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M&Aレポート

外食業界M&Aの歴史と今後の展望―業界大手ゼンショーHDとコロワイドの事例から―

2019.7.9

  • 食品

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飲食業界のM&Aの歴史

飲食業界のM&Aは、公表ベースで2016年は17件、2017年は32件、2018年は46件と、毎年増加傾向にあります。 また、昨年10月にはゼンショーHDが米国やカナダ、オーストラリアでテイクアウト寿司店を展開するAFCを、12月には丸亀製麺を展開するトリドールHDが、シンガポールでカレーチェーンを展開するMCグループの株式を取得するなど、大手外食企業による海外企業のM&Aも増えています。

それでは、改めて飲食業界のM&Aの歴史を振返ってみましょう。 飲食業界のM&Aの歴史は、業界最大手の巨人であるゼンショーHD及びNo.2のコロワイドのM&Aの歴史と同義といえるでしょう。

【ゼンショーHDの実施した主なM&A】

【コロワイドの実施した主なM&A】

このように見ていくと、外食業界のM&Aの歴史は非常に浅く、2000年代に入ってからゼンショーHDとコロワイドを中心に買収劇が加速したと言えます。また、M&Aを積極的に活用した2社が現在の外食業界売上1位、2位の地位を確固たるものとしている事実は、M&Aが外食企業の成長に必要不可欠であることを、如実に表していると言えます。

現在の外食業界における再編のステージ

上述した、外食産業の巨人2社以外にも、海外でも積極的なM&A戦略を展開しているトリドールHDや、国内・国外合わせて約80店舗のラーメン店を運営するウィズリンクHDを2019年5月に完全子会社化した吉野家HD、子会社のSFPHD(2019年2月に東証1部に市場変更)が熊本で「前川水軍」などの居酒屋チェーンを展開するジョースマイルを2019年3月に子会社化するなど、グループを挙げてM&Aに取り組むクリエイト・レストランツHD、インバウンド需要の旺盛な沖縄でステーキチェーン「サムズ」を展開するグレートイースタンを2019年3月に買収した関西の雄フジオフードシステムなど、外食業界のM&Aは、いままさに群雄割拠の時代を迎えようとしています。

一方で、年商1,000億円を超える国内の外食企業11社合計の売上シェアが、外食市場25兆円の占める割合は僅か10%弱であり、他業界に比べると非常に業界再編が遅れているマーケットと言えます。

それらの事実から総合的に判断すると、当面は年商5億円から30億円規模の外食企業が年商200億円以上の飲食企業のグループに入るM&Aが3年から6年ほど続き、外食業界のM&Aの件数も、この期間にピークを迎えることになるでしょう(飲食業界の業界再編 ステージ1)

また、これによって外食企業上位10社のマーケットシェアがようやく30%程度に到達します。 その後、2025年以降は、年商1桁億の企業を大手が取得するという事例は大きく減少し、年商30億円から100億円クラスの中堅外食企業が、年商300億円以上の上場クラスの外食企業グループに次々と参画していくことが想定されます(飲食業界の業界再編ステージ2)。

これにより、外食上場企業グループのマーケットシェアは50%を超えるようになり、M&Aの件数自体は少なくなるも、1件当たりのディールサイズは膨れ上がって行きます。

2035年以降は、ここまでM&Aを活用して企業規模を拡大して来た企業同士の資本提携が頻繁に起こる自体が想定されます。これによって、最終的には上位4から5社ほどのグループに飲食業界は淘汰され、それらのマーケットシェアが80%に到達して行きます(飲食業界の業界再編ステージ3)

その頃になると、殆どのチェーンの系列化が完了しているため、どこかの大手グループに帰属するチェーン店、又は拘りの味と食材を追及した個人店舗のみが存在する、そのような時代が到来することとなるでしょう。

青山学院大学法学部卒業後、埼玉りそな銀行にて法人営業を経て2015年に日本M&Aセンターに入社。食品業界を専門として製造業、小売業、外食業などのM&Aに取り組む。17年は丸亀製麺を展開するトリドールHDと「晩杯屋」のアクティブソース、「ラー麺ずんどう屋」を展開するZUNDのM&Aを手掛けた。

課長
食品業界支援室 室長
江藤 恭輔