物流・運送業

【年別M&A】2017年・運送・物流業界のM&A

2017年の物流業界M&A主な一覧

年月日 譲渡企業 譲受企業 金額
2017/02/23 千代田運輸
(協和発酵キリン孫会社) 
ハマキョウレックス  非公開
2017/03/23 中村エンタープライズ カンダホールディングス 非公開
2017/05/01 丸田運輸倉庫 大東港運 非公開
2017/06/21 イシカワコーポレーション ヒガシトゥエンティワン 555百万円
2017/07/28 ベルメゾンロジスコ[千趣会]  住商グローバル・ロジスティクス[住友商事]  非公開
2017/07/31 若洲 住友倉庫 非公開
2017/08/09 板東産業 日本梱包運輸倉庫[ニッコンホールディングス]  
2017/08/22 安全輸送 センコー 非公開
2017/10/04 昭和冷蔵、ショーレイフィット(2社) セイノーホールディングス 非公開
2017/11/08 タカラ長運(宝ホールディングス孫会社) アスパラントグループ運営ファンド(アスパラントグループSPC4号)  非公開
2017/12/21 ロジックス ウェッズ 241百万円
(17%)

 

2017年の物流業界のM&A件数は56件でした(出典:レコフM&Aデータベース)。この56件という数字は、トラック運送会社と呼ばれる主にトラック等の輸送機関を利用した陸上輸送者の公表されたM&Aの件数です。

 

M&Aの件数の傾向としては2013年に約60件とピークに達した以降減少傾向でしたが2017年は4年ぶりに昨対増となっています。また2018年は72件となっており約30%も増加しています。

 

人手不足と拠点拡大のニーズから今後もM&Aの件数は増加していくものと思われます。

 

2017年を代表する物流業界のM&A

ハマキョウレックスと千代田運輸のM&A

2017年2月静岡県に本社を構える東証一部のハマキョウレックスは協和発酵キリンの孫会社である山口県の千代田運輸の全株式を譲り受けました。千代田運輸は山口県と福岡県に拠点を持ち売上高は年間12億円程度でした。また一部報道では譲渡価額は数億円程度とされています。

 

ハマキョウレックスは3PL(3rdパーティーロジスティクス)企業として全国展開しており、特に食品・アパレル・医療医薬品に強みを持っていました。譲渡企業の千代田運輸も協和発酵キリンの孫会社として医薬品や食品関連の3PL事業を中国エリアで運営していました。

 

今回のM&Aでハマキョウレックスは千代田運輸のノウハウや取引先などを獲得することができ、中国地方に新たな拠点を築くことができました。

 

一方の千代田運輸はメーカーのグループ会社であることが成長の足かせとなっていました。しかし物流専門企業の傘下に入ることで、親会社のネットワークや人材を活用することにより物流企業としての競争力を高めていくことが可能となりました。

 

このようなメーカーの物流部門の切り離しによるM&Aの件数は近年増加傾向にあります。

 

グループ会社としても自社製品の配送という縛りがある中で成長を続けていくことが難しくなっており、親会社のメーカーとしても物流業務をアウトソーシングして本業に専念し競争力を上げていくことで効率性を高めています。

 

アスパラントグループとタカラ長運のM&A

2017年11月アスパラントグループが運営するファンドが宝酒造の100%子会社であるタカラ長運の全株式を譲り受けました。譲渡金額は非公開となっております。

 

対象企業は長崎県の鮮魚の輸送を起源とし総合物流企業として長崎県をはじめとした九州地方で事業を展開していました。売上高は約56億円で営業利益は4.1億円程度でした。

 

タカラ長運は1949年に鮮魚輸送会社として1949年に設立され、2006年にタカラ物流システムが出資して宝グループに参画した。2014年には宝酒造の100%子会社となり、鮮魚だけでなく基幹産業向けの重量物輸送や農産物なども手掛け総合物流企業に成長していました。

 

タカラ長運の売上は減少傾向にあり、グループ会社の物流部門では今後の成長に陰りが見え始めていました。また親会社の宝ホールディングスとしても主要事業とのシナジー効果が十分ではなく、本業への経営資源の集中という戦略上譲渡を実行しました。

 

本M&A実行後対象会社の社名をタカラ長運から長崎運送に変更し、アスパラントグループから役員派遣等を通じてさらなる成長を実現していく形となりました。

 

社名変更でより一層物流専業企業にイメージがついた長崎運送は、アスパラントグループの支援を受けながら、新規顧客の獲得をはじめとした成長戦略を実施していくこととなりました。

 

2017年の物流業界M&Aの特徴

物流部門の切り離しと本業回帰

2017年の物流業界の事例として2つの例をあげさせていただきました。どちらも共通するのはメーカーの物流部門の会社を切り離し、親会社と子会社が互いに本業に集中して競争力を高めていることです。

 

2017年以降にも物流グループ会社の切り離しのM&Aはありましたが、2017年から増加傾向にあり2018年にもSBSホールディングスがリコーのグループ会社を譲り受けるなどこの傾向が顕著になりつつあります。

 

この傾向は人手不足や国内市場の縮小といった外部環境の悪化に対し、本業に経営資源を集中することで業界内での生き残りを目指していくという各企業の戦略が表れていると考えられます。

 

今後も本業の成長を加速していく業界内での資本提携・事業売却が増えていくことが予想されます。

業界再編部 物流業界支援室

宮川 智安

群馬県出身。実家は七代続く水産業の卸売。早稲田大学卒業。大学時代は競走部に所属(400mで全国IH準決勝)、2020年新卒で日本M&Aセンターに入社し、全国の物流業界を専門にM&A業務に取り組む。

群馬県出身。実家は七代続く水産業の卸売。早稲田大学卒業。大学時代は競走部に所属(400mで全国IH準決勝)、2020年新卒で日本M&Aセンターに入社し、全国の物流業界を専門にM&A業務に取り組む。

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