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M&Aレポート

2016年のIT業界M&A

2019.11.12

  • IT

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2016年業界M&A一覧

2016年のIT業界のM&A件数は130件でした。

 年月日         譲渡企業           譲受企業
2016/01/01   アクロホールディングス ✖ エスアイ技研
2016/01/05   ヒトメディア ✖ エフビーランク
2016/01/05   楽天 ✖ ハングリード
2016/01/08   協和エクシオ ✖ WHERE(エポネット、協和エクシオ共同出資会社)
2016/01/14   メタップス ✖ AppStair
2016/01/22   ASJ ✖ NTTデータ・アイテックス(NTTデータ子会社)
2016/01/26   エムスリー ✖ QLife
2016/02/03   ユナイテッド ✖ キラメックス
2016/02/03   ユナイテッド ✖ スマープライズ(トレンダーズ子会社)
2016/02/05   アスカ ✖ ケイティケイソリューションズ[ケイティケイ]
2016/02/12   カヤック ✖ ガルチ
2016/02/13   富士通 ✖ 日揮情報システム(J-SYS)[日揮]
2016/02/21   弥生(オリックス子会社) ✖ Misoca(旧スタンドファーム)
2016/02/23   シーエー・モバイル(サイバーエージェント子会社) ✖ syng[エキサイト]
2016/02/26   ミライト[ミライト・ホールディングス] ✖ トラストシステム
2016/02/26   ニッポン放送[フジ・メディア・ホールディングス] ✖ グレイプ
2016/03/01   エンカレッジ・テクノロジ ✖ アクロテック
2016/03/01   マイティネット ✖ 広鉄計算センター
2016/03/01   カヤック ✖ D HEARTS VIETNAM CO., LTD[ダンクハーツ]
2016/03/08   ソフトフロント ✖ 筆まめ(ACA FPJ STRATEGIC INVESTMENT FUND LP投資先)
2016/03/09   TDCソフトウェアエンジニアリング ✖ マイソフト
2016/03/11   Oakキャピタル ✖ パス
2016/03/11   ヒューマンホールディングス ✖ ダイレクトワン
2016/03/11   ソーシャルワイヤー ✖ トランスマート
2016/03/24   ウフル ✖ システムフォレスト
2016/03/30   コムチュア ✖ ジェイモードエンタープライズ
2016/03/30   アカツキ ✖ クリームフィールド
2016/03/30   あかつきフィナンシャルグループ ✖ リードウェイ
2016/03/31   コロプラ ✖ エイティング
2016/04/01   クロス・マーケティンググループ ✖ ミクシィ・リサーチ[ミクシィ]
2016/04/05   インフォメーション・ディベロプメント ✖ テラコーポレーション
2016/04/05   マリモベンチャーズ[マリモ] ✖ GKT
2016/04/07   ニフティ ✖ グロザス(産業革新機構、ニフティ共同出資会社)
2016/04/08   mediba(KDDI子会社) ✖ アップブロードキャスト(ABC)
2016/04/14   朝日新聞社 ✖ サムライト
2016/04/15   メタップス ✖ ペイデザイン(投資事業有限責任組合DRCIIなど投資先)
2016/04/18   テラスカイ ✖ クラウディアジャパン
2016/04/19   じげん ✖ エリアビジネスマーケティング(ABM)
2016/04/22   アジュバンコスメジャパン ✖ エクシードシステム
2016/04/22   マイネット ✖ ポケラボ[グリー]
2016/04/23   日本一ソフトウェア ✖ フォグ
