MENU
CLOSE

M&Aレポート

IT業界大手・NTTデータのM&A

2019.8.19

  • IT

Facebook Tiwter LINE

設立~2000年代までのM&A

1988年に日本電信電話のデータ事業本部が分社化してNTTデータ通信として発足

NTTデータは、NTTデータ通信が1998年に社名変更されて誕生しますが、元々は日本電信電話のデータ事業本部を母体として1988年に設立されました。

設立当時の売上高は2,288億円、従業員数6,412名でその歩みをスタートさせています。設立当時から国内最大手のSIerとしてM&Aを積極的に活用し、業界を牽引し続ける存在となっています。

大手企業システム部門が相次いで子会社化

経営資源の集中が叫ばれた1980年代、システム部門が相次いで子会社化されたことで、情報システム子会社が誕生します。

システム子会社とは、親会社で使われるシステムの開発を請け負う子会社のことを指しています。これらのシステム子会社はコストセンターとしての機能を求められましたが、2000年代には、ITアウトソーシングなど外部リソースを積極的に活用する機運が高まっていきます。

その流れの中で、ノウハウを持った情報システム子会社が大手SIerにより買収される事例が散見されるようになりました。NTTデータもその流れの中で多くのM&Aを実施することとなります。

国内システム子会社をM&A

上記、システム子会社のM&A事例のうち代表的なものを表にしました(下表はNTTデータのシステム子会社のM&Aの一例であり、システム子会社以外のM&Aも当然、多数行っています)。

様々な業界のシステム子会社をM&Aすることによりノウハウを獲得し、一方では親会社と協業して親会社にも貢献している点が特徴であると言えます。

2000年代後半から海外M&Aを加速

2005年、Revere(アメリカ)の買収から本格的なグローバル競争力の強化に取り組む

数多くの国内M&Aを行ってきたNTTデータは2005年、Revere(アメリカ)の買収から本格的なグローバル競争力の強化に関する取り組みを開始しました。

その後Cirquent(ドイツ)、itelligence(ドイツ)、Keane(アメリカ)、Value Team(イタリア)、everis(スペイン)を加え、現在のAmericas(米州)、EMEA(欧州・中東・アフリカ)、China(中国)、APAC(アジア・太平洋地域)に日本を加えた全世界5拠点のグローバル体制へと発展してきており、2009年には「Global 100 最も持続可能な世界の100社」に選出されています。

海外事業の売上が全体の半分近くを占めるまでに

過去12年間で50社以上の海外企業を買収し、投資した金額はおよそ6,000億円であると言われています。2006年3月期に95億円だった海外売上高は、18年3月期に9,080億円に達する見通しであり、今期の売上高が2兆円を突破する見通しであるため、その半分近くを海外で稼ぐことになります。

M&Aを積極的に活用し、見事にグローバルで戦えるIT企業へと進化を遂げています。

海外事業への投資拡大の根拠

NTTデータはなぜ、海外への投資を拡大させているのでしょうか。その理由は数多くあると思いますが、下記の岩本社長のインタビュー(日経ビジネス)から読み解けると思います。
――――――――――――――――――――――――
今期の売上高が2兆円を超えるのは、ほぼ確実だ。だが当社の目標からすれば、それはほんの通過点でしかない。グローバル市場で「ティア1(1次取引先)」レベルのIT(情報技術)企業だと認知されるには、存在感がまだ不足している。

ゼロから工場を建設できる製造業とは異なり、IT企業が海外展開する手法はM&A(合併・買収)にほぼ限られる。その際に重要になるのが、買収する企業の「カルチャー」だ。

我々が提供するのは企業向けのIT「サービス」だ。顧客としっかり向き合ってシステムを開発し、アフターフォローを続けるには、同じ言語を話し、文化を深く理解できる人材が不可欠だ。

そのためには、細かいオペレーションは現地に委ねる必要がある。買収前に経営陣とじっくり面談し価値観などを確認できたなら、あとは信じて任せた方がいい。日本から経営陣を送り込んでいない理由はここにある。もちろん、業績やコンプライアンスなどはしっかり管理する。

以前はフリー・キャッシュ・フローで賄える範囲の買収にとどめていたが、米デルのITサービス部門買収では、その殻を破った。NTTデータの格付けはダブルAで、NTTという親会社も控えている。そのため資金調達には問題がない。ようやく3000億円規模の買収をできる実力が付いてきたと考えている。

今後も買収の手を緩めるつもりはない。顧客が認知するIT企業は、各国で10社程度。トップ10入りするには、それぞれの市場で2%のシェアを獲得するのが目標になる。日本や一部の欧州諸国ではその地位に到達しているが、米国などで認知度を高めるには、さらなる成長が必要だ。

海外展開は国内事業の成長にも寄与する。これまでは主に中国をオフショア拠点として活用してきたが、人件費の高騰が顕著になってきた。プログラミングの自動化などを通じて省力化を図ると同時に、インドや南米諸国で新たな人材を確保する必要がある。日本ではIT人材不足が深刻で、要員を確保しない限り新しい事業に挑戦できない。

売り上げや人員で海外の比重が高まる中で、今の経営体制を続けていけるかは疑問だ。買収を進めてきた一方で、本当の意味での「ワンNTTデータ」化はまだできていない。欧州や米国を代表する幹部が経営陣に入るなど、変革が必要だろう。これまでとは違う意思決定メカニズムを構築できるかが、さらなるグローバル化のカギになる。(談)

日経ビジネス2018年2月15日「NTTデータ、問われる海外1兆円の“真価”」より引用

国内のマーケットだけでなく海外にも進出することで成長の余地は拡大します。現地のオペレーションは現地に任せ、一部をオフショアの拠点として活用することで国内の人材不足による問題を解消することは、国内事業の成長加速にも寄与します。

海外での認知度を上げて国内だけでなく海外でもTier1として活躍するIT企業への進化、高い視座を持っているからこそ海外事業へのM&A投資を拡大しているのであり、今後、同社のように海外進出を図るIT企業は増加していくと考えます。

外資系金融機関を経て日本M&Aセンターに入社。業界再編部の立ち上げのメンバーであり、現在はIT業界の責任者として、中小零細企業から、上場企業まで数多くの友好的なM&A、事業承継を実現している。これまで主担当として50件以上を成約に導いており、国内有数のM&Aプレイヤーの1人である。東芝情報システムとデンソーとの資本提携等を手掛ける。

副部長
IT業界支援室 室長
瀬谷 祐介