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M&Aレポート

「多重下請け構造」是正に向け 今後もM&Aによる再編は不可避

2015.9.15

  • IT

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「多重下請け構造」是正に向け 今後もM&Aによる再編は不可避

ユーザー企業が自社のシステム構築をする場合、元請け企業に発注するが、元請けは企業は、開発するシステムの規模や技術レベルの違いなどに応じて、下請け企業に再発注する。いわば建設業界と同様に、ITソフトウェア業界においても、元請企業を頂点に、二次請け、三次請けといったピラミッド構造を形成している(図4)。これが「多重下請け構造」だ。

元請け企業と二次請け企業、三次請け企業のそれぞれの階層間で、契約上立場の弱い下請け企業の利幅が圧縮され、その結果大きな給与格差が生じる構図になっている。さらに多重下請け構造の弊害として、情報リスク管理の不徹底・偽装請負の問題や、階層下位企業では人月単位で売上が決まるため高付加価値の提案がしにくい、下請けの技術者が付加価値の低い領域に固定されてしまう、といったことがあげられる。

こうした多重下請け構造を是正すべく、国は法律・指針の整備を進めており、外注を利用した取引は適正化される流れになっている。結果、二次請け以下の企業において、単独で付加価値を生み出せない企業は、今のうちに将来を展望できる他社と戦略的な提携を検討すべきと考える。ここでは詳細な説明は省くが、本年予定されている派遣法の改正もこの再編の流れに拍車をかけることになりそうだ。

ITソフトウェア業界の更なる発展のためには異業種との提携などビジネスモデル変革の必要性

これまでユーザー企業のIT投資は、業務の効率化やコスト削減を目的としたが、今後はビジネスモデルを変革し、新たな価値創造や競争力の強化を成し遂げ、稼ぐ基盤をつくることを目的とする投資へとシフトしていくことになる。その中にあってITソフトウェア企業は、ユーザー企業とこれまで以上に深い繋がりを持ち、戦略的パートナーとして全く新しい事業を創出するという意識と覚悟が必要である。既存ビジネスの延長線上のアプローチではなく、異業種も含めた様々な企業間連携、積極的なM&Aによる外部リソースの取り込みといったダイナミックかつスピーディーな企業活動が必要となる。それが結果的に業界の更なる発展に繋がっていくと考える。

公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、日本M&Aセンターに入社。IT業界専門のM&Aチームの立上げメンバーとして5年間で1000社以上のIT企業の経営者と接触し、IT業界のM&A業務に注力している。18年は京セラコミュニケーションシステム㈱とAIベンチャーの㈱RistのM&A、21年には(株)SHIFTと(株)VISHのM&A等を手掛ける。

上席課長
IT業界支援室室長
竹葉 聖