2016/04/25   さくらインターネット ✖ ゲヒルン(スタートトゥデイ孫会社)
2016/04/26   オークファン ✖ リッチウェルマーケティング
2016/04/28   ふくおかテクノロジーパートナーズ(FTP) ✖ iBankマーケティング
2016/05/01   五洋インテックス ✖ レックアイ
2016/05/12   日本システム技術 ✖ アイエスアール
2016/05/13   メドピア ✖ Mediplat(ベータカタリスト子会社)
2016/05/13   アクロディア ✖ ネクスト・セキュリティ[ネクスト・イット]
2016/05/14   つうけんアドバンスシステムズ(コムシスホールディングス孫会社) ✖ ヴァックスラボ
2016/05/16   健康コーポレーション ✖ エンパワープレミアム[光通信]
2016/05/19   RMJホールディングス ✖ フュージョン・エスアイ
2016/05/20   トランスコスモス ✖ ソーシャルギア
2016/05/24   オークファン ✖ エターメント
2016/05/26   豆蔵ホールディングス ✖ アイキューム
2016/05/27   NKリレーションズ(NKR)[ノーリツ鋼機] ✖ ユニケソフトウェアリサーチ
2016/05/30   博展 ✖ スプラシア
2016/06/01   オートサーバー現経営陣(高田典明代表取締役ら)(買付目的会社:ASH) ✖ オートサーバー
2016/06/01   不動産流通システム(REDS) ✖ フラグシップ
2016/06/01   Syn.ホールディングス(KDDI子会社) ✖ アップベイダー、Socket
2016/06/01   ワンオブゼム現経営陣(張青淳取締役) ✖ スパイスマート(ワンオブゼムSpicemart事業部門)
2016/06/10   ヤフー ✖ イーブックイニシアティブジャパン
2016/06/13   アカツキ ✖ そとあそび
2016/06/13   システム・ビット ✖ ライフサイエンスコンピューティング(LSC)(フューチャーアーキテクト子会社)
2016/06/16   Syn.ホールディングス(KDDI子会社) ✖ Connehito
2016/06/22   ソリトンシステムズ ✖ オレガ
2016/06/27   電縁[ガイアックス]  ✖ アイ・オーシステムインテグレーション(I/O)
2016/06/29   電算 ✖ ティー・エム・アール・システムズ
2016/07/01   イトクロ ✖ Acuz
2016/07/02   江守情報[江守コーポレーション] ✖ 日本ケミカルデータベース(JCDB)
2016/07/07   日本創発グループ ✖ クラウドゲート
2016/07/13   カシオ計算機 ✖ リプレックス
2016/07/15   フュージョンパートナー ✖ ソフトブレーン
2016/07/20   7ホールディングス ✖ アスカティースリー[INEST]
2016/07/22   エボラブルアジア ✖ らくだ倶楽部
2016/07/22   sMedio ✖ タオソフトウエア
2016/07/25   夢エデュケーション(夢真ホールディングス子会社) ✖ ギャラクシー
2016/07/26   ヤフー ✖ コマースニジュウイチ(コマース21)
2016/07/28   サイバーリンクス ✖ クラウドランド(兼松エレクトロニクス、サイバーリンクス共同出資会社)
2016/08/01   クレスコ ✖ エヌシステム[農協観光]
2016/08/01   ゴハンスタンダード現経営陣(齋藤英一取締役) ✖ ゴハンスタンダード
2016/08/01   ココン ✖ イエラエセキュリティ
2016/08/09   ロゼッタ ✖ エニドア
2016/08/12   三栄ハイテックス[イノテック] ✖ ジェイ・エス・シー(JSC)
2016/08/26   フリービット ✖ EPARKヘルスケア(光通信孫会社)
2016/08/30   トーホー ✖ システムズコンサルタント
2016/08/30   ココン ✖ レピダム
2016/09/01   コムチュア ✖ コメットホールディングス
