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M&Aレポート

どうなる次回の報酬改定!?  ~財務省・厚労省の主張編~

2018.3.9

  • 調剤薬局

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報酬改定において毎度話題となるのは、財務省と厚労省の主張のぶつかり合いである。今回も両者で議論が過熱しそうである。今回は両者の主張をまとめておきたい。

目次

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財務省の主張

財務省は11月29日、麻生財務相に手渡した建議の中で「2%半ば以上のマイナス改定」を明記した。さらにはその診療報酬の約2割を占めている調剤報酬については厳格にマイナス改定を求める姿勢である。

厚生労働省が発表した平成28年度の各医療費の動向によると、確かに調剤医療費の技術料が入院医療費や外来医療費に比べ大きく伸びており、この状況を是正すべく、彼らは今後も主張していくであろう。
彼らは「現行の調剤技術料は薬剤師・薬局サービスが生み出す価値の如何を問うことないまま、その費用を補填する仕組みになっているのではないか」との疑問を投げかけている。

具体的には、
・院外と院内で技術料が3倍違う価値の差は何なのか?
・門前の薬局についての付加価値は何なのか?
・患者本位の薬局とそうでない薬局の差が小さすぎるのではないか?
といった発言が何度も繰り返されている。

彼らは前回の報酬改定により、その状況が改善することを望んだが、結果的には非常に残念なものになった。
例えば、新しい調剤基本料が設定され、集中率や処方箋回数による細かい基準設定がなされたが、結果として調剤基本料2に該当する薬局は全体のわずか3%、調剤基本料3に該当する薬局についても7%程度であり、約90%の薬局が調剤基本料1で「同じ評価」であった。

彼らは、ほとんどの薬局の評価が変わらないという上記の結果を踏まえ、「そもそもの基準設定自体が甘く、より厳格に、より実態を反映した適正な評価がなされるべき」と主張している。
さらには「集中率の高い薬局は特定の処方元の薬を在庫しておけばよいことから、品目数を多く備蓄しておかなければいけない面薬局に比べ、在庫のロスが少なく、収益が上がりやすい。本来であれば面薬局を広げるべきという国の考え方から離れた薬局が生まれやすくなっている状況が問題である」とも主張している。
集中率については今後激しい議論がなされるであろう。
集中率が高く、かつ小規模な薬局というカテゴリに分類される薬局が全体の40%を占めていることから、それらの薬局についても基本料の是正を図ろうとするであろう。

後発薬についても、80%目標達成時期が平成32年9月とされているため、改定のラストチャンスということで、割合の基準をあげるべく主張している。
財務省は、今やコンビニエンスストアより多い、増えすぎた調剤薬局の実態を踏まえ、医療費削減もそうであるが、「本当に必要とされている薬局のみが残るべきだ」という視点から抜本的な改定を主張してくるであろう。

厚労省の主張

厚労省は、財務省が主張する、いわゆる「調剤技術料3倍」については明確に否定している。
厚労省は加算された技術料について、「一定の成果を得ている」という主張だ。
例えば、重複投薬・相互作用等防止加算を算定した件数が15年度の8万7千件から16年度の27万8千件に増加したこと、さらには薬剤師の積極的な説明によって、後発品への置き換えがされており、医療費の適正化に効果があったことを示した。

それでは厚労省の改定についての論点をまとめておきたい。

厚労省がもつ改定への基本的な視点として以下の4つがあげられる。
1. 地域包括ケアシステムの構築と医療機能の分化・強化、連携の推進
2. 新しいニーズにも対応でき、安心・安全で納得できる質の高い医療の実現・充実
3. 医療従事者の負担軽減、働き方改革の推進
4. 効率化・適正化を通じた制度の安定性・持続可能性の向上

厚労省も財務省と同様に、薬局の意義や薬局の機能の評価を適正化したいという考えがある。やはりこれらに関わる事項については評価を手厚くしていきたいようである。
現状点数がつかない健康サポート薬局も、点数をつけることによって、該当薬局の増加を図りたいという話も出ている。

反対に敷地内薬局については厳格な姿勢を示している。
地域包括ケアシステムを目指すにあたって、本来であれば広く連携をしていくべきとの考えに反して、ある一定の閉鎖的なものを形成してしまうため、本来の求めるものとは逆行しているという考えである。
将来的に敷地内薬局が進むのであれば、調剤基本料を厳格にし、調剤基本料3以下の評価をすることも検討している。
基準調剤加算も廃止の内容が盛り込まれており、より調剤後のフォローや情報管理等を重視した内容の加算等が新設されることであろう。

厚労省は地域包括ケアシステム構築に向けて、機能を有している薬局とそうでない薬局を、より明確に差を設けたいと考えている。
有している薬局は手厚く、有していない薬局には厳格な対応を、という視点で主張していくであろう。

以上のように、両者「必要とされる薬局を目指す」という点においては共通しているが、その評価については真っ向から対立している。今後の議論の行く末を引き続き注視していきたい。

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青山学院大学経済学部卒業後、大和証券株式会社を経て、日本M&Aセンターに入社。 入社以来、調剤薬局業界の担当として地域問わず、中堅中小企業のM&Aに取り組む。 2020年3月度全社年間最多成約数を記録。

課長
調剤薬局業界支援室
沖田 大紀