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M&Aレポート

「社長が引退すると社員も辞めてしまう?」 M&A後の社員の反応

2018.8.15

  • M&A全般

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「社長が引退すると社員も辞めてしまう?」 M&A後の社員の反応

売り手企業の経営者は、「M&A後、私が辞めると後追いで辞める社員が出るのでは…」と心配する方が多くいらっしゃいます。その考えはごもっともです。
しかし、結論から申し上げると杞憂に終わることが大半で、じつは離職率は下がる傾向があります。中小企業の経営者は技術や営業、経営などあらゆる面で優れたカリスマ的存在であり、魅力的な人格者が多いので、「社長のために働いている」という社員もたしかに多いことでしょう。一方で、だからこそ社員は、「もし社長がいなくなったらこの会社はどうなってしまうのだろう」と本気で心配していたりします。
ですから、M&Aによって会社が存続することが決まれば、社員にとっては会社の未来がはっきり見え安心することになるのです。

実際に、社員が受ける恩恵はたくさんあります。例えば社員数10人~100人ほどの未上場の企業が大手企業に買収されると、福利厚生や会社の制度などが大手企業に合わせて改善され、労働環境がよくなったりします。

M&Aにより、オーナー一族の給与等の経費負担が軽くなる場合もあります。とあるドラッグストアの場合、大手企業と一緒になったことで大量仕入れができるようになり、20%のコストダウンが実現できたという話もありました。これらのような経費削減により、社員の待遇は良くなる可能性もあるのです。

メリットは人事面にも及びます。経営陣刷新により、社員が多数昇格した企業がありましたし、売り手企業の経営企画担当者が、買い手企業の本社がある東京に異動して活躍しているという話も聞きました。売り手企業と買い手企業の経営統合の過程で社員同士の交流が生まれたり、売り手企業の社員が大手企業の研修制度を利用できるようになったりもしますから、スキル・キャリアアップを望む社員にとっては、M&Aは活躍の場が拡がるきっかけになるでしょう。

いまやM&Aはネガティブな施策ではなく、成長のためのひとつの選択肢、企業価値を高めるための手段です。社員の将来を考えてどうするのがベストなのか、じっくり考えてみてはいかがでしょうか。

公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、日本M&Aセンターに入社。IT業界専門のM&Aチームの立上げメンバーとして5年間で1000社以上のIT企業の経営者と接触し、IT業界のM&A業務に注力している。18年は京セラコミュニケーションシステム㈱とAIベンチャーの㈱RistのM&A、21年には(株)SHIFTと(株)VISHのM&A等を手掛ける。

上席課長
IT業界支援室 室長
早稲田大学商学部 招聘講師
竹葉 聖