2016/09/01   アイフィスジャパン ✖ 金融データソリューションズ
2016/09/01   アドウェイズ ✖ ミストテクノロジーズ
2016/09/03   楽天 ✖ ファブリック
2016/09/05   ブルータグ ✖ ウイングスタイル
2016/09/15   エムケイシステム ✖ ビジネスネットコーポレーション
2016/09/16   アイスタイル ✖ イートスマート
2016/09/21   ベクトル ✖ LAUGH TECH(ラフテック)
2016/09/26   メドピア ✖ クックパッドダイエットラボ(CPD)(クックパッド子会社)
2016/09/26   VOYAGE GROUP ✖ CMerTV
2016/09/27   電算システム ✖ ゴーガ
2016/09/29   ユナイテッド ✖ ゴロー
2016/09/29   インフォメーションサービスフォース[トライアンフコーポレーション] ✖ デージー・テクノロジーズ
2016/09/30   SHIFT ✖ メソドロジック
2016/10/01   GMOイプシロン[GMOペイメントゲートウェイ(GMO-PG)] ✖ 日本郵便ファイナンス(日本郵便[日本郵政]、三井住友信託銀行共同出資会社)
2016/10/03   モンスター・ラボ ✖ ライフタイムテクノロジーズ(LTT)
2016/10/03   ネオキャリア ✖ Unistyle
2016/10/05   ブラケット現経営陣 ✖ ブラケット[スタートトゥデイ]
2016/10/06   KDDI ✖ Deコマース[ディー・エヌ・エー(DeNA)]
2016/10/12   SHIFT ✖ バリストライドグループ
2016/10/13   マイネット(受け皿会社:C&M) ✖ C&Mゲームス[クルーズ]
2016/10/13   クルーズ ✖ Candle
2016/10/25   SJI ✖ 東京テック
2016/10/25   CEホールディングス ✖ システム情報パートナー(SIP)
2016/10/31   穐田誉輝氏(クックパッド前社長)ら ✖ オウチーノ
2016/11/01   Japan REIT(a2media子会社) ✖ TCO
2016/11/03   NTTデータ ✖ シャープビジネスコンピュータソフトウェア(SBC)(シャープ孫会社)
2016/11/11   三谷商事 ✖ クワンタム・テクノロジー
2016/11/14   光通信 ✖ インテア・ホールディングス
2016/11/16   ERIホールディングス ✖ イーピーエーシステム(EPAS)
2016/11/22   モバイルクリエイト ✖ オプトエスピー
2016/11/29   ジープラス・メディア[フジ・メディア・ホールディングス(FMH)] ✖ ジャパンインフォ
2016/12/01   テクノプロ[テクノプロ・ホールディングス] ✖ 安川情報エンベデッド(安川情報システム子会社)
2016/12/01   夢真ホールディングス ✖ Keepdata
2016/12/07   フューチャー ✖ ワイ・ディ・シー(YDC)(横河電機子会社)
2016/12/07   ワンダープラネット ✖ プレイネクストジャパン(旧ジーピー・モバイル)(PlayNext Global, Inc.<旧AGGP Holdings, Inc.><ソネットグループ>出資会社)
2016/12/09   ピクセルカンパニーズ ✖ アフロ
2016/12/14   レアジョブ ✖ リップル・キッズパーク
2016/12/17   ユーザベース ✖ ジャパンベンチャーリサーチ
2016/12/23   みんなのウェディング現経営陣(穐田誉輝会長) ✖ みんなのウェディング
2016/12/26   豆蔵ホールディングス ✖ アグラ
2016/12/27   エートゥジェイ ✖ オープンコート(アイレップ子会社)
2016/12/28   SOAソリューションズ ✖ エルモシステムビジネス(テクノホライゾン・ホールディングス孫会社)
2016/12/29   合人社グループ ✖ ノイアンドコンピューティング

