MENU
CLOSE

M&Aレポート

地域包括ケア時代における地域医療の担い手は、中堅か、大手か。(3)

2016.8.18

  • 調剤薬局

Facebook Tiwter LINE

地域住民のために中堅薬局が孤立無援で戦うべきなのか



地域住民のきめ細かいサービスのために、地元の薬局が単独で残っていかなければならない。これは、「地域薬局」を掲げる中堅薬局経営者が口にする言葉だ。ただ、譲渡した地方の薬局オーナーのこんな言葉がある。「今振り返ってみて、大手と提携すると薬剤師が辞めてしまう、患者さんが来なくなってしまう、というのは、自分が必要とされていると感じたいがゆえの幻想だった」。

たとえば、食品スーパー業界で考えてみてほしい。20年ほど前に多くあった、地域で複数店舗行っている「地域密着スーパー」に行くと、品ぞろえは少なく、価格も高い。しかしイオンなどの総合スーパーに行くと、同じ食材がより安く手に入る。またポイントカードの他社連携や、家電、洋服、ドラッグ、マッサージやデイサービスまで、その他の商品やサービスも充実させ、もはやアミューズメント要素まで備えている。その結果、住民は総合スーパーを選び、今や「地域密着スーパー」はほとんど見かけなくなった。誰でも品ぞろえがよく、買い物が楽にできる店を選ぶ。地域住民の立場で考えたとき、どういう調剤薬局のあり方がベストなのか。

かかりつけ薬局のあり方とは



調剤薬局の大手と中堅における価格面の差は今のところ(メディシス社のような例を除けば)ないが、日本調剤は注射針の回収や、学校薬剤師、メディカルシステムネットワークは医療情報誌「なたね」の発行、アインホールディングスはドラッグ業態であるアインズトルペで健康、美容へのアプローチをしており、それらすべてが次世代の薬局の機能を見据え、IT投資をしている。

地域住民の医療、健康知識のレベルはその地域にある薬局のレベルに同じといわれる。大手の薬局をかかりつけ薬局とする住民は、しっかりした研修を受けているかかりつけ薬剤師に健康面に関する相談ができ、ITの活用で最先端のサービスを受けることができる。

24時間対応薬局や在宅対応薬剤師により、高齢者は安心して生活できる。だが、地域に設備投資の遅れた薬局しかなく、それらをかかりつけに選ばざるをえない住民は、適切なケアを受けられず医療格差が生まれる。理想とする地域住民へのきめ細かいサービスの提供とは、かけ離れてしまうのだ。 (第4回最終回へ続く)

青山学院大学経済学部卒業後、大和証券株式会社を経て、日本M&Aセンターに入社。 入社以来、調剤薬局業界の担当として地域問わず、中堅中小企業のM&Aに取り組む。 2020年3月度全社年間最多成約数を記録。

課長
調剤薬局業界支援室
沖田 大紀