M&Aレポート
IoT関連のM&A事例 ―2016年ITソフトウェア業界のM&A総括(6)―
2017.3.30
- IT

前回に引き続き事例を紹介。
目次
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IoT関連のM&A
シャープビジネスコンピュータソフトウェア(以下SBC)はシャープの孫会社で、スマートフォンやデジタル複合機向けの組み込みソフトウェア開発を行う企業である。一方エヌ・ティ・ティ・データ(以下NTTデータ)はNTT系列の日本最大手のSIer(プライムベンダー)である。 本案件のポイントは日本最大手のSIerであるNTTデータがIOTへの布石として国内の組込系開発企業を譲受けた点である。NTTデータは元々M&Aに積極的であるが、近年はその大半が海外企業の買収であり、一部資本出資を除いたM&Aは約3年半ぶりである。また、これまでは上流工程を担うITコンサル企業やシステム開発企業の譲受けが中心であったが、今回初めてIOT関連企業をM&Aによって譲り受けた。
NTTデータはこのM&Aによって、自動車におけるインフォテインメント領域やスマートファクトリー等のIoT領域における事業のさらなる拡大を目指している。また、発表したプレスリリースの中で、IOTマーケットの拡大に伴いグループ全体で2018年度には組込ソフトウエア技術者2,000人体制を構築すると明確に謳っていることも見逃せない。 今後もNTTデータは、国内の組込系開発等のIOT関連企業とのM&Aを積極的に検討して行くだろう。
外資系金融機関を経て日本M&Aセンターに入社。業界再編部の立ち上げのメンバーであり、現在はIT業界の責任者として、中小零細企業から、上場企業まで数多くの友好的なM&A、事業承継を実現している。これまで主担当として50件以上を成約に導いており、国内有数のM&Aプレイヤーの1人である。東芝情報システムとデンソーとの資本提携等を手掛ける。
IT業界支援室 室長