2016年を代表するIT業界のM&A

1. ペイデザインとメタップスのM&A

【譲渡企業】
・企業名⇒ペイデザイン株式会社
・事業内容⇒各種決済事業
・売上⇒2,535百万円
・営業利益⇒136百万円
・純資産⇒1,419百万円
・株価⇒2,880百万円(議決権割合100%)
・譲渡日⇒2016年4月14日

【譲受企業】
・企業名⇒株式会社メタップス
・事業内容⇒アプリ分析・決済プラットフォーム事業
・売上⇒8,887百万円
・営業利益⇒△320百万円
・純資産⇒7,082百万円

譲渡企業側のペイデザイン社は1999年創業の企業であり、EC・通販事業社向や店舗事業社向けのクレジットカード決済サービスを中心に、電子マネーや家賃の支払いなど、各種の決済サービスを提供している企業です。

一方譲受企業のメタップスは個人事業主を主なターゲットとして決済プラットフォームSpikeというサービスを提供しています。譲受側の目的はオンライン決済サービスの①シェア拡大②事業領域拡大という二つの目的があったものと考えられます。

ペイデザインは創業17期目の老舗決済サービス事業者であり、オンラインサービスに加え、リアル店舗、家賃、電子マネーなど決済に関する幅広いサービスを提供しています。

この資本業務提携により、両社の決済事業における年間取扱高1,000億円を超える規模となり、総合的な決済プラットフォームとしてより幅広いサービスの提供が可能となりました。

フィンテック企業の今後のM&Aの可能性

昨今のブームに乗じて様々な企業がフィンテック領域に参入していますが、薄利多売であるという性質上、一定の規模が求められるものと考えられます。

規模を増やすためには設備投資が必要となりますが、ベンチャー企業が0から始めるには、資金調達が容易であるとはいえ難易度が高いものと考えられます。

従って上記で取り上げたメタップスのような相応の規模感を誇るフィンテック企業が他の小規模な企業を継続的に譲り受けていくものと考えられます。

或いは金融の本元である金融機関とITソフトウェア企業との資本業務提携が起こる可能性も高いものと考えられます(※2017年にメタップスはみずほフィナンシャルグループとの業務提携を開始)。

2. シャープビジネスコンピュータソフトウェア株式会社(シャープビジネスソリューション株式会社)とエヌ・ティ・ティ・データのM&A

【譲渡企業】
・企業名⇒シャープビジネスコンピュータソフトウェア株式会社
・事業内容⇒組み込み系業務用ソフトウェア開発
・売上⇒100,670百万円
・営業利益⇒-
・純資産⇒-
・株価⇒2,445百万円(議決権割合80%)
・合意日⇒2016年11月2日

【譲受企業】
・企業名⇒株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
・事業内容⇒最上位SIer
・売上⇒100,855百万円
・営業利益⇒19,816百万円
・純資産⇒189,208百万円

シャープビジネスコンピュータソフトウェア(以下SBC)はシャープの孫会社で、スマートフォンやデジタル複合機向けの組み込みソフトウェア開発を行う企業です。

一方エヌ・ティ・ティ・データ(以下NTTデータ)はNTT系列の日本最大手のSIer(プライムベンダー)です。本案件のポイントは日本最大手のSIerであるNTTデータがIoTへの布石として国内の組み込み系開発企業を譲り受けた点にあります。

NTTデータは元々M&Aに積極的ですが、近年はその大半がクロスボーダーM&Aであり、一部資本出資を除いたM&A(議決権の過半数を獲得する子会社化)は約3年半ぶりのことでした。

また、これまでは上流工程を担うITコンサル企業やシステム開発企業の譲り受けが中心であった。それが今回初めてIoT関連企業をM&Aによって譲り受けたという点も注目ポイントです。

※過去3年間のNTTデータのM&A一覧(出所:レコフデータベース)

NTTデータはこのM&Aによって、自動車におけるインフォテインメント領域やスマートファクトリー等のIoT領域における事業のさらなる拡大を目指すとプレスリリースで発表をしています。

また、同時にIoTマーケットの拡大とに伴いグループ全体で2018年度には組み込みソフトウエア技術者2,000人体制を構築すると明確に謳っていることも見逃せません。

【譲渡企業】
・企業名⇒株式会社エニドア
・事業内容⇒翻訳者クラウドソーシング
・売上⇒569百万円
・営業利益⇒270百万円
・純資産⇒229百万円
・株価⇒1,401百万円(議決権割合100%)
・譲渡日⇒2016年9月1日

【譲受企業】
・企業名⇒株式会社ロゼッタ
・事業内容⇒AIによる自動翻訳支援ツールの開発
・売上⇒1,688百万円
・営業利益⇒216百万円
・純資産⇒1,309百万円

