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M&Aレポート

かかりつけ薬局化と淘汰される薬局

2015.9.7

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加速する“かかりつけ薬局化”

調剤薬局業界において、“かかりつけ薬局化”の動きが速まっている。2015年5月に開催された経済諮問会議において「全ての薬局をかかりつけ薬局にする」と塩崎厚生労働大臣が発言して以来、日本薬剤師会の山本会長の「われわれとしては歓迎している」との呼応(6月4日記者会見にて)、そして6月末の骨太の方針での提言。これで行政の“かかりつけ薬局化”への後押しがいよいよ加速してきた。具体的には、(1)患者情報の一元管理(2)24時間対応・在宅対応(3)医療機関との連携(厚生労働省)、(4)地域における医薬品の供給地点としての機能(5)医薬品の一元的・継続的管理が可能な体制(日本薬剤師会)、が求められている。

薄れる門前薬局の優位性

従来の薬局は、「薬局が病院の近くにあるから」という理由から患者に選ばれてきた。(下図参照)実際、数多くのM&Aをお手伝いさせていただく中で、そのような好立地の門前薬局を紹介してほしいという声を多く聞く。

しかしながら、“かかりつけ薬局化”が進むと、24時間対応してもらえる、もしくはビックデータを使って的確なアドバイスをくれる、など立地の良さ以外の利点も考慮されるようになる。すなわち、病院の近くにあることだけでは、優位性は相対的に低くなっていく。

大手調剤薬局の取り組み

こうした動きを見据え、調剤薬局大手はそれぞれの取り組みを始めている。(以下表を参照)

この他にも、ナカジマ薬局(北海道札幌市)は“テレフォンサポート”で患者の服薬状況を確認するサービスを提供していたり、千里プラス薬局(大阪府吹田市)では高齢者ら地域住民が集まる交流ルーム“ピアプラス”を作ったりなど、それぞれ独自の取り組みが行われている。

薬局の淘汰と生き残り戦略

“かかりつけ薬局”が推進される中、各調剤薬局は独自の取り組みで差別化を進めている。一方で、差別化できない薬局は、大手薬局の急拡大や隣接業種や異業種からの参入という競争の波にのまれ淘汰されていくだろう。さらに今後、マイナンバー制の導入や処方箋の電子化といったICT化への対応や、医療費削減政策による報酬改定など、業界再編の契機が次々とやってくる。再編が進む中で、大手と手を組むという判断(M&Aで譲渡する)も中小薬局にとっては重要な戦略になってきている。

青山学院大学経済学部卒業後、大和証券株式会社を経て、日本M&Aセンターに入社。 入社以来、調剤薬局業界の担当として地域問わず、中堅中小企業のM&Aに取り組む。 2020年3月度全社年間最多成約数を記録。

課長
調剤薬局業界支援室
沖田 大紀