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M&Aレポート

IT・ソフトウェア業界のM&Aが増加している要因とは

2018.7.12

  • IT

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IT・ソフトウェア業界のM&Aが増加している要因とは

IoTや人工知能(AI)といったかつてないスケールの技術革新が産業界を大きく変えようとしているなか、国内のIT・ソフトウェア産業が業界再編の真っ只中にあります。2017年のIT・ソフトウェア業界のM&A件数は、過去最高を記録しました。

IT・ソフトウェア業界は、大型の設備投資を必要とせず比較的小資本で起業が可能であることから企業数が多くなり、競争激化のためM&Aが起こりやすい状況になっています。またソフトウェア開発事業は、多数のビジネスパートナーを有していて、一部では緩やかな資本提携まで踏み込んだアライアンスが浸透しており、潜在的にM&Aが起きやすい構造にあるのです。

より具体的な要因として、IT・ソフトウェア業界独特の多重下請け構造があります。この業界は労働集約型の中小企業が多く、一部の元請けからの非効率的で丸投げに近いような仕事の流れを見直す時期にきています。国も生産性や競争力の向上を図るために、独占禁止法・下請法などの法制度のなかでITシステム取引に関する必要事項を検討しています。

もう1つの要因は技術者不足です。「IT人材白書2017」によれば、人材不足問題は非常に深刻で、9割近い企業が何らかの形で不足感を感じているといいます。

改正労働者派遣法の施行も大きな要因となっています。ある一定以上の事業規模がないと淘汰されてしまう可能性が高くなったため、中小の多い同業界で再編やM&Aが増えています。

最近の成約事例をご紹介します。

電子カルテや介護ソフトの開発・販売を行っている株式会社ワイズマン(岩手)は、クラウド型メール配信サービスのバイザー株式会社(愛知)をM&Aにより譲り受けました。これは、サービス領域の拡張によるさらなる成長期待を見込んだM&Aでした。

また、アプリケーションソフトやパッケージソフト開発のジャパンシステム株式会社(東京)と監視用ネットワークカメラや医療用機器ソフト開発の株式会社ネットカムシステムズ(東京)のM&Aでは、両社の技術・得意業種の融合により新たなビジネスモデルへの展開を図るという目的がありました。

IT・ソフトウェア業界の企業は、戦略的な買収・積極的な子会社化を真剣に考える時にきています。自前主義を改め、外部のリソースを積極かつ有効的に活用できるかどうかが、今後の成長のポイントとなります。事業環境が良いうちに次世代に向けて先手を打つことが大事になるでしょう。

公認会計士試験合格後、有限責任監査法人トーマツを経て、日本M&Aセンターに入社。IT業界専門のM&Aチームの立上げメンバーとして5年間で1000社以上のIT企業の経営者と接触し、IT業界のM&A業務に注力している。18年は京セラコミュニケーションシステム㈱とAIベンチャーの㈱RistのM&A、21年には(株)SHIFTと(株)VISHのM&A等を手掛ける。

上席課長
IT業界支援室室長
竹葉 聖