エニドアは翻訳のクラウドソーシングサービス(Conyac・コニャック)を運営する企業です。一方ロゼッタは自動翻訳の開発や翻訳受託サービスを手掛けています。

本案件のポイントは2つの新しいテクノロジー(クラウドソーシング、AI)の融合により、両社の技術を更に高めることを目指しているという点にあります。

譲り受け側のロゼッタ社は専門分野(医薬バイオ、化学環境、電気電子機械、特許、法務、財務等)の翻訳に特化しています。

一方でエニドアは、インバウンド市場を中心とした一般会話・外国人向け観光情報等に関連するサービス提供に特化しています

上記2社は対象とするサービス領域に重複が無く、対象マーケットという点で補完関係にあるため容易にシナジーを見込むことができます。

しかし、本件のポイントは“AI”と“クラウドソーシング”の融合によるシナジーを謳っている点です。

ロゼッタはAIの精度向上における最大の決定的要素は学習データであり、エニドアのクラウドソーシング上で人間が行う翻訳は膨大な集合知となってAIの精度を向上させるとしております。また、AIの補助によって人間の作業負担も軽減することが可能となります。

以上のように、本件はテクノロジーによって人間の作業時間を確保することを目指す趣旨のクラウドソーシングと、テクノロジーによって機会に人間の代替をさせることを目指す趣旨のAIという、一見すると相反する趣向同士の技術同士のM&Aです。

本件のように、IT業界におけるM&Aは、ビジネス上のシナジーのみならず、技術同士の掛け算によって技術レベルを更に高めるという隠れた狙いもよく見られる事例です。

2016年のIT業界M&Aの特徴

総括

2016年の日本でのITソフトウェア業界のM&Aの件数は過去最高であった2015年大幅な増加がみられました。
まず、買い手企業側の要因としては、史上最大に膨れ上がった企業の内部留保、ゼロ金利政策などによる低金利の融資などにより資金調達が容易となり買収資金が豊富であったことが挙げられます。

また、譲渡企業側の要因としては、経営者の平均年齢が上昇し、会社の後継者不在問題により他の企業へ会社を譲渡した経営者が増えていることであると考えられます。

次に、ディールサイズ(M&Aの取引金額)を見ると、最も多いのが1億円以上10億円未満(164件・55%)であり、次いで1億円未満(85件・21%)、次いで10億円以上30億円未満(39件・13%)となりました。

ITソフトウェア業界のM&Aの特徴として、ディールサイズが比較的小さく、中小企業やシードステージ・アーリーステージのベンチャー企業の譲渡・出資が多いという特徴があります。

2016年もこの傾向は続いており、10億円未満のディールが全体の79%を占める結果となっています。

ITソフトウェア企業M&Aの金額別ディールサイズ 出典:レコフデータベース

なお、上述の分類における増加が最も大きかったのは1億円未満で22件増加(昨年11月時点対比134.9%)、次いで10億円以上30億円未満が7件(昨年11月時点対比117.9%)となっています。

やはり小規模なディールが増えているということが傾向として挙げられます。

ディールサイズで最大のものは、孫正義率いるソフトバンクグループがモバイル向けゲーム開発会社のSupersell(フィンランド)を総合IT企業のTencent(中国)に譲渡したディールであり、譲渡額は7,700億円となりました。

Supercellはソフトバンクが2013年に1,500億円で買収した企業ですがが、ソフトバンクが選択と集中を推し進めた結果ゲーム事業からの撤退したものと考えれます(同社はグループ会社のガンホーエンターテイメントも譲渡しています)。

また、国内のディールで最大のものは三井物産を筆頭に日本政策投資銀行、グロービスキャピタルパートナーズ等がモバイル向けフリーマーケットアプリ開発のメルカリに出資したディールで規模は84億円でした。

メルカリは調達した資金によってグローバル展開を進め、また三井物産はグローバルネットワークやICT事業で培った知見を活用しメルカリのグローバル展開をサポートしていくとのことです。

