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M&Aレポート

地域包括ケア時代における地域医療の担い手は、中堅か、大手か。(2)

2016.8.16

  • 調剤薬局

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中央集権型の大手は地方に対応できないのか

大手薬局が地域医療に貢献できない主な理由は、「現場から離れているので、地域ごとに対応できない」からと言われることがある。しかし大手調剤薬局には必ず各地方ごとに支部があり、その下にエリアマネージャーがいる。このエリアマネージャーが実質的に現場を管理しているため、地域ごとの個別対応が可能になる。また、初出の共栄堂の場合、クオールと提携したからもう新潟・山形地域へ密着型の医療を提供できなくなったかといえば、そんなことはない。そのままの状態で薬局は続き、むしろ新潟、山形地方のクオール薬局と連携することで残薬交換(デッドストックエクスチェンジ)や、薬剤師の補充など、さらに柔軟に対応できるようになる。

さらに、今後共栄堂をかかりつけ薬局にしている地域住民は、「クオールカード」を持って、全国どこのクオールでも初診手続き要らずで処方を受けることができ、クオールアプリで、「薬の飲み忘れ防止」「健康管理」「電子お薬手帳」など多くのサービスを受けられるようになる。

利益重視の大手は、利益の出ない地方の薬局をつぶすのか?

たとえば、メディカルシステムネットワークは、お馴染みのお客さんが高くなるという制度はおかしいと考え、かかりつけ薬剤師指導料を算定できる状態でも、今年は算定しない方針だ。これは、患者にとって、より良いサービスを受けているのに価格が高くならないという、今までの調剤薬局業界の常識からは考えられないことを可能にしている。しかしこれは、彼らが大手であり、利益を出しているから成し得ることだ。

今後、調剤報酬改定で薬価は下がり、地方だけで経営している薬局は在宅、研修、IT、採用など次世代への取り組みの投資がしづらい上に、過疎化が進めば、地域密着の薬局がそのマーケットだけで稼いでいくのは難しくなるだろう。

しかし、地方にも薬局を必要とする住民はいる。そこに医療を届けるためには、メディシス社のように「都心で稼ぎ、地方で耐える」という「理念」があり、そして「利益」が出ているという大前提がある。やはりスケールメリットは大きく、大手と提携したことで、仕入れ値が下がり、加算もとれるようになる薬局は多い。 (第3回へ続く)

青山学院大学経済学部卒業後、大和証券株式会社を経て、日本M&Aセンターに入社。 入社以来、調剤薬局業界の担当として地域問わず、中堅中小企業のM&Aに取り組む。 2020年3月度全社年間最多成約数を記録。

課長
調剤薬局業界支援室
沖田 大紀