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M&Aレポート

譲渡企業は都市部が多い。受託開発企業については再編が進む ―2016年ITソフトウェア業界のM&A総括(3)―

2017.3.16

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譲渡企業は依然として都市部が多いが、今後は地方も増加か

譲渡企業の所在地を都道府県毎にみると、最も多いのは東京都で363社、次いで海外で127件、次いで大阪府で17件である。全体の85%以上が東京都と海外の企業に集中していることが分かる。更に日本国内のみで集計すると、東京が86.2%、大阪が3.9%、神奈川が2.7%となっており、首都圏一極集中はより顕著となっている。

ただ、この数字は公表ベースのものであり、地方企業のM&Aは公表されないことも多い。実際に当社が手掛ける案件を見ると、後継者問題から譲渡をする地方のIT企業は増えており、この傾向は続くと見ている。

受託開発企業の再編・淘汰は進む

オラクルやSAPなどの大手が中心となり、クラウド化の流れが着々と進む中、システムは「所有」するものから「共有・利用」するものへ変化しており、事業のコアとはならないシステムを新たに自前で開発する需要は今後減るものと予想される。

また、AIやIOT等の技術革新が進んだことにより、ユーザーはIT投資を効率化やコスト削減等のダウンサイジングを目的に行うのではなく、コアビジネスそのものの売上・利益増を目的に、事業戦略の一環の中でIT投資を考えるようになっている。そうした技術は内製化されるものと思われるが、システム会社に求められるのは、最新技術の理解は勿論、顧客のビジネス、経営を理解し、戦略提案できる能力である。

こうした環境変化により、特別なサービスや、製品、特徴、強みを持てない、従来型の受託開発企業は、単独での成長が難しくなるため、景気の良い1~2年内に、戦略的に成長性を見込める企業グループへ入る動きが加速し、再編が進むと考える。

また派遣法が改正されたことにより、小規模の技術者派遣企業の事業継続が困難になっていることも、再編が加速する要因となるだろう。

公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、日本M&Aセンターに入社。IT業界専門のM&Aチームの立上げメンバーとして5年間で1000社以上のIT企業の経営者と接触し、IT業界のM&A業務に注力している。18年は京セラコミュニケーションシステム㈱とAIベンチャーの㈱RistのM&A、21年には(株)SHIFTと(株)VISHのM&A等を手掛ける。

課長
ベンチャー企業サポート室 マネージャー
竹葉 聖