クロスボーダーでは7,700億円という過去最大規模のディール(2015年最大のディールは総合IT企業のヤフーが飲食、ホテル、旅館予約の一休を買収したディールで約1,000億円)が起こった一方、国内では100億円を超えるようなディールは起こりませんでした。

譲渡企業

譲渡企業を幾つかの指標で見ていくこととします。

まず、譲渡企業の所在地を県毎に区切っていくと、最も多いのは東京都で363社、次いで海外で127件、次いで大阪府で17件となりました。

実に全体の85%以上が東京都と海外の法人に集中していることが分かります。

更に日本国内のみで集計すると東京の一極集中はより顕著となり、東京が86.2%、大阪が3.9%、神奈川が2.7%となっています。

譲渡企業の所在地(出典:レコフデータベース)

大半の県で譲渡件数が1~2件しかなされておらず、半分の県で譲渡数が0という結果であり、IT業界M&Aの地域ごとの偏在傾向が見て取れます。

しかしながら、日本全国のITソフトウェア企業の所在地は多い順に東京に51.8%、大阪に8.8%、神奈川に5.9%集積(出所:東京商工リサーチ)しており、東京でさえも集積率は約5割に留まるというデータがあります。

単純な割合から換算すると、今後は地方のITソフトウェア企業の譲渡件数が現在よりも大きく増加する可能性が高いものと思われます。

事業面に関してはIoT(モノのインターネット)関連、フィンテック関連、AI関連、ビッグデータ関連企業などへのM&Aに注目が集まった年でした。

特に記憶に残るのはソフトバンクグループが半導体製造のアーム・ホールディング(イングランド)を譲り受けた案件です。

金額は約3超3,000億円(240億ポンド)であり、日本企業による海外企業のM&Aとしては日本たばこ産業が06年にタバコ製造大手のギャラハー(イングランド)を譲り受けた際の1兆7300億円を上回り過去最大のディールでした(2006年12月)。

アームは1990年設立の半導体メーカーであり、売上高約1,335億円(9億6830万ポンド)、近年はスマートフォン向けCPUで世界で90%超のシェアを誇るに至っています。

ソフトバンクは通信事業主体のITソフトウェア企業であるが、将来的なIoT時代への布石として今回のM&Aに踏み切ったものと考えられます。

近い将来IoTによってあらゆるデータがインターネットと接続し、その数は今日存在しているPCやスマートフォンの数をはるかに凌ぐものになるとも言われています。

ARM製のCPUがあらゆる製品に組み込まれ、その時にソフトバンク社の通信事業やコンテンツ事業との壮大なシナジーを見込んでのM&Aと考えられます。

譲り受け企業

次に、ITソフトウェア業界のM&Aにおいて、どのような企業が譲り受け(買収)を行っているかを見ていきます。

最も多かったのは同業ITソフトウェア業種であり、200件・35.2%、次いでファンド・VCが174件・30.6%、次いでサービス業の63件11.1%でした。更に最も増加率が高かったのはファンド・VCであり、昨年対比+28件・119%でした。

ITソフトウェア企業の譲り受け業種件数推移(上位5業種) 出典:レコフデータベース

2016年度の特徴はファンド・VCの譲り受けニーズが非常に旺盛であったことです。



2013年以降新規ファンド組成額は飛躍的に増加しており、2013年約2,000億円、2014年約1,000億円、2015年約2,000億円となっています。(出所:2016年1月 一般社団法人日本ベンチャーキャピタル協会 ベンチャーキャピタル最新動向レポート)

このように日本国内で組成されるファンド額は非常に増加しており、市場の資金がITソフトウェア企業の資金調達に回ったものと考えられます。

外資系金融機関を経て日本M&Aセンターに入社。業界再編部の立ち上げのメンバーであり、現在はIT業界の責任者として、中小零細企業から、上場企業まで数多くの友好的なM&A、事業承継を実現している。これまで主担当として50件以上を成約に導いており、国内有数のM&Aプレイヤーの1人である。東芝情報システムとデンソーとの資本提携等を手掛ける。

副部長
IT業界支援室 室長
瀬谷 祐介