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M&Aレポート

大手調剤薬局の動向から考える今後の選択肢

2017.10.3

  • 調剤薬局

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2017年4月、業界1位のアインホールディングスのIRニュースが世間をにぎわせたのは記憶に新しい。
2017年4月期末の店舗数が1,090店舗、直近一年の店舗純増数は210店舗、うちM&Aでの増加が200店舗であるという数字の上で、アインホールディングスは2020年度末の店舗見通しを現在の倍である2,000店舗にすると発表した。
約15年前、100店舗規模であったアインホールディングス―それがこれからわずか3年で店舗数を倍増するという目標は、驚異的だった。

大手調剤薬局の動き

他の大手調剤薬局の動きを見てみよう。

メディカルシステムネットワークの中期経営計画では、平成27年3月末から平成30年3月末で売上を約1.4倍にする計画を打ち出し、その成長の軸となるのは積極的なM&Aによる店舗拡大としている。他大手調剤薬局も同様の考えを持ち、自前出店に頼るのではなくM&A専門の部署を立ち上げ、積極的に店舗を拡大していく方針だ。

現在トップ10社の店舗数シェアは約14%であり、アインホールディングスの拡大スピードで各社店舗数を増やしたと仮定すると、1年後には約28%に達する。こういった数字から見ても、調剤薬局業界は再編のステージである「成長期」「成熟期」「最終期」のうち「成長期」であり、今後さらなる寡占化がおきると考えられる。

各社店舗拡大を急ぐ裏には・・・

これほどまでに各社が店舗拡大を積極的に進めるのはなぜだろうか。
それは国が求める地域包括ケアシステムの構築のためだろう。2017年3月に厚生労働省から発表された「患者のための薬局ビジョン」実現のためのアクションプラン報告書には、今後の薬局の機能として「服薬情報の一元的・継続的把握とそれに基づく薬学的管理・指導」「24時間対応・在宅対応」「医療機関等との連携」を備えることが必要であると発表されている。

これらの機能を充実させるためには、さらなる薬剤師の確保、情報収集のためのインフラ(店舗網)の拡大が急務になっている。
各社がこれに対しどのように経営の旗振りをしていくか、検討した結果のひとつが「M&Aによる店舗拡大」の道なのではないだろうか。

大手と一緒に歩んでいく決断

そのような中、今後の自社の成長を考えて2016年度に行動を移した共栄堂、みよの台薬局、葵調剤の決断は興味深い。いずれも売上100億程度で黒字という規模も大きい優良企業であるが、将来の成長スピードや国の行く末を勘案し、大手と一緒に歩むことを選択した。

社会保障費が増加し続ける環境下、今後国が求める薬局へのハードルは高くならざるを得ない。
それらを踏まえ、独自路線を貫くのか、大手と組んで共に歩んでいくのか―立ち止まっているだけでは何も始まらない。業界再編が進んでいるまさに今、選択を迫られているのである。

業界再編で変わる調剤薬局の未来

青山学院大学経済学部卒業後、大和証券株式会社を経て、日本M&Aセンターに入社。 入社以来、調剤薬局業界の担当として地域問わず、中堅中小企業のM&Aに取り組む。 2020年3月度全社年間最多成約数を記録。

ディールマネージャー
調剤薬局業界支援室
沖田 大紀