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M&Aレポート

ファンド・VCの投資意欲は依然旺盛 ―2016年ITソフトウェア業界のM&A総括(4)―

2017.3.21

  • IT

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目次

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ファンド・VCの投資意欲は依然旺盛

次に、ITソフトウェア企業を、どのような業種が譲受(買収)を行っているかを見ていく。最も多いのは、同業のITソフトウェア業種であり、219件(35.2%)であるが、次に多いのが、ファンド・VCで180件(28.9%)、次いでサービス業の69件(11.1%)と続く。

最も増加率が高かったのはファンド・VCであり、昨年対比+34件(23.3%増)であった。

ITソフトウェア業同士のM&Aが多いのは当然の結果と言えるが、2013年以降はファンド・VCの投資意欲が急増しており、昨年は特にその傾向がみられた。

2013年以降新規のファンド組成額は、2013年約2,000億円、2014年約1,000億円、2015年約2,000億円であり、昨年2016年は約3000億円程と見込まれている(出所:一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 ベンチャーキャピタル最新動向レポート)。

そうした中、事業会社系列のベンチャーキャピタルのディールも目立つ。VOYAGE VENTURES(VOYAGE GROUPのVC)が4社、NTTドコモ・ベンチャーズが4社、合同会社RSPファンド6号(リクルートのVC)が4社、電通イージス・ネットワークが3社となっている。

何れの企業も母体となる事業会社において、M&Aは積極的に行っているが、VCを組成し、ネットワークを広げ、成長のための企業提携先を模索しているのが伺える。

事業会社では、2016年度最もITソフトウェア企業を譲り受けたのは楽天であり、7社のディールを成約させている。内訳は海外が3社、国内が4社であり、EC事業者支援サービス、ソーシャルラーニング、フリマアプリ開発の会社など、自社サービスと相乗効果を見込める事業領域や、周辺領域のサービスを提供する会社を譲受けている。

次いで多いのが光通信であり、国内で6社のディールを成功させている。また譲受けと同時に、譲渡も行っており、2016年も子会社のヘルスケアに関する予約サイトを運営するエンパワープレミアム社や、調剤薬局のポータルサイトを運営するEPARKヘルスケアを譲渡するなどした。事業シナジーと同時に純投資としてのM&Aが多いのも同社の特徴である。

公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、日本M&Aセンターに入社。IT業界専門のM&Aチームの立上げメンバーとして5年間で1000社以上のIT企業の経営者と接触し、IT業界のM&A業務に注力している。18年は京セラコミュニケーションシステム㈱とAIベンチャーの㈱RistのM&A、21年には(株)SHIFTと(株)VISHのM&A等を手掛ける。

上席課長
IT業界支援室 室長
早稲田大学商学部 招聘講師
竹葉 聖