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M&Aレポート

M&A上手な会社がやっていることとは?

2018.8.13

  • M&A全般

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M&A上手な会社がやっていることとは?

前回は、M&Aの全体のプロセスについてお伝えしました。しかし、プロセス通りにやればだれでもうまくできるかというと、そうではないのがM&Aです。今回は、M&Aを成功させるためのポイントをお伝えしていきます。

売り手企業の成功のポイントは、「より多くの買い手を検討すること」です。自社に本当に合ったお相手を探すのに、限られた数の選択肢から選ぶのと、数百の中から選ぶのとどちらがいいかは明白ですよね。多くの候補の中から買い手を選ぶことで、より高く評価してくれる相手が見つかる可能性も高まります。

ただし、たくさんの相手と出会うために、多数のM&A仲介会社に登録するのは得策とは言えません。買い手からすると、複数のM&A会社から同じ企業を紹介されることが続けば、あまり印象が良いとはいえないでしょう。

売り手企業にとっては、自社の特徴を伝える「企業概要書」も非常に大切です。中小経営者の方の中には、「自社を買いたい企業があるわけがない」と思われている方もいらっしゃいますが、「ここのエリアに進出したい」「こういう技術者がほしい」「取引先を広げたい」など買い手企業のニーズは千差万別です。ですから、客観的に見てどのような魅力があるのか見極め企業概要書に落とし込むのがコンサルタントの腕の見せ所というわけです。

ただ、自社の価値を考える際に「感覚的」になりすぎるのはあまりよくありません。「100年の歴史があるから評価して欲しい」という経営者の方がいるとします。もちろん100年続けてこられたことは非常に価値のあることですが、M&Aの評価において、業歴そのものに価値があるというわけではありません。続いてきた要因は何なのか、どのような魅力があって業績をあげてこられたのか分析し、しっかり買い手候補企業に伝えていきます。

「強みだけではなく弱みもさらけだした概要書を作成する」というのもポイントです。弱点も、最初からわかっていれば対策のしようがありますが、後出しは不信感を招くだけです。結果的に、思ったより低い価値で算出され売却を辞める経営者もいる一方で、5億円と考えていたのが10億円だったというケースも中にはあり、一度プロに企業評価を依頼してみるのも良いかもしれません。

一方の買い手ですが、「こういう会社を買いたい」と自社のニーズを明確にしておくことが成功のポイントです。「どんな会社でも良いのがあれば紹介して欲しい」というスタンスでは、本当に素晴らしい案件は舞い込んできません。なぜならM&Aは圧倒的に売り手市場。ニーズがはっきりしているほうが良い案件の情報が入ってきやすいですし、売り手企業にも選ばれやすくなります。

売り手オーナーにとっては我が子のような会社や従業員の未来を託すのですから、将来へのビジョン、経営に対する考え方や誠実さが大きなポイントで、売り手オーナーは、それらを見極めて買い手を絞り込んでいきます。過去には、「趣味も含め、共感できる部分が多い」という理由で、買収金額が低い買い手を選んだ経営者もいるほどです。

経営者同士のコミュニケーションを円滑にするためには、トップ同士の面談の場に経営者自らが足を運ぶことが原則です。役員や担当者にとって、M&Aを任されるというのはプレッシャーですから、自社の経営が安定しているなら危ない橋は渡りたくない。それよりは、社長自らが理念を語ることで売り手と意気投合し、買いたいと思った理由、M&A後のビジョンや戦略を誠意をもって伝えることが成功への近道となるでしょう。

両者に対していえるのは、じっくりと相手を探しつつも、相手が決まればスピーディに動くことです。結婚と同じで、婚約してから5年は待てません。M&Aはタイミングで、数年後に全く同じ案件に出会えることは二度とありません。スピーディな決断が、相手からの信用につながっていきます。

京都大学経済学部卒業後、株式会社キーエンスに就職。セールスエンジニアとして製造業の生産ラインの効率化に8年間従事。その後、日本M&Aセンター業種特化事業部 製造業支援室長として中堅・中小製造業の成長戦略・事業承継に係るM&Aの専門としている。

上席課長
製造業界支援室 室長
太田 隼平