物流・運送業

物流・運送業界でM&Aが活性化する理由(2)

前回の記事で、物流・運送業界における後継者不在率が高くなっている原因には「子供がいない」以外にも様々なケースがあると述べました。

1つ目は、子供が継がないケースです。オーナー社長のご子息ですから後継ぎ候補として良い教育を受けさせ、良い大学に進学し、立派な会社に入ってキャリアを築きます。一流企業で要職に就いていたり、医者や弁護士になっていたりします。そして父親であるオーナーがそろそろ引退、という年齢になると、ご子息もすでに30~40代半ばで責任のある立場になり、家庭を築き、子供の教育プランも決まっています。そのような環境から、中小企業のオーナー社長になることに抵抗を感じるご子息が非常に多くなっています。本人が良くても連帯保証や担保提供が必要になってくると、奥様が反対する事もあります

 

逆に、起業家のDNAを受け継ぎ、親の会社を「継ぐ」のではなく「自ら創業」したいという方もいらっしゃいます。お嬢様しかいない場合、嫁いでしまっている場合などは、ほとんど後継者候補とはなりません。

 

2つ目は、ご子息がいるが、ご子息の能力や適性の問題で継げないケースです。中小企業の場合、ご子息が役員で入っている事はよくあります。営業させれば上手であったり、生産ラインの効率化や生産性アップのための業務改善には非常に高い能力を発揮したりと、特定の分野では優秀であっても、営業、生産、経理、総務、など全体を見渡し、リーダーシップをとって会社を率いる必要がある経営者に向いているかというとそうではない、ということがしばしばあります。

 

経営手腕は能力のものです。人口減少で運送業界だけでなく日本のマーケット全体が縮小していくのは明白なので、その中で会社を伸ばしていくためには創業者以上の手腕とカリスマ性が必要になります。現在30~40代の子供を持つ60~70代くらいの創業社長の頃は、高度成長期で人を雇い、車を買えばある程度成長できたという部分が少なからずあると思います。しかしいまは、企業のライフサイクルは短くなる一方ですし、ビジネスモデルや経営戦略を発案し実行していけるイノベーター経営者が必要な時代です。現状を維持していれば生き残れる時代は終わりました。売上利益を伸張させるには今まで以上の手腕が必要となってきます。先代以上の手腕とカリスマ性、そして経営者の能力を兼ね備えた人材は、10人に一人と言われています。能力や適性のない子供に無理に継がせて、会社を傾かせるわけにはいかないのです。

 

3つ目はお子様がいるが、継がせたくないというケースです。先代社長は会社創業の頃から今まで、幾多もの試練や苦難を乗り越え、酸いも甘いも知り尽くしています。良い事も沢山あった一方で、その倍以上の苦労もしてこられた経験があります。そういった苦労を子供に経験させたくないというのがこのケースです。また、現在は絶対に長男は家を継がないといけないという時代ではなくなりました。息子には息子の、娘には娘の人生を歩んでほしいという考えがあります。

 

約25年前の日本の合計特殊出生率は1.4程度で、うち男子は半分の0.7、そのうち上記のような様々な事情により、約半分が会社を継いだとして0.35の承継率です。子供がいても、継いでくれるのは3人に1人程度、ということになります。(第3回へ続く)

日本M&Aセンター 業界再編部 運送・物流業界担当 柴田 彰

 

運送・物流業界のM&A

業界再編部 IT業界支援室

戸塚 直道

富山県出身。早稲田大学基幹理工学部数学科卒業後、大手証券会社にてリテール営業を経験し、日本M&Aセンターに入社。現在はITソフトウェア業界を専門にM&A業務に注力している。座右の銘は“百術は一誠に如かず 至誠の感ずるところ 天地もこれが為に動く”。

富山県出身。早稲田大学基幹理工学部数学科卒業後、大手証券会社にてリテール営業を経験し、日本M&Aセンターに入社。現在はITソフトウェア業界を専門にM&A業務に注力している。座右の銘は“百術は一誠に如かず 至誠の感ずるところ 天地もこれが為に動く”。