認しあったトップ面談の後、基本合意・買収監査・最終契約と適切なM&Aのプロセスを経て、川田薬局マイン店はメディカルパティオに譲渡されました。

メディカルパティオは長年地域の患者さんを支えてきた歴史、これまでの川田社長の思いを引き継ぎたいということで、薬局の名前は変更せずに譲り受けることとなりました。

また本件は会社の株式ではなく薬局の店舗のみの事業譲渡であったため有限会社川田薬局という会社は残り続けています。川田社長としても会社も残り、薬局の名前も変わっていないということで自分の思いが新しい時代に引き継がれたということで大変満足されました。

マイン店を譲り受けたメディカルパティオも、今後厳しくなる薬局業界で生き残っていくため、今までのレガシーを継承しつつ、さらに地域の患者に愛されるような薬局にしていきたいとの思いで経営をスタートしています。

青山学院大学経済学部卒業後、大和証券株式会社を経て、日本M&Aセンターに入社。 入社以来、調剤薬局業界の担当として地域問わず、中堅中小企業のM&Aに取り組む。 2020年3月度全社年間最多成約数を記録。

ディールマネージャー
調剤薬局業界支援室
沖田 大紀