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M&Aレポート

M&Aのベストタイミングを逃さないためには?~事例:株式会社高階誠心堂(3)

2019.2.6

  • 調剤薬局

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毎月の試算表の数字が右肩上がりに良くなっている

オーナーであること、親族で資本を所有することにこだわる経営者の方もいらっしゃいます。

しかし、もはや今はそうした時代ではありません。資本と経営を別に考え、将来を見据えて戦略的に、優秀な“経営のプロ”と手を組む。そうした経営判断が大切です。

高階さんの会社は店舗もそのまま、店名も変わらず、社員も全員そのままの待遇で雇用が維持されました。1年半以上が経ちましたが退職する社員は1人もおらず、社員全員から「社長、今までと何も変わっていないけど、本当にM&Aしたのですか?」などと言われるそうです。

現在は毎月1回、芦屋にある阪神調剤薬局の本社で“社長会”が開かれ、高階さんも出席しているとのこと。これは、高階さんのように会社を売却した後、子会社の社長として経営を続けている数名の社長たちとホールディングの取締役とで行う報告会をかねた会議だそうです。

社長会では今後の将来に向けたビジョンに沿った話し合いが行われるそうで、高階さんにとってはワクワクし胸が躍る時間だといいます。「田舎町の経営者1人では到底見ることのできない未来への展望が詰まっているから」と高階さんは言います。

M&Aによって会社を売却した最大のメリットについて高階さんは言います。「毎月の試算表の数字が右肩上がりに良くなっていることです。うれしいのはもちろんですが、数字に追いかけられなくなって気が楽になったのが正直なところです」。

売り手と買い手の双方がシナジー効果によって発展していく

M&Aを経験したことのない経営者は、売り手と買い手の間に利益相反があると思っているかもしれません。しかし、それは大きな間違いです。

M&Aは、両社の相乗効果を高めるものです。でなければ、わざわざ親子会社になる意味などありません。実際、高階さんは本社からの後押しもあって、4店目を新規開局しています。「M&Aをせずに自身で経営を続けていたらリスクを恐れて、もしかしたら新規開局の決断はできなかったかもしれない」と高階さんは言います。

売り手と買い手の双方がシナジー効果によって発展していく、それが業界再編時代のM&Aなのです。

もうひとつ、高階さんが手にしたものがあります。それは「安心感」です。もちろん、まだまだ社長として5店目、6店目の開局も狙っているそうですが、会社と社員が安泰で、「これでいつでも引退できる」という安心感を手に入れたことは大きな収穫だったようです。

余談ですが、阪神調剤薬局の岩崎専務が雑誌のインタビューで、「グループ会社の社長さんたちは、当社の大切なお客様だ。阪神調剤薬局を選んで、会社を任せていただいたのだから、この期待を阪神調剤は絶対に裏切ってはいけない!」と語っていたそうです。

高階さんをはじめ、阪神調剤グループで働く元オーナー経営者たちにとっては、本当にうれしい一言だったそうです。

青山学院大学経済学部卒業後、大和証券株式会社を経て、日本M&Aセンターに入社。 入社以来、調剤薬局業界の担当として地域問わず、中堅中小企業のM&Aに取り組む。 2020年3月度全社年間最多成約数を記録。

課長
調剤薬局業界支援室
沖